七月の園芸家 マラルメ・詩人の庭 -2-

日が空いて間が抜けてしまいましたが、前回の続きです。 七月の園芸家 『フランドルの四季暦』フランドルの四季暦 :マリ・ゲヴェルス,宮林 寛|河出書房新社 の中でマリ・ゲヴェルス(1883 -1975、写真)は七月という月を高らかに謳いあげるのですが、その中に…

あおい ふね LE BATEAU BLUE(子どもの領分 最終回) 

〈*絵本ブログ「子どもの領分」から移動〉 アメリカの作家 マーガレット・ バーディックの絵本です。 Le bateau bleu Album – de M Burdick (Auteur) Gautier Languereau (1 janvier 1991) 左:フランス語訳 右:原書『カワウソのボビーと青いボート』 これ…

すばらしい ひこうき ネズミのお話-2-

〈*絵本ブログ「子どもの領分」から移動〉 すばらしいひこうき(L'AVION MERVEILLEUX) 今日はこれ。前回と同じ Heather S. Buchanan(ヘザー・シンクレア・ブキャナン)の作品です。やはり1985年のもの。 前にも書きましたが、フランスで買ったイギリスの絵…

お針子ニネット ネズミのお話-1-

〈*絵本ブログ「子どもの領分」から移動〉 お針子ニネット(NINETTE COUTURIERE) Heather S. Buchanan(ヘザー・シンクレア・ブキャナン)作、1985年の本。 子どもたちが大好きだった本であり、また我が家はハムスター教、いえ、ハムスター狂時代があった…

ムスティクのぼうけん

〈*絵本ブログ「子どもの領分」から移動〉 子どもが眠くなるのはどうしてか? それはね、眠りの精の「砂売りおじさん」が 目の中に砂をたらしこむためなんです。 ヨーロッパではそう言い伝えられており、子ども時分はみんなが信じています。 『ムスティクの…

ひと・もの・ときをつなぐ魔法 ルリユール-3-

ルリユールは今日で3回目。 初めていらしたかたは、1と2を読んでからの方がわかりやすいと思います。 紙の発明→グーテンベルグの活版印刷→印刷出版業 とくるわけですが、フランスでは、ルイ14世が印刷と製本を完全な分業にしたため、製本術が独自かつ華麗…

『ルリユールおじさん』-パリの製本職人と少女のお話ールリユール-2-

絵本『ルリユールおじさん』 いせ ひでこ (著) 大型本: 56ページ 出版社: 理論社 (2006/09) 絆 ・LIENS 写真は上が原書。2006年発行、そして2007年にはフランス語版(下)が出た。絵本で日本→仏語訳が1年というスピードは異例と言ってよい。 もっと驚いたの…

工芸製本 めくるめくルリユールの世界-1- 

今日はヨーロッパの製本ルリユールの話です。 実はルリユールについては前にもちょっと触れているので、お暇なときにでも過去記事、読んでくださいませ。なぜ和紙が出てくるのか、フレディ・マーキュリーが和紙とどんな関係があるのか、とっておきのネタです…

おかしな結婚式 (チェコのカッパ-2-) +カッパの周辺・雑記

〈*絵本ブログ「子どもの領分」から移動〉 おかしな結婚式 大型本 – 1986/8ボフミル ジーハ (著), ヤン クドゥラーチェク (イラスト), 井出 弘子 (翻訳) 95ページ出版社: 童心社 (1986/08) 今日もカッパの話なのですが、初めて読む方は前回記事で、チェコの…

おばけとかっぱ (チェコのカッパ-1-)

〈*絵本ブログ「子どもの領分」から移動〉 カッパ(かっぱ、河童)は 日本人なら誰でも知っている愛すべき妖怪です。 柳田國男の「河童駒引」や折口信夫などの著作も有名ですし、芥川龍之介 も『河童』(昭和2年)という作品を書いており、命日の7月24日は…

ミッフィーパパが亡くなったと夫が叫んだ朝・ブルーナのデザイン

その大声で知りました。 日本ではうさこちゃん 英語ではミッフィー オランダ語の本名は ナインチェ・プラウス( Nijntje Pluis) ディック・ブルーナ(Dick Bruna) うちの子どもたちにとってはミッフィー、わたしにとってはデザイナー、装丁デザインのブル…

カロリーヌの絵本「ユピ学校へ行く」-3-

〈*絵本ブログ「子どもの領分」から移動〉 カロリーヌの絵本シリーズ 今日はうちの子どもたちが大好きな「学校編」を紹介します。 大人の私たちが見ても笑えるかどうか、あとでぜひ意見を聞かせていただきたい。 表紙の犬はYoupi、 黒板に「ユピ学校へ行く…

エンスラポイド作戦・「ヒトラーの絞首人」を暗殺せよ(ナチスの時代を振りかえる-4-)追記あり

*追記:エンスラポイド作戦がテーマの映画について 邦題 ハイドリヒを撃て!「ナチの野獣」暗殺作戦劇場公開日 2017年8月12日 ヒトラー暗殺の試みが失敗に終わったことは皆さんもご存じだと思う。 ナチス時代で成功した暗殺はたったの一件で、それもナチス…

白熊も食べたがるベルギーワッフル、作ってみました。

白熊さん、ベルギーにおいでなさい。 今朝はこんな記事を見つけてすっかりご機嫌です。 ワッフルは世界中で食されていると思いますが、ヨーロッパの人はすぐにベルギーのワッフルを思い浮かべるようです。しかもリエージュ風とブリュッセル風を。 もちろんオ…

カロリーヌの公現祭「王様のケーキ」+うちのそら豆コレクション公開

〈*絵本ブログ「子どもの領分」から移動〉 ソラ豆に当たると王様になれる! 1月6日はカトリックの祝日です。 公現祭(エピファニー)といいまして、ガレット・デ・ロワという「王様のケーキ」(パイのほうが近いかな)を食べます。 切り分けられたケーキの…

アン・モーティマーの世界~クリスマスの絵本~

〈*絵本ブログ「子どもの領分」から移動〉 わたしね、白状すると、可愛いものが大好き! 小さくて可愛くて色がきれいなもの。 みなさんだってこどもの頃、自分の気に入ったものを集めたり切り抜いたりして、宝物として、箱や机の引き出しにしまっておいたの…

お初のおめもじなれば 日本語 -1-

浪士さまのブログはコメント欄もすごい。浪士色満載で「浪士ワールド」といっても過言ではない。 先日、イノシシの話を読んで 猪は落ちてきたら保険が降りる - 備後「あこう浪士」 釣り場の周辺 ある方のコメントに行き当った。出だしを読むや、はて、どこか…

レジリエンスの基礎をつくるもの

前回記事の続きです。初めていらしたかた、前回記事の終わりの方をまずお読みください。精神科医シリュルニク氏が挙げたアルベール少年の話。 みなさま、コメントをありがとうございました。どれも正しいですね。 よんばばさまのコメント 人生のスタート地点…

金子みすゞアメリカデビューと 水着問題・クロアゲハ

〔前回よりニュースの続き -2- 夏の間、ブックマークしてたまりにたまった記事をまとめています〕 こだまでしょうか、いいえ、だれでも。 待ちに待った金子みすゞ詩の英語翻訳と短い生涯を紹介する本が、美しい挿絵入りでアメリカの出版社から出た。 金子み…

オランダからの手紙(戦争-3-) 〈追記アリ〉

大切な一通の手紙(写真左)。 2年前の9月にオランダ、ハーグ(便箋右上にDen Haagと見える)から届いた手紙。その前の月、終戦記念日のころに私がオランダの出版社宛てに送った手紙に対する返事で、イギリスの田園風景の絵葉書も同封されていた。 くださった…

ネロはルーベンスになれたかー「フランダースの犬」をめぐって

皆さんの多くがなじんでいる物語「フランダースの犬」を取り上げてみる。私はこの「国民的アニメ」を見ていないため、みなさんと思いを分かち合うことができない。 『ムーミン』は見たのだが、そのあとに来る一連のアニメ作品『アルプスの少女ハイジ』(1974…

ハンス・フィッシャー『長ぐつをはいたねこ』・ メルヘンビルダーってなに? 

わがやは Hans Fischer! シャルル・ペロー原作の童話「長ぐつをはいたねこ」には、いろいろな挿絵画家が絵を入れていますが、我が家はこれ。ハンス・フィッシャーのファンです。 右は絵本の扉のページをコピーしたものです。 軽妙なユーモアたっぷりの猫の…

リーネケへの手紙 (続き)

(前回の記事に続いています) 名前も変え、家族と離れ、非ユダヤ人になる まず名前:本名Jacqueline van der Hoeden ⇒ Lieneke Versteegに変わる。 Jacquelineの後ろ部分-lineに-ke(小さくて愛らしいものという意味がある)をつけると、いかにもオランダら…

リーネケへの手紙

積読(つんどく)の本が多くて反省しきり。反省だけじゃなく、少しずつ読んで片づけるべく、努力の日々だ。もう年寄りなんだから身辺をすっきりさせよう、そう思って週末、手伝ってもらって、部屋に一つ書棚を入れる。天井で突っ張るタイプのスチールラック…

ルリユール・私の製本(写真ブログより移動)+資料+世界一美しい本を作る男

オーソドックスなルリユール(製本)です。 3冊+おまけがあります!(^^)! ①半革角革装 背と角(仏:coin)に革を使う方法。 紙はマーブル紙。 本: L'amitié de stéphane mallarmé et de georges rodenbach. (préface de henri mondor. lettres et textes iné…

「地球の用事」まどみちお(+まどさんと さかたさんの ことばあそび)・『子うさぎましろのお話』佐々木たづ

104歳でなくなった まどみちお (1909 - 2014年)。 「ぞうさん」や「やぎさんゆうびん」など、日本人の子供時代と強く結びついている詩人です。 地球の用事 まど みちお ビーズつなぎの 手から おちた 赤い ビーズ 指さきから ひざへ ひざから ざぶとんへ …

マーシャ・ブラウン『三びきのやぎのがらがらどん』&『ちいさなヒッポ』

三びきのやぎのがらがらどん (ノルウェーの昔話) 絵: マーシャ・ブラウン訳: 瀬田 貞二出版社: 福音館書店 発行日: 1965年07月 「ノルウェーの昔話」となっているのは、ノルウェー人のふたり、アスビョルンセン(Peter Christen Asbjoernsen, 1812-188…

酒井駒子『ゆきがやんだら』『きつねのかみさま』

『ゆきがやんだら』 酒井さんはどれもすばらしいのですが、今回はこちら。 (学研) とても有名なのでなにも解説はいりませんね。 もしまだお読みでなく、お子さんと一緒に、というかたのために内容には触れないでおきましょう。 ただひとつ、外出の服装、び…

カフカ・踏切・世界の青春

*別ブログの日記を保存しています。 カフカ 図書館に行く道で。 カフカ 変身(かわりみ) www.shueisha.co.jp カフカを集英社文庫「ポケットマスターピース」多和田さん訳で読み直している。 若いときには全く気づきもしなかったサラリーマンの本音。 (p1…

アメリカの絵本:『うさぎさん てつだって ほしいの』『ちびくろ・さんぼ』

うさぎさんてつだってほしいの (1974/11/5)シャーロット・ゾロトウ (著), モーリス・センダック (イラスト) モーリス・センダックといえば、すぐに『かいじゅうたちのいるところ』があがるかもしれません。 1962年発行の『うさぎさん~』では、センダック…

出久根育の「あめふらし」(グリム童話)+スロヴァキアが生んだ色彩の魔術師 ドゥシャン・カーライ

〈*絵本ブログ「子どもの領分」から移動〉 一度見たら絶対に忘れられない絵。 ことばにならない強烈な印象を残します。しかもグリム童話? えっ、あめふらし? 絵を描いているのは 出久根育(でくね いく)さんという、プラハ在住の女性のかた。(詳しい紹…

日本の絵本:『わたしのワンピース』&『かさ』(太田大八)&『ぐりとぐら』

娘が大好きで大好きでいつも抱えていた本です。 思い出深く懐かしさのあまり、ちょっと取り上げてみます。 わたしのワンピース 作: 西巻 茅子出版社: こぐま社 発行日: 1969年12月 まっしろなきれ ふわふわって そらから おちてきた で始まります。 わく…

あの頃 シルビア・クリステルと…  ヒューホー・クラウス編 続き

写真はシルビア・クリステル自伝 2月の記事「あの頃 ヨーコ・オノと…」の続きになります。 cenecio.hatenablog.com Hugo Claus (1929 – 2008) ヒューホー・クラウスを語るのは私には荷が大きすぎるが、できるだけ簡潔にやってみる。 この人はものすごく早熟…

イギリスの絵本:さあみんなついておいで!Goat's Trail& はるなつあきふゆ SEASONS

おおらかなすがすがしさが残ります。 さあ みんな ついておいで! Goat's Trail ブライアン・ワイルドスミスのすっごく楽しい穴あき絵本です。 日本語版のタイトルは、原題Goat's Trailとは違いますが、中身をうまく言い当てています。やぎが山からふもとの…

あの頃 ヨーコ・オノと…

Yoko at the Baltic 「あの頃ペニー・レインと」(原題Almost Famous)というアメリカ映画があって、今日のタイトルはそれをもじっている。 ちなみにブログタイトル「ベルギーの密かな愉しみ」だってお気づきだと思うけど「ブルジョワジーの秘かな愉しみ」(…

ドイツの絵本:『大好き!ヒゲ父さん』Vater und Sohn &『もじゃもじゃペーター』Der Struwwelpeter 

大好き!ヒゲ父さん―いたずらっ子に乾杯! Vater und Sohn Erich Ohser alias e.o.plauen (1903–1944). 著者はプラウエン。本名はErich Ohserという。 主人公はこの二人、お父さんと子供。 笑ったりしんみりしたり、今読んでも古びていないので驚いてしまう。 …

月のはなし:『つきのぼうや』デンマーク・『月にノーと言ったキツネ』フランス

縦35cm × 横13cm の本!! つきのぼうや Drengen i månen 作・絵: イブ・スパング・オルセン Ib Spang Olsen 訳: やまのうち きよこ出版社: 福音館書店 発行日: 1975年10月 こんな細長い本は目立ちますね。図書館でも「あれ、なんだろ」と思わず…

ハンガリーとチェコの本:『ラチとらいおん』Laci és az oroszlán・『りんごのき』O jabloňce

ラチとらいおん 文・絵: マレーク・ベロニカ訳: 徳永 康元出版社: 福音館書店 発行日: 1965年07月 ハンガリーの絵本は、これしか知りません。 だけど世界的に有名で、古典といってもいいくらいでしょう。翻訳者もかの有名な徳永 康元(1912- 2003。この…

有名な話:『おおかみと七ひきのこやぎ』(グリム童話)・民話『一番きれいな小ネズミの娘』

みなさん ご存じ おおかみと七ひきのこやぎ DER WOLF UND SIEBEN GEISSLEIN(Felix Hoffmann) 作: グリム童話絵: フェリクス・ホフマン訳: 瀬田 貞二出版社: 福音館書店 発行日: 1967年4月1日 どの挿絵画家のバージョンで読むかによって印象も違ってく…

ライナー・チムニクの世界(ドイツの絵本詩人)『クレーン男 』『熊とにんげん』

わたしはクレーンが大好き。 ブリュッセルに住んでいたころ、窓からクレーンたちを眺めて暮らし、それはごく普通の日常風景だったのである。 毎朝、クレーンを操縦する人がやってきて、のぼっていく。昼にランチでいったん下に降りるが、そのあと日が暮れる…

北極飛行に必須なサバイバルキット ・アムステルダム羽田間の初フライト

*別ブログの日記を保存しています。 飛行ルート ありがたいもので、2016年の今、ヨーロッパは近い。去年、成田からベルギーへの直行便が飛び、これまでのようにオランダやドイツやフランスで乗り換える必要もなくなった。ANAのスターウォーズ絵柄の飛行機に…

『わにくん』 Krokodil, Krokodil &『葉っぱのきもち』Alle meine Blätter

恐ろしく美しい本。 ビネッテ・シュレーダー 、恐るべし! 作: ペーター・ニクル Peter Nickl絵: ビネッテ・シュレーダー Binette Schroeder訳: 矢川 澄子出版社: 偕成社 おしゃれで気品あるシュールさに満ちた、そしてあちこちに目くばせとアイロニーが…

『3びきのくま』The Three Bears(トルストイ再話)『てぶくろ 』 The Mitten

3びきのくま 作: L・N・トルストイ絵: バスネツォフ訳: 小笠原 豊樹出版社: 福音館書店 発行日: 1962年05月 森の中のお家に3匹のくまが暮らしていました。 おとうさんぐまは体が大きくて、名前はミハイル・イワノビッチ、おかあさんぐまは中くらいの体…

アントウェルペン エルスホットの街  

Willem Elsschot (1882-1960) ウィレム・エルスホットが生前家族と暮らしていた家を見にいった。1920年から亡くなるまで実に40年間住んだ家は、 Lemméstraatという小さな通りにある。閑静な住宅地だった。 どきどきしながら自分で見つけたかったのに、なん…

『十二の月たち』出久根 育+『森は生きている』マルシャーク

〈*絵本ブログ「子どもの領分」から移動〉 有名な民話です。 といっても日本ではどうでしょう。どのくらい知られていますかね。 人によるかもしれません。そのことはあとで説明します。 ロシアやチェコ・スロバキア地方では広く知られる民話で、様々なバリ…

文学資料館Letterenhuis  (+ツェッペリン)

http://www.letterenhuis.be/mdn.net ベルギーのオランダ語文学の概説や資料展示(常設)が一階、二階は特別展示、三階は閲覧室になっており、見たい資料を頼むと司書が出してくれる。 特別展示には興味がわかなかったのだが、朝のニュースにオーガナイザー…

キツネ(続)水の中のナイフ +コメント集

cenecio.hatenablog.com イヌとカササギの物語 キツネを拾う イヌ(アンジェイ)とカササギ(クリスティーナ)は週末を湖ですごすために、車を走らせている。途中ヒッチハイクの若き青年、キツネを乗せてやる。キツネは普段乗せてもらうトラックが週末は走ら…

キツネ Fox (Margaret Wild & Ron Brooks)  

〈*絵本ブログ「子どもの領分」から移動〉 2016年12月12日 キツネ マミーさんから教えてもらった絵本です。本当に教えてもらえてよかった。自分では絶対にたどり着けなかったから。 私の絵本との出会いは幾分受動的ですが、それでいいんだと思っています。 …