ベルギーの密かな愉しみ

しばらくの間 お休みします。

次のテロは 怯えるヨーロッパ(+旅行保険で払い戻し)

お陰さまで4月2日、無事帰国しました。たくさんのコメントやメッセージ、ありがとうございました。ブリュッセルの連続テロから10日。たった10日なのに、いろいろなことがあったので、ものすごく時間がたった気がします。ブリュッセルから流れてパリへやってきました。

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(写真 国鉄パリ北駅)

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(地下鉄 北駅。駅の前に宿を取りました)

国難

去年秋に就航した成田ーブリュッセル直行便

f:id:cenecio:20160404083500p:plain(写真:ANAのサイト)

スターウォーズのデザインでも話題になったが、私にとってはなんといっても時間短縮がありがたかったのだ。以前はパリまで飛んで列車でブリュッセル南駅に入るか、アムステルダムで飛行機を乗り継いでブリュッセル空港へおりるか。

ほかにもフィンランド航空でヘルシンキ乗り換え(若い女性たちに人気!ムーミンの国なので)、ドイツのいくつかの都市経由などいろいろあるのだが、直行便は本当に便利だった。12時間弱である。

しかし、今回はこの直行便が裏目に出た。テロの爆発で空港施設が破壊、閉鎖を余儀なくされ、再開には2週間位かかるだろうということだった。したがって帰りのANAのチケットが使えない。別のルートを検討するも、近い日にちは座席の空きがなかった。帰国難民になっちゃうよと焦り、不安な日々を送る。

ようやくパリーフランクフルト(ルフトハンザ)

フランクフルトー羽田(ANA)が取れてほっとする。

3月30日にタリス(Thalys:フランス・ベルギー・オランダ・ドイツの4カ国を結ぶ高速列車)でパリへ移動した。タリスは写真のパリ北駅に入る。

ANA直行便でベルギーに入った日本人観光客と、春休みに里帰りした日本人(家族)はかなりの数に上り、チケットを手配した代理店は対応に追われ、睡眠も削り、多忙を極めたようだ。(お気の毒でした)

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(ルフトハンザ機)

検査の徹底化

テロ対策がいっそう強化された。ブリュッセルからパリまでタリスに乗ったわけだが、フランス国境を超えると、フランス人の国境警察官が一斉に車両を回り始める。ブリュッセルで乗り込み、国境を超えるまで待機していたのである。

パスポートのチェックも、顔を照合するだけではない。押されたスタンプを慎重に一つずつ見ていき、その人物の行動を把握しようとする。時々電話で外部と連絡を取っていた。不審なところのある乗客には警官が一人ずつ付き添い、パリに着くとプラットホームで待ちうけるほかの警官に引き渡された。プラットホームには簡素な事務机が置かれて受付の様相をなしていた。

 パリ市内では至る所に警官の姿が見られた。特に駅と地下鉄だ。デパートや大型スーパーでも入るとき手荷物のチェックがあった。フランス人はすすんでカバンを開いて見せていた。

驚いたのは、大型商業施設のトイレは施錠して使えなくなっていたこと。使いたいときには近くの店から店員を呼んできて、鍵を開けてもらうしくみだ。お子さん連れのかたは注意が必要だ。

そして何事も余裕を持って、遅れや不便はしかたがないと割り切ろう。

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空港

フランスを出るときは簡単な検査だけだったが、フランクフルトでは、ボディースキャナーだけでなく、全身の接触検査がある。いや、その前にまず上着をめくって、腰に爆弾などを何も巻き付けていないよ、と見せなければならない。これには笑ってしまったが、みな大真面目にやっている。

スキャナーは足を置く場所が決まっていて、両手を上げた姿勢でいったん静止する。接触検査は腰回りや太ももなどを念入りに触られる。

持ち物検査では、特に男性のカバンが徹底して調べられるようだ。入っているものは全部見る。包んであるものも開く。パソコンはスイッチを入れ、立ち上げるよう、命じられる。本もパラパラめくる。包装してあるプレゼントも開けられてしまう。(だからスーツケースに入れておけばいい。)

そして壊れやすい物は持っていかない。なぜなら金属の反応を見るらしく、棒をカバンの中に突っ込んでグリグリ動かすから。透明ファイルの中に棒が入ってしまい、書類をくしゃくしゃにされた人が怒っていた。

私はDELLの小さなパソコンとカメラだけだったので、検査は簡単だった。しかしブーツを履いていたので脱がされた。普通の短靴でも脱がされる人がいたから、何かしら金属の反応があったのだろうか。

 

海外旅行に行くかたへ

連休や夏に海外へ行くときは

・持っていくものを厳選する。

・空港へは時間に余裕を持っていく。検査に思わぬ時間がかかるかも。

・そして搭乗手続きは早めに済ませる。上と同じことを書いているようだが違う。セキュリティの安全ゾーンに入ってしまえば安心だから。空港の建物の入り口ホールが一番危ないのだ。

・現地大使館のHP、日本の外務省のHPを見る。テロ関連でなくても、スリや詐欺などの手口や、最近の傾向などを解説してくれている。

・旅行目的を英語(か現地語)で簡潔に言えるようにしておく。旅行日程やホテルまで聞いていた。入国検査のカウンターでひっかかると、奥の事務所に連れていかれる。

・保険に入る。常識でしょと思うかもしれないが、何か事故があって予定を変更しなければならなくなったとき、移動の旅費や宿泊、飲食代、飛行機のチケットさえもカバーできる場合がある。入る金額にもよるので相談して決めればいいと思う。払い戻し(*下の注を見てください)のため、領収書をもらっておく。

・訪れる国の原発の場所を知っておく。私が最も怖かったのは、もしもアントウェルペンの北にある原発でテロが起きたら…であった。(下に過去記事)

 ・(テロの爆発時)目をぎゅっと閉じて両手で耳を塞いで、口は開けろ。→口を閉じていると鼓膜が破れるから。

電車は最終車両に乗れ。→爆発物を仕掛けられる可能性が最も低い。

…等々、テロの度にいろいろなことが市民の間で言われているが、私はこれらを「都市伝説」だとは思っていない。日本と違って、事件とすれすれのところで生きている人たちの知恵である。

 参考:原発テロに怯えて…cenecio.hatenablog.com

 またここでは展開しないが、言葉の問題は大きい。ツアーで行ったとしても添乗員さんがいつも助けてくれるわけではない。自分なりのアンテナ、機敏、臨機応変が必要で、情報を得るにも外国語が必要なのである。

このことを強く感じたのは、去年3月の「チュニジア博物館襲撃テロ」である。日本人も死傷者を数名出し、悲惨な事件だった。短い時間に情報を集め、物陰か部屋の隅か、屋外なら植栽の後ろに身を隠さなければならない。

 

チュニジア襲撃、乱射に子供ら身を隠す :日本経済新聞

これまでのテロの報道から最低限の知識を蓄え、賢くアンテナをはって、でも楽しく暮らしましょう。 

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(写真:パリ大学ソルボンヌの前にあるモンテーニュ像。モンテーニュルネッサンス期の人文学者。昔、私が学生だった頃は白かったのだが、いつもイジられてかわいそうな姿だった。それで黒く塗ったのかな。)

 終わり

 

まとめ テロ関連記事 

cenecio.hatenablog.comcenecio.hatenablog.cocenecio.hatenablog.com

cenecio.hatenablog.com 

 *注

保険でカバーされたもの

・パリまでの列車(タリス)料金全額

・ホテル代2泊分全額

飛行機チケットの払い戻し

・使えなかった帰りのフライト分(もともと激安チケットだったから、戻らないと思っていたのですが)

2か月位かかりましたが、きちんと対応してもらえてありがたかったです。保険は必ずはいりましょう。じゅうぶんに気をつけて、よいご旅行を!