TINTIN と 人種差別

f:id:cenecio:20160217160157j:plain

私がブリュッセルでオランダ語を習っていたとき、私のタンタン時計を見て、クラスメートのセネガル人の女性が言ったこと。

「タンタンのアフリカの話、知ってる?酷い人種差別よ。あなたはそのタンタンの時計、使い続けるつもり?」

f:id:cenecio:20160217160228j:plain

①右:タンタンのコンゴ探検。左:記念切手で、真ん中に作者のエルジェの写真が見える。切手は、私が家族あての手紙に貼ったものを、再び全部剥がして額に入れた。

②1997年にもらった時計。左の保証書に年月日が書いてある。時計ベルトは文字盤と同じ緑色だったが、壊れたので黒に変えた。文字盤が見やすく、もちろん使い続けるつもり。

 

2007年のその頃、「コンゴ探険」における黒人の描写や扱いに、おぞましい人種的偏見が見られるとして、コンゴ人男性が出版社を訴えていた。また動物虐待もはなはだしくて、ギャグにもならないくらい酷かった。

この作品は1930~1931年に発表された。当時はベルギー人に限らず、ヨーロッパでは、植民地に住む人間は野蛮で自分たちより劣っている、と皆が思っていたし、動物の狩りも普通に行われていたのだ。だからエルジェも、時代の物の見方を反映して、アフリカ探検の話をかいたにすぎないと語っていた。

 

f:id:cenecio:20160223055111p:plain

さて裁判はどうなったか。

2012年2月、ブリュッセルの法廷は、コンゴ人男性が求めた出版停止の訴えを却下した。エルジェは人種的偏見を煽ろうとしていた証拠はない、とした。

弁護士は言う。あの時代の考え方が間違っているから、当時書かれた作品の販売を全部差し止めることにしたら、次の作家たちの作品にも問題個所があるではないか。マーク・トウェイン、シムノン、アガサ・クリスティ、ディケンズなど。差し止めにするのか。残念ながらあの時代は、植民地主義、人種主義、差別や偏見はあったのだと。

 

しかしコンゴ探険」をこのままの状態で出版していいはずがない。そこで冒頭に注意書きをつけることにした。日本の出版社、福音館書店も「読者の皆さんへ」と呼びかけ、コンゴ人の扱いと動物の狩りについて注釈をつけている。こうした時代の風潮、人間の愚かな行為を見つめるようにと。

 

次回はこの弁護士さんについて。

f:id:cenecio:20160223055325p:plain

なんと今では日本中が周知のあれと結びつく。