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すばらしいひこうき(L'AVION MERVEILLEUX)
今日はこれ。前回と同じ Heather S. Buchanan(ヘザー・シンクレア・ブキャナン)の作品です。やはり1985年のもの。
前にも書きましたが、フランスで買ったイギリスの絵本です。
ネズミ好きの我が家は、ついつい手が伸びて買ってしまうんですね。
つきあわせてすみません。
そして邦訳はちゃんとあるのです。日本に帰ると何でもあるので、びっくりします。
表紙の絵が違いますけど。
ジョージ・マウス はじめてのぼうけん– 2005/5
ヘザー・シンクレア ブキャナン (著),評論社
ネズミのロビンくんを紹介します。
両親と5匹の姉妹と木のうろに住んでいます。
いま(下の絵)は何を読んでいると思います?
新聞です。地球を一周するすごく速い飛行機のことが出ています。
そうそう、ちょうど自分も空を飛んで世界をめぐりたいな、と思っていたのでした。
これはアトリエ。
ね、何をしようとしているかわかるでしょう。
ロビンは手仕事が大好き。発明家なんです。
必要なものを集めて、設計図を描いて。どこに?ってその黄色い葉っぱにですよ。
お母さんが朝ごはんを作っています。
何日もかかりましたが、すてきな飛行機ができあがりました。
あとはヘアピンのプロペラをつけるだけなんですが、これをどうやって回すかー
いいアイディアが浮かびません。
気分転換にピクニックに行きましょう。
木の実を持って小川のほとりにやってきました。
小さな妹がふたり、楽し気に跳ねていますと、
突然大きな音が響きました。
それは人間でした。おなじくピクニックに来ていたのです。
男の方はいびきをかいています。
足のところにガラスの広口瓶があって、赤いゴムが妹ネズミの頭にかかりました。
二人は走って逃げて みんなのもとに帰りました。
その赤いゴムを見たロビンは はたと思いついたのです。
そしてアトリエへ走り出しました。
ほら、赤いゴムで
プロペラのピンを回すのですよ。
ロビンは飛行士の帽子をかぶり、
寒くないようにとお母さんが編んでくれた服を着て、
シートベルトを締めました。
お父さんネズミがプロペラをグルグルと、少なくとも50回は回してくれました。
いよいよその時がやってきました。
お父さんネズミはプロペラを放しました。
冒険家の気分で空を飛び、かなりの距離をやってきました。
ところがだんだん速さが落ちてきて、ロビンの飛行機は木の太い枝に不時着陸しました。危なかったですが、けがはありませんよ。
再びプロペラを回して、素早く飛び乗り、家路につきました。
家族はみんな集まって、ロビンがよく見えるようにろうそくを灯し、ロビンの帰りを待っていました。
無事に着陸できました。
といってもそこは、お父さんネズミがくわを入れたばかりの菜園だったのですが。
でもお父さんはちっとも怒りませんでした。大切な息子の帰還が嬉しかったのです。
そしてロビンは、顔いっぱいに笑みを浮かべています。
悦びと誇らしさで溢れんばかりの。
飛行士にして探検家のネズミなんですもの。
おしまい
著者 ヘザー・シンクレア・ブキャナン
これまた愛らしいホームページをお持ちのブキャナンさん。
小さいころから絵を描くのが好き。8歳のときにハムスターを飼い始め、子どもをたくさん産むので増えました。するとお父さんが古いクローゼットを改造して、ハムスターのおうちを作ってくれました。ハムスター全員に名前をつけ、よく観察するようになり、スケッチを始めました。そしてハムスターが主人公の物語を編み出したというわけです。本はいまのところ12冊出ているそうです。
Heather Buchanan : Meet Heather
お話はここまで。