きのうまで無名だったのに、翌日にはスターになっていた、ということはままありますよね。ベルギー人のこの女性、陸上競技選手でリエージュ大学の学生がまさにそう。
美しいビーナスの誕生に立ち会う
私はベルギー応援ブログを書いているので(2016年は少なくとも)、ベルギー選手の成績をいつも見ていたわけですが、彼女は彗星のように現れて金メダルをさらってしまいました。
ナフィサトウ・ティアム(Nafissatou Thiam)選手、このときはまだ21歳。数日あとに誕生日を迎え、22歳になります。
何の競技かというと七種競技、英語名はヘプタスロン(Heptathlon)
一日目:100mハードル、走高跳、砲丸投、200m走
二日目:走幅跳、やり投、800m走以上の7つの種目で合計点を競う。
ナフィサトウ・ティアムの優勝は全く誰も予想していませんでした。というのも、この大会で銀メダルだったイギリスのジェシカ・エニス=ヒル(1986年生まれ)が本命で、彼女は2012年のロンドンの覇者であり、2015 年の世界陸上競技( 北京 ) の金メダリストだったからですね。
(写真:右がジェシカ、左は銅のカナダ人。ボルトと記念写真を撮るようす。写真などは下の記事から)
ナフィサトウは、1994年にブリュッセルに生まれた。4人きょうだい。母親(Danièle Denisty)はベルギー人、父親はセネガル人だが、母国に単身帰国。母と子供たちはワロン地方の小さな村に引っ越した。ナフィサトウは現在、リエージュ大学で地理学を専攻している。
ひとこま漫画-1-
さあ、大変!ベルギー中が大騒ぎ。
8月16日付のLeSoir紙のひとこま漫画にも、さっそく「スター誕生」と称えられました。オリンピック前はベルギー人もほとんど誰も知らなかったのだから、いかに衝撃的な「誕生」だったかわかると思います。
漫画はもちろん、ボティッチェリ(Sandro Botticelli1483 - 1485)から。
西風のゼピュロス(Zephyr)が 漫画では国王とお妃、マントを持った女神は漫画ではミシェル首相。国王たちの足もとにパンダがいるのは、6月にベルギーで赤ちゃんが生まれて、ちょっとしたパンダブームが起きたから。
悔しがるイギリス
七種競技の金を逃したことは、イギリスにとっては「まさか」だった。ジェシカ・エニス=ヒルは出産もし、けがもしたし、プラス30歳という年齢のハンディもあるのだが、それでもイギリスの七種と五種の記録保持者であり、長い競技生活の知恵と経験を活かし、体調を管理して本大会に臨んできていたのだ。
ジェシカは走る種目に強く、200mは2位だった。6種目めまでナフィサトウにリードを許していたが、最終種目は800m。ジェシカは全体の3位、ナフィサトウは19位でゴールした。しかし計算の結果、ナフィサトウを超えることはできなかった。
イギリスの新聞はよっぽど気になる(悔しかった?)らしく、この競技にかくも丁寧な解説をつけて記事を出した。英文を読まないまでも、ちょっと写真だけでもご覧あれ。力の入れようが半端じゃない。
ホッケー(hockey)
日本ではアイスホッケーを思い浮かべるが、ヨーロッパにおいてはそれはイコール、フィールドホッケーのことです。オランダやドイツではとても盛んでしかも強い。オランダは男女とも強豪国だから、まさかベルギー男子がオランダを差し置いて、銀メダルに輝くなんて!私は考えてもみませんでした。
オランダ男子は、3位決定戦でドイツに敗れてメダルが取れず、失望感が濃いようでした。(最近はサッカーもダメだしね・・・)。ロンドン五輪では男子が銀、女子が金だったというのに。本当に気の毒なくらいがっかりしていました。
金メダルはアルゼンチンでした。
ひとこま漫画-2-
http://portfolio.lesoir.be/v/le_kroll/72018+ao__t+2016.jpg.html
漫画によれば、ベルギー人はルールなんてわかってないみたいです。
「悪魔たち、がんばれ」と応援する父親に娘が、「ライオン」でしょ、と直している。(「赤い悪魔」はサッカー・ナショナルチームの愛称)
ひとこま漫画-3-
http://portfolio.lesoir.be/v/le_kroll/682Le+Kroll+du+20+aout+2016.jpg.html
公園や空き地でみんなが急にホッケーをやりだした様子。
今日は以上です。
台風、気をつけてくださいね。