アントウェルペン エルスホットの街  

Willem Elsschot (1882-1960)

ウィレム・エルスホットが生前家族と暮らしていた家を見にいった。1920年から亡くなるまで実に40年間住んだ家は、 Lemméstraatという小さな通りにある。閑静な住宅地だった。

どきどきしながら自分で見つけたかったのに、なんとメチャクチャ陽気なおじいちゃんにいきなり話しかけられた。

「やあ、君はこの美しい通りを見にきたのかい?僕の家はここだよ」

「ああ、そうですか。いいお宅ですね。私はウィレム・エルスホットの家を見にきたんです。ファンなんです」

「そうかい、そうかい。あそこだよ。レリーフが出ているだろ。いや、ちょっと見えないかな。クリスマスツリーが邪魔してるねえ」

茶色の軒の建物がそう。

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                  前から見る。

ツリーが超ジャマなんですけど。

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なぜ通りにツリーがたくさん出ているかというと、この日は市の回収車が来る日で、まとめて燃やすのである。

記念レリーフには

 "1882 1960/ Hier woonde en overleed/ Alfons De Ridder/ in de letterkunde/ Willem Elsschot".

本名はAlfons De Ridder、Willem Elsschot はペンネームである。

 

近くを歩いてみる。小学校らしい。

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近くの広大な公園。Hof Van Leysen

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2ヘクタールもあり、緑がいっぱいで、児童公園もあればスポーツもできるようだ。雨上がりで土が柔らかく、歩くのはあきらめたが、あちこちに魅力的な水たまりが贈り物のように散らばっていた。

 

おやっ、これは。

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マリア様がどこかに飛んで行ったというよりは、オブジェなのだと思う。この家の2階に住んでいる人の、ちょっとした目くばせかな。

*1月12日追記

有名な人の作品とは知らなかった。シュカルスキというポーランド生まれの人。

http://www.standbeelden.be/standbeeld/1934

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http://www.goldwellmuseum.org/artists/

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CHARLES ALBERT SZUKALSK(1945Furth im Wald, Polandー 2000,Antwerpen)

 

薬局。

そのどこが語るに値するかって?ドアの張り紙が興味深い。

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赤地に白抜きで、Verloren Maandagとある。「失われた月曜日」?

そして下のパンの写真との関係は?

これはHarmonieという、この地域の団体からのお知らせで、今年の「失われた月曜日」(キリスト教の公現祭の次の月曜日)は1月11日に当たります。5時から8時まで、Koetshuisに集まってパンを食べましょう。予約は必須じゃないけど、したほうがいいですよ。と言っている。

ソーセージ入りのパイと林檎パンを食べるのがならわしだそうだ。まだ食べたことがないので感想は述べられないけれど。

ついでに Koetshuis も調べてみた。1902年に建てられた馬小屋だそうだ。小屋だけを建てるわけがないので、屋敷や城館などの付属の建物だったのだろう。ちょっと写真をお借りしてきた。

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何とも立派な建物です。11日はここでパンをいただくのですね。

 

 再びエルスホットにもどる。

Willem Elsschot は本名 Alphonsus Josephus de Ridderという。 (1882 – 1960)

邦訳は1冊だけ、英語からの重訳だが。

『9990個のチーズ』ヴィレム・エルスホット 著, 金原 瑞人ほか 訳

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金原氏は、あの『蛇にピアス』の金原ひとみさんのおとうさん。アメリカ人だったかの友人に勧められて読んだらおもしろかったので英訳から翻訳したといういきさつをどこかで読んだ。(ウロ覚えですみません)原題は KAAS『チーズ』。

 

生粋のアントウェルペンっ子 

エルスホットは、町のあちこちで出会える。

・エルスホット像 het Mechelseplein メッヘレン広場にある。

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まずファッションチェック。スリーピースを着てネクタイをしめ、さらにコート(?)を着ているのかな。膝の上から下に垂れる布はなんだろう。膝に本を乗せ、遠くを見つめている。組んだ足元にも本が散らばっている。

 

・壁の絵 (コンシャンス図書館の壁)

Dick Matena氏の作品。

先に話した「チーズ」という小説の主人公Laarmans 氏。市庁舎とブラボー像を背にグロート・マルクトを歩いている。鞄にはチーズがたくさん入っている。

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・Quinten Matsijs カフェ・クイントンマセイス.の入り口の壁 左上がエルスホット。

Moriaanstraat 17, 2000 Antwerpen

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このカフェはエルスホット氏の行きつけだっただけに、ファンが集まったり、定期的に街歩きツアー(小説の舞台はたいていアントウェルペン市内)を企画している。店の中にもエルスホット関連のものがいくつも飾られている。

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メッヘレン広場にある像を作った人の紹介。左の人でしょう。

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こちらの新聞記事は2000年のもの。ちょうどエルスホット没後40周年に当たるので、写真展やそのほか様々な催しが行われたようだが、ここでは伝記を紹介している。

Wieneke 't Hoenという人がエルスホットの未発表の写真も多数挿入し、家庭人として、また作家としての両面からこの男の実像にせまろうというもの。

本のタイトル

Van De Ridder tot Elsschot. Een biografie in foto's

(ド・リッダーからエルスホットまで 写真で見る伝記)

ド・リッダーは本名である。

 

 最後にクリスマスの飾りつけをした、Quinten Matsijsカフェ・クイントンマセイス。

美しい店内をご堪能あれ!

ここには写っていない照明器具もすごくセンスがいい。そしてなんといっても窓のステンドグラスがすばらしい。ここから入る光の中にいると、それだけで幸せな気分になる。450歳のビアカフェか~!!

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これからもずうっと市民に愛されるカフェであり続けるでしょう。

 

追記: 「失われた月曜日」 のパンを食べてみた。

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ビールを置いているのは、パンの大きさをわかってもらうため。

ソーセージ入りのは大きさはあるけど、パイ生地だからたいしたことはない。で、味もたいしたことはなかった。やっぱりパン屋さんで買わないとだめかな。

驚いたのは林檎の方。持つとずっしり重いので、よもや丸々一個の林檎ではあるまいな、と思っていたら本当にそうだった。こっちはすごくおいしかった。

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近所にパン屋がないので、これはスーパー(Delhaize)で買ったのだが、店の入り口付近に所狭しとずらりと並べてあった。ちょっと日本みたいだな。商戦ってやつ。

 市民が公民館的なところに集まって食べているところを、TV局がレポしていた。その食べ方を見て私は恥じ入ってしまった。なんとフォークとナイフを使って品よく召し上がっているではないか。私はというと、手づかみで大口開けてかぶりつき、あとで指もぺろぺろなめたのだから。いやはや、誰にも見られなくてよかったな。

 

追記: 個人メモ

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http://www.weg.be/sites/default/files/nb_jrg_10-2-3.pdf

 

追記:個人メモ
[p. 287]Guido Goedemé
Elsschot en het kind De lieve vader Vlaanderen. Jaargang 45 · dbnl

http://www.dbnl.org/tekst/_vla016199601_01/_vla016199601ill0389.gif

Willem Elsschot met vrouw en jongste zoon, Jan, in 1917. (Uit de verzameling van Maurice Lecluyse, Bellegem)

http://www.dbnl.org/tekst/_vla016199601_01/_vla016199601ill0389.gif

 

Willem Elsschot- pagina

 

Elsschot, Antwerpen en Coraline door Bart Van Loo,reportage van RTV programma Bladwijzer

vimeo.com