娘が大好きで大好きでいつも抱えていた本です。
思い出深く懐かしさのあまり、ちょっと取り上げてみます。
わたしのワンピース
作: 西巻 茅子
出版社: こぐま社
発行日: 1969年12月
まっしろなきれ
ふわふわって
そらから おちてきた
で始まります。
わくわくしますね。
ミシン カタカタ
わたしの ワンピースを つくろうっと
ミシン カタカタ ミシン カタカタ
なんで黒い足踏みミシンなの~? (と大人である、無粋な私は思う)
できた できた
ラララン ロロロン
わたしに にあうかしら
お花畑をさんぽしていると
ワンピースが花模様になり、
雨が降ると、水玉模様になり、
草の実模様になり
あらら ことりが くさのみ たべにきた
するとワンピースが小鳥の模様になります。
あれえ とんだ とんだ
ここ、思いもかけない展開なので子供たちは大騒ぎします。
そのあと虹が出ていたので、虹の模様になり
夕焼け模様になり
眠くなって寝てしまいます。
空には星が一杯です。
朝、目を覚ますと
おひさま おはよう
あらっ
ワンピースが ほしのもようになってる
ラララン ロロロン
わたしの すてきな ワンピース
ラララン ロロロン ランロンロン
星模様のワンピースで歩いて去っていきます。(終わり)
絵本は根強い人気ですね。またグッズもいろいろ出ていて驚きました。
西巻茅子さん プロフィール
1939年、東京に生まれる。東京芸術大学工芸科卒業。学生時代からリトグラフ、エッチングを手がけ、日本版画家協会展新人賞、同奨励賞受賞。「子どもが画をかくときの気持ちや大胆さを大切にしたい」と語るとおり、のびやかな線と明るい色調で描かれるその世界が、子どもの心に自然に受け入れられている。代表作『わたしのワンピース』は親子二代にわたるファンも多い。『ちいさなきいろいかさ』(もりひさし文/金の星社)で第18回産経児童出版文化賞受賞。『えのすきなねこさん』(童心社)で、第18回講談社出版文化賞絵本賞受賞。その他作品多数。
下のインタビューもおもしろかったです。
『わたしのワンピース』誕生40年!
西巻茅子さんのアトリエを訪ねました!
EhonNavi BLOG: 『わたしのワンピース』誕生40年!西巻茅子さんのアトリエを訪ねました!
(上記サイトより引用)
―― そうして出来上がった『わたしのワンピース』。でも出版された当時は、なかなか大人には評価されなかったそうですね。
その頃の時代は、「子どもとはこうあるべき」「ためになるおはなし」といったものをいい絵本、心が打たれたお話と言って紹介される事が多くて。私の中にはちょっとした反発心もありました。
そういう事もあって出版された当初、大人は評価してくれなかったなという思いはありますよね。絵を見て「なにこれ?何が言いたいの?文字がほんの少ししかないからわからない。」なんて言われたりしましたよ。
でも出版されてから5~6年経ってくると、徐々に子ども達がこの絵本を好きだという事がわかってきたんです。子どもが自分で選んで本棚から借りていってしまうから「本棚にはいつもない絵本」。
そうやって図書館の方が新聞の記事で紹介してくださったんです。
最初は評価されなかったくだり、おもしろいですね。
近くの図書館の児童室を見たら、靴を脱いて座れるコーナーに3冊くらい揃えてありました。同じ本を複数冊はほかに3~4作品くらいでした。
(終わり)
『かさ』
かさ(絵本)
作・絵: 太田 大八
出版社: 文研出版
字のない絵本。モノクロで、女の子の持つ傘だけが赤い。
よく見ると大人用の黒い傘を持っています。
ははあ、お父さんのお迎えかな。
道すがらいろいろなことに出会います。
(全部の絵を載せることはできません)
子ガモを率いた親鳥二羽が川を渡っていたり、
お友達の男の子とそのお母さんと会ったり、
犬に水をかけられたりもします。
陸橋をわたって、
洋菓子店の前を通って(うーん、おいしそう!)、
歩道橋をわたって
おもちゃ屋さんの前でしばし立ち止まって、
横断歩道をわたります。
駅が見えてきました。
おとうさん、おかえりなさい。はい、かさだよ。
ああ、よかった!お役目をちゃんと果たせたね。読み手もほっとします。
赤い傘に導かれ、共感を持ってここまでやってきたのですから。
事故にあったり道草をくうなんてこともなかった。
かえりにさっきの洋菓子店でケーキを買ってもらいます。
お迎えのごほうびですね。
帰り道、女の子は傘をさしません。赤い傘はお父さんの手に。
だって女の子はケーキの箱を持っているのです。それでお父さんの大きな黒い傘に入ってゆっくり歩いて帰ります。
話はこれで終わりです。
絵だけなので、女の子の心情を想像しながら読み進めることができます。
話が逸れますが、赤い服ですぐ思い浮かべるのは、あの赤い服の少女。映画「シンドラーのリスト」(Schindler's List 1993)に出てくる女の子です。
乗馬中の主人公シンドラーはずっと目で追っている。恋人の女性に行きましょう、と促されてもあの子から目を離すことができない。不条理にもあそこに集められ、殺されていく名もない群衆(ユダヤ人)からぽっかり少女だけが赤い服によって浮き上がる。だけどモノクロの群衆にだって、一人一人に名前があり、人生があるのだ。
少女は死んで運ばれていく。シンドラーが救えたかもしれない命だった。シンドラーがその後、ユダヤ人を救うべく、知恵を絞り奮闘するきっかけとなる重要なシーンである。(記憶違いもあるかもしれません)
追記:訃報
赤い傘
(写真:ブリュッセル。オランダ語図書館の2階の窓から撮影。 2016年3月)
追記:2019年12月2日
グーグルアースで通りを探してみたら、2010年の画像。え、9年前?
2019年5月のがあった。
ここまで追記
ぐりとぐらのねずみって どこから生まれたキャラクターか知っていますか。
作: 中川 李枝子
絵: 大村 百合子
出版社: 福音館書店
発行日: 1967年01月
まちがいなく古典の作品です。
もうこれだけ言って、終わりにしてもいいくらいです。
好きなところはいろいろあるけれど、
大きな卵でカステラを作ることにして、歌を歌いながら焼けるのを待っているところ。
左頁
右頁
このとき、あちこちから動物たちが顔をだしているのがいい。
匂いにつられ、歌につられ、ですね。
また
このときの歌
ぼくらの 名前は ぐりと ぐら
このよで いちばん すきなのは
おりょうり すること たべること
ぐり ぐら ぐり ぐら
これに私がメロディーをつけて伴奏し、子供たちと歌っていました。
できあがるとみんなでなかよく食べます。
動物たち、可愛くて見ていてあきません。
かたつむりやトカゲやカエル、モグラやフクロウまでいます。
で、さいごがけっこう意外でした。
割った殻でつくった車に乗って帰るふたり。
まいりましたね。
英語版
Cover of US edition of the first volume, 2002.(ウィキペディア)
ちょっとウィキペディアの解説をみてみましょう。
双子の野ねずみ、「ぐり」と「ぐら」を主人公とする物語。福音館書店から単行本が出版されており、2015年現在、シリーズ累計発行部数は関連書籍も合わせると2,490万部を超える。シリーズ1作目の『ぐりとぐら』は、2015年の時点では472万部発行されている。
1967年の英語版が最初の翻訳本である。2001年までに英語、デンマーク語、エスペラント、中国語、朝鮮語、フランス語、タイ語、オランダ語、クメール語、スペイン語の10言語に翻訳された。
「ぐりとぐら」という名前は、中川李枝子が勤めていた保育園で読まれていたピエール・プロブスト(フランス語版)の絵本シリーズ『カロリーヌ(Caroline)』の1冊である『Pouf et Noiraud campeurs』の登場人物の野ねずみが歌っていた「グリッグルッグラッ」に由来する(*)。
(ウィキペディア)
* 『MOE』2013年4月号、8頁、14頁
このようにウィキペディアにはありますが、まだMOEを自分で調べてみていません。それなのにここに書くのはちょっと気が引けるのですが、バックナンバーを見る機会があったらまた報告します。
『Pouf et Noiraud campeurs』の登場人物の野ねずみ
このねずみちゃんかしら。
カロリーヌと結びつきがあったとは!
追記:こちらのサイトもおもしろいです。
追記:2020年1月 ソール・ライター