外国暮らしで出会うおもしろいニッポン。たいていはクスリと笑えるものばかり。
以前書いたエントリ、デスノート絡みの「キラ殺人事件」のような衝撃的で恐ろしいものはめったにない。あっては困るし。今日は「すしブームさいたまの謎」みたいな、日本と関係のある話題を簡単にまとめてみる。
*「キラ殺人事件」
KIRA(キラ)がブリュッセルに現れた日 デスノート・ NARUTO(+KANA出版の紹介)
**「すしブームさいたまの謎」すしブーム さいたまの謎
1.日本の名前が好き
いつごろからかわからないけど、日本語の名前や文字(Tシャツや入れ墨)は人気である。道を歩いていて、日本語の単語が聞こえたりすると、つい振り向いてしまう。
「スシ!」
「ネタ!」
え、何だろうと立ち止まると、そこにいたのは猫だった。飼い主の若い女性はいたずらっ子のような目つきで「おもしろい名前でしょ」と私に同意を求めるのだが、なんと答えていいのやら。ただ言えることは今後猫が増えても大丈夫。まだ「(ワ)サビ」も「ガリ」も「トロ」もいろいろあるしね。
ゲイの男性で「ハルキ」と名乗っている人がいた。本名はカッコいい勇まし系の、ちょっと古めかしい名前だ。それが嫌で仕方がないんだとか。村上春樹のファンなのかなと思ったら「違うわよ、音がステキだから」。
もし子供ができたら、「アスカ」「レイ」とつけたいのだが、あなたはどう思うかと聞かれたこともある。「男女両方につけられる名前だと聞いたけど本当?」とりあえずリサーチはしたようだ。言われてみればそうだな。いや、でも男に「アスカ」は…う~ん、どうなんだろ?お騒がせの歌手アスカを思い浮かべる。エヴァンゲリオンのファンだった。そしてきっとそのうち来るんじゃないか。ナルト、サクラ、サスケたちが。
店の名前で旨味” UMAMI”はよく見かける。ブリュッセルにもアントウェルペンにもあるし、フランスやアメリカにもある。調査をしたらおもしろいだろう。世界中にあると思う。
*「UMAMIDO 旨味道」ベルギー国内に5店舗も。→Umamido
**「UMAMI 旨味」アントウェルペン。よだれがでそう…→Umami
2.ニンジャ募集
フランス語新聞ル・ソワール紙で見た、愛知県の忍者募集の記事には驚いた。
連続テロの2~3日後のことである。どの紙面もテロ関連の記事で埋め尽くされ、それ以外は国内・国際政治の記事だ。その中に「日本で忍者募集」とあったから、おもわず口元が緩み、ほっこりした。
読んでみると、記事を書いた記者がおもしろがっていたのは、忍者募集そのものではなく、日本人より数倍多く、アメリカ、ヨーロッパから応募が殺到したことだった。そして忍者を知らない読者のために「忍者は日本の封建時代の隠密戦士」と説明もつけてあり、妙に納得したものだ。
その後忍者隊はどうなったか、気になったので調べてみた。みなさんはとうにご存じかもしれません。
忍ばないスターな忍者 新メンバー
書類選考のあと→ オーディションで24人選出→ そして7人に決定した。日本人6人、外国人1人。異国人忍者は、アメリカ国籍のクリス・オニール氏(29歳)でフリーランニングやアクロバットが得意なんだそう。
そしてお披露目の様子。
3.絵文字にそんな裏の意味が!
絵文字は日本生まれだが、もう何年も前から、世界中”emoji”で通じる。はじめのうちは文化の違いから(ジェスチャーや身振りが違うのと同じように)絵の意味がわからないものも多いらしくて、解説をするサイトやemojiの意味を巡ってツッコミを入れて楽しむフォーラムなど、おおいに盛り上がっていた。
例えばこれ
日本人なら「眠い」「寝ている」と理解すると思うが(それとも違う?)、欧米人には見当もつかないらしい。
「なに、あの風船は?」
「風邪で鼻水が出るんでしょ」
本当の意味を教えられると
「おかしいよ。眠っているなら " zzz " でしょ」
すると日本の漫画を読んで育った人が得意げに言うのだ。「え~知らないの?漫画読んでたらみんなわかるのに」。
下のはオランダ語の個人のサイトだが、「みんなの絵文字の使い方、間違ってるよ。私が教えてあげるね」と解説している。
私は全然使わないので、知らない絵文字も驚きの発見もたくさんあった。
たとえば
左:流れ星などではなく、眩暈や立ちくらみのとき見える星、というのだが本当に?
真ん中:口笛を吹くではなく、キス。
右:喜んでいるのはなく、OK(許可、同意)を表している。絵文字って難しい。
この三つはさすがにわかる。しかし外国人は
左「グリーンピースなどの野菜スープ」
真ん中「ハイタッチ(High-five)」
右「腕立て伏せ」だと思うらしい。
まあ、ここまでは「文化の違い」が楽しめ、のどかな世界だ。
しかし、絵文字は裏の意味でもよく使われている。一番多く使われているのは野菜のナスで、これは男性の性器を意味する。桃は…もう言わなくてもわかるね。ほかにも二重の裏の意味を持つものがあり、絵文字だけでイミシンな文が作れる。親しい間で楽しむなら問題はないのだが・・・。
絵文字使用を禁止
イギリスのガーディアン紙によると、昨年インスタグラムは、ナス(英語:eggplant またはaubergine ) の使用を禁止した。明らかにある特定の意図があって使われており、規約に抵触するからだという。バナナやモモもいずれ禁止になるのかな。
そしてタコスも性的な意味があって問題だと?タコスの絵文字を考えた人はピザやハンバーガーがあるなら、タコスもいいよね、と思っただけなのだろう。
さらに"Flirtmoji"なる世界もあるなんて!画像を貼る勇気がありませんので、下をクリック。これはほんの一例。
https://i.pinimg.com/564x/92/0e/19/920e193e1cebf29ce933823915026130.jpg
詳しく知りたい方はガーディアン紙の記事をお読みください。
のどかな絵文字の世界は壊れつつある?いや、どんどん変わっていくんだろう。
4、ランジェリーの名前が意外
日本女性の名前は下着にも使われていた。
AKIKO
ベルギーの下着ブランドが、日本イメージで「秋冬コレクション」を展開したことがあった。前回の滞在時2007年のことだが、ある日オランダ語新聞を読んでいたら、下着姿の女性の写真と、「日本的奥ゆかしさ」という記事タイトルが目に入った。何これ?ちょっと待って。かなり慌てた。
広告ではない。れっきとした記事である。ベルギーの高級ランジェリーブランドMarie Jo が、この年の秋冬コレクションのテーマに選んだのは「日本」である、日本女性の三つの名前を冠したランジェリーのシリーズを発表したという記事だった。
そしてその名前が意外だった。
AKIKO、REI、IKUMA。
えっ、イクマって女性の名前かなあ。まあまあ、細かいことは言わない。マリー・ヨーの世界なんだから。記事は長いのでざっくりまとめると、マリー・ヨーのニッポン観とはこのようなもの。
”洗練と落ち着き、秘めやかな官能、
パッと見にはわからない手の込んだ贅沢、
伝統と流行の調和”
AKIKO(上の写真)のシリーズでは、ボディに刺青をえがくかのごとき、繊細なレース使いにより、ほのかなエロスを演出している。デザインと色のバリエーションを用意している。
REI
レイのシリーズでは、日本人が大好きだという千鳥格子模様を取り入れたり、生け花をデザインした豪華な刺繍が特徴的。職人の高度なテクニックが光る。暖色の茶色やモスグリーン、あるいは白などがある。
IKUMA
イクマは着物からインスピレーションを得ていて、手描きの図柄(手描き友禅のことか?記事を書いた記者の取材なので)や日本刺繍風のデザインが目を引く。皇室の人が着るような着物をイメージしている、etc...。
あくまでマリー・ヨーのニッポンなのである。
終わります。
(2015年アントウェルペンの街角で)
🌸「ポケモンキャラの名前を子どもにつける親たち」
🌸追記:2018年2月4日
おもしろい記事www.tokyo-np.co.jp
略
追記:2018年6月27日 東京新聞朝刊