つるふさの法則、覚えていますか。ロシアでは帝政時代から現在までのおよそ200年もの間、最高権力者の頭がハゲている者(つる=bald)とそうでない者(ふさ= hairy)が交互に就任する、という厳然たる規則があること。ご存じない方は過去記事で。
今日は ロシアの真実第二弾。背筋が寒くなるロシアの愛国教育について。
写真は、アメリカの写真家Sarah Blesenerさんがロシアの学校やキャンプ場で撮ったものを幾つかのサイトからお借りしています。
Sarahさんのtwitter。
2015年、ロシア政府は愛国教育プログラム2016-2020に対して、2億7千万ユーロという巨額の予算を当てました。子どもたちにも祖国を守るという責任と自覚を植え付け、訓練やイデオロギー教育を通して、いざという時の準備をさせようというものです。
訓練は学校の授業のあとやキャンプなどで行います。軍事ボーイスカウトみたいな?
(オランダ語新聞De Morgen紙「キャンプ・プーチンへようこそ」Welkom in Kamp Poetin)
右:Dmitrovの公立学校でいかに早く毒ガス用マスクを装着できるかを競う。
過去の戦争を追体験する戦争キャンプBorodinoにて。訓練で疲れ果てた子どもたち。
乗馬も必須。祖父たちの世代の戦争に思いをはせる。
歌いながら行進する少女たち。Dmitrovの学校で。
黄色いTシャツのイゴール君(14歳)、自分の武器を試している。
愛国教育、イデオロギーの授業。(2016年4月)
可愛い兵士たち。
歴史上の戦闘について学ぶキャンプ。
生徒たちは第二次大戦の軍服を着ている。
射撃訓練をする子どもたち、Borodinoにて。
偽の手榴弾をエアソフトガン(Airsoft Gun)で撃つ練習。
http://www.sarah-blesener.com/
エアソフトガンの練習。
戦術訓練をする子ども。Diveevoにて。
そして最後はちょっと笑えるロシアの英雄たち。
The Russian Summer Camps Where Students Box and Assemble AK-47s | WIRED
ソ連時代のまんま、って感じ。日本では報道されないロシアの現実でした。
さてもうじき2月23日ですが、何の日かご存知ですか。ロシアでは祖国防衛の日だそうで休日です。ウィキペディアによれば、1918年のこの日、ソ連の赤軍がドイツ帝国軍に初めて勝利したことを記念して作られました。ソ連崩壊後の1991年に現在の名称になったといいます。
人類史上最大の水素爆弾
最後の話題は もっと怖い、単一兵器としての威力は史上最大のツァーリ・ボンバ。
広島の原爆「リトルボーイ」の3300倍というのだから見当もつきませんが、それを一目瞭然のわかりやすいグラフにしてくれた人がいました。クリックしてみてください。
https://i.pinimg.com/564x/2e/54/55/2e5455fe13b5d85569e7d42729a29dff.jpg
これを作成したのはMaximilian Bode氏といって、The New Yorker誌のアートディレクターだった人。(↓こんな絵を描く人です。見たことがありますね。Sketchpad: Pixies at the Bowery Ballroom - The New Yorker)
実験の場所
1961年10月30日に赤い点(ノヴァヤゼムリャ)の所で、実験が行なわれました。
フルシチョフが、1961年7月10日、共産党大会開催中の10月下旬にこの爆発実験を行うように、と指示を出したのです。
第二次世界大戦中に全世界で使われた総爆薬量の10倍の威力を持つといわれるこの100メガトン級(実際は50メガトン)核爆弾の核爆発は2,000キロメートル離れた場所からも確認され、その衝撃波は地球を3周した。
ツァーリ・ボンバは本来、核分裂-核融合-核分裂という3段階の反応により100メガトンの威力を実現する多段階水爆である。
しかし、100メガトン級の爆発ともなれば、ソ連領内の人口密集地へ多量の放射性降下物(死の灰)が降ってくることが予想されたため、実験にあたっては第3段階のウラン238の核分裂を抑えるようにタンパーが鉛に変更され、出力は50メガトンに抑制された。
この結果、放出される放射性物質の量はその出力の割にはかなり小規模なものとなった。
(ウィキペディアより)
ツァーリ・ボンバは特別な改修をうけたTu-95戦略爆撃機(写真)によって運搬・投下された。測定・撮影用にTu-16Vが随行していた。
熱線による被害を最小限に抑えるため、この2機には特殊な白色塗料が塗られていた。
ツァーリ・ボンバには、重量800kgにも達する多段階の減速用パラシュートが取り付けられた。これは、投下機が爆心地から45キロメートル程にある安全圏へ退避する時間を与えるためであった。このような対策をしない場合、猛烈な熱線と衝撃波が投下機を襲うか、弾頭が高速で地面に激突して一面に想像もつかない結果を引き起こしてしまう。(ウィキペディア)
また、youtubeにビデオもあがっているので貼り付けておきます。Tsar bomba - YouTube
このフルシチョフの時代、まだ子どもながらも核戦争が起きるんじゃないかと不安だったのを覚えています。ベルリンの壁が建設され、キューバ危機、ケネディ大統領の暗殺など…いろいろありましたが、日本では1964年に初めてのオリンピックが開かれました。
🌸おまけ
いつもお世話になっているOnly In Russiaさん。Only In Russia (@CrazyinRussia) | Twitter 今日は犬だけです。
宇宙飛行士
追記:ウクライナ再燃 2017年5月
世界がトランプに振り回されている間に、ウクライナの東部では政府軍と親ロシア軍の戦闘で、多くの死者が出ている。
http://www.interpretermag.com/day-1084/?pressId=16073
こちらのサイトではわかりやすい地図を用意して、深刻さと即時停戦の必要を訴えている。「民間人に死傷者が出ているほか、数千人が食料や暖房のない状態に陥っている」という。
追記:2018年12月8日
子どもたちがAK-47で訓練、ウクライナ民族主義政党のサマーキャンプ(BUSINESS INSIDER JAPAN) - Yahoo!ニュース
一部 引用
「ターゲットを人間と思うな」
そう、この少年少女たちは人を殺すために引き金を引く。
ウクライナ西部の森の奥深く、少年少女たちは「テンパー・オブ・ウィル(Temper of will)」と呼ばれるサマーキャンプに参加している。開催したのは同国の民族主義政党スヴォボーダ党。
スヴォボーダ党は暴力的な活動や人種差別で非難されている。サマーキャンプはLGBTの権利やイスラム教に対抗する白人至上主義の思想に基づいたものだ。
ロシアとの対立において、スヴォボーダ党は中心的な役割を自ら担ってきた。そして政府とのつながりも保っている。
2018年はじめ、ウクライナの青少年スポーツ省(Ministry of Youth and Sports)は、同党が運営する多くのキャンプのいくつかに約15万ドル(約1700万円)の予算を割り当てた。同省によると、「愛国心教育」のため。
つまり「テンパー・オブ・ウィル」キャンプの目的は2つ。ロシアや親ロシア派から国を守るために子どもたちを訓練すること、そして民族主義的イデオロギーを広めることだ。・・・
[原文:Inside a Ukrainian nationalist camp where kids are trained to kill Russian invaders]
(翻訳:仲田文子、編集:増田隆幸)