ベルギーの密かな愉しみ

しばらくの間 お休みします。

フランスの子どもたちを日本アニメオタクにした番組 「ドロテ・クラブ」Club Dorothée -2-

昨日の続きです。

フランスにおける、日本のアニメ・漫画熱は半端ではない。昨日話題にした『Candy』で育った世代は親になり、小学生や中学生の子供がいるわけだが、この子たちがまたすごい。親からじかに学ぶからだ。二世代にわたる、日本のアニメ・漫画のコアなファンが大勢いる国フランス(@_@)。もちろんベルギーにも少しはいるけど。

 

フランスの子どもたちを日本アニメオタクにした番組

フランステレビ1チャンネルのドロテ・クラブ(Club Dorothée、省略してClub Do)の功績は大きい。これは子供からティーンエイジャー(teens)までを対象にしたバラエティ番組で、リアリティ・ショー(ドラマ)や歌やアニメなどいろいろあるのだが、とにかく日本のアニメは大ヒットだった。もちろん米英や自国フランスのアニメ作品もあり、私は興味を持ってけっこう見ていた。しかし残念だが、地味すぎるし、マンネリしていたかな。

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この人がナビゲーターのドロテ(Dorothéeお姉さん。

ドロテのほかにアリアンヌ(Ariane、下「ドラゴンボール」参照)など数人でチームを作り、番組を進行していた。

放送時間も毎朝、学校へ行く前7:20-8:30 と夕方16:35-18:00 と少なくとも二つの時間帯があった。水曜や週末、学校が休暇のときはさらに時間帯の枠が増える。

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これは我が家で購読していたドロテ・マガジンで、アイドルのニュースや日本の漫画、動物や自然コーナー、読者からの投書などが載っている。ポスターなどおまけもあり、懸賞もあって盛りだくさん。

ドロテ・クラブは1987年から1997年まで10年間続いたが、私たちが住んでいた94-95年は、セーラームーンドラゴンボール、らんま1/2 が圧倒的な人気だった。

 

主題歌

ドラゴンボールは声優さんが皆良くて感心したものだ。

歌は私の好きな影山ヒロノブさんではなく、またここでもフランス自前の主題歌を、このアリアンヌお姉さんが歌っている。

 

www.youtube.com

 

女性から男性に

声といえば、おもしろかったのはセーラームーンの猫。

 
 
 
 
 
 
 

 

 

 

 

みなさんご存じと思うが、右の黒猫はルナ(Luna)といい、主人公のセーラームーンこと月野うさぎについている。メス猫である。

左の白猫アルテミス(Artemis)は、ヴィーナス(Sailor Venus)こと愛野美奈子についている。原作ではオス猫である。そして2匹が結婚して子供の灰色猫ダイアナが生まれる。しかし実は「アルテミス」はギリシア神話に登場する狩猟・貞潔の女神、月の女神である。ルナもアルテミスも女神なのだ。それでフランスでは吹き替えの際、苦慮したようだ。

シーズン1から4まで女性の声優をあてたが、ルナと結婚したのでシーズン5では急きょ男性の声優に変えたのである。

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セーラームーン展ポスター。六本木ヒルズ

 

らんま 1/2

映画も3本上映されたほどの人気ぶり。

らんま 1/2  中国寝崑崙大決戦! 掟やぶりの激闘編!!(La Grande Bataille de Chine)

らんま 1/2 決戦桃幻郷! 花嫁を奪りもどせ!!(Rendez-nous nos copines ! )

らんま 1/2  超無差別決戦! 乱馬チームVS伝説の鳳凰( L'Équipe Ranma contre le Phénix Légendaire)

 

ドラゴンボール

フランスでは子供や若者の間に熱狂的なファンが生まれた。これがきっかけで日本への興味が生まれ、日本語を習い始めた人も多い。

しかし暴力や戦闘シーンが多く、教育上好ましくない表現があるとして、批判も浴びた。特に教育に関心の高い家庭では禁止というところが多かった。「あんな低俗なもの、お宅でも見せているんですか?」と、あからさまに言われたこともある。

当時いろいろなドラゴンボールグッズが流行っていたが、そういう家庭の子弟は、学校で友人に見せてもらっで我慢し、漫画を借りてその場で急いで読んだりしていた。 

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(ドロテ・マガジン ドラゴンボールZ 特集号 1995年7月) 

ではフランスで青少年に推奨される漫画はなにか。

フランスやベルギーでは漫画・コミックスとは言わず、B.D.という。 bande dessinée (バンド・デシネ)絵を描いた帯という意味である。 親が子供に読ませたいB.D.はなにかというと、 例えばAstérixである。

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見たことがあるだろうか。翻訳もあるらしいが、読んだことはない。興味のある方はアステリックス - Wikipedia

 今日は終わります。

 

追記:

ドロテクラブ世代と呼ばれる1980年代うまれのフランス人たち、

この層は現在30~40歳代なので購買力が高く、日本のサブカルコンテンツの消費や紹介・普及に影響大である。そのコアなファンの中に、このたび仏版シティハンター(実写化)を作ろうという強者(つわもの)がいて、昨年から話題になっている。2019年に封切りとのこと。

↓詳しくはこちら。

cenecio.hatenablog.com

↓ポスターも発表になりました。

とりあえず第一弾ということです。

https://pbs.twimg.com/media/DfKiwXvX0AEsx6g.jpg:large

 

 

🌸種を蒔いて育てている朝顔

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他の色が咲かないのが多少気になるけど、美しくて十分嬉しい。