ナポレオン以来の・・・
PHOTOS. Macron président : les images d'une soirée historique - L'Obs
「ナポレオン以来」は、フランス大統領選が始まってから頻繁に聞かれた形容詞。つまりもし39歳のマクロン氏が大統領に選出されれば、それはナポレオン以来の最も若い一国のリーダーになるだろうという意味で。
いろいろある中で「エリゼ宮のロックスター」というのが気にいっています。「未来を語る」というのもありました。他の候補は過去を見ているのに対し、フランスの将来を、理想を語っていました。スキャンダルもどんでん返しも何でもある選挙戦でした。
候補者がパートナーとともに表紙を飾ったり
映画のポスター仕立てのおしゃれなTwitterが印象的でした。
なかなかに賑やかだったけれど、最後まで心配でした。急進左派のジャン=リュック・メランション氏の追い上げがあったため、最悪のシナリオ、すなわち右と左のポピュリストふたりが5月の決選投票に進む可能性も危惧されました。二人ともEUとの関係を見直すことを政策に掲げていたのです。イギリスの次にフランスも、というのではヨーロッパはおしまいですから。
そして4人の候補者が20%程度の支持率で横に並ぶという、異例の大接戦でした。
蓋をあければ、ああそんなに心配することなかったなと思い、ほっとしました。
マクロン氏(23.9% フランス地図黄色)が首位に立ち、続くル・ペン氏(21.4%フランス地図灰色)と5月7日の決選投票に臨みます。(フィヨン氏19.9%フランス地図青色、メランション氏19.6%フランス地図赤)
仏ルモンド紙の記事です。得票トップの候補者で色分けし、可視化したもの。
フランスの分断
もっとわかりやすいのがこちら。南北に、東西に分断されているのがわかります。
Hervé Le Bras : "La carte du vote Macron est l'inverse de la carte FN" - L'Obs
国民戦線ル・ペン氏の勢力拡大のようす
工業地帯における雇用の変遷に伴います。
AFP news agency (@AFP) | Twitter
退く人
5月に任期満了のオランド大統領がテレビを見ている、という設定。
右翼仲間
オランダの右翼政党のウィルダース氏が、躍進したル・ペン氏のお祝いに。
Voici les meilleurs tweets du 1er tour de l'élection présidentielle
選挙キャンペーン中、ナンシーでとっても若い支持者を抱っこするマクロン氏。
Emmanuel Macron, een rockster voor het Elysée | Frankrijk | De Morgen
左:妻 右:義理の娘
Ces femmes qui entourent Emmanuel Macron - Madame Figaro
投票率はどのくらいだったんでしょう。
私はうまく探せず、昨日の夕方5時の時点で69.42%ーこれしか見つかりませんでした。いちおう切り抜いておきます。もちろん70%は超えていると思いますが。
5月7日の決選投票の世論調査による予想は次の通り。
各社とも、マクロン氏が6割以上を獲得するだろうということです。
お祭り騒ぎだったかつての仏大統領選
思い出話になります。
フランソワ・ミッテラン大統領誕生のとき(1981年)も14年務めたあとで退任するとき(1995年)もフランスにいたので感慨深いけれど、こちらのお二人さんのことも今とても懐かしく思い出します。
Encyclopédie Larousse en ligne - Jacques Chirac
これは1995年の大統領選です。フランスの小学生も選挙に関心が高いのだなと感心したこともあって、強く印象に残っています。
ジャック・シラク(Jacques Chirac 共和国連合)とリオネル・ジョスパン社会党党首( Lionel Jospan )の戦いは、第一回投票でジョスパンが首位に立ち、決選投票でも善戦したのですが、結局敗れてしまいました。
この結果を私たち家族はおもしろい所で知ることになります。その日はちょうど息子がやっているスポーツの全国大会の日で、息子は代表に選ばれて地方の都市へ出かけていました。子どもたちは全員、コーチの車で連れていってくれるのです。同じホテルに泊まり、一緒に行動します。応援したい家族は各自ホテルを予約して、列車か車などで移動する。
大会も終わって夕方、選挙の結果が待たれました。私たちが帰路の列車に乗っているとき、車内アナウンスでシラク氏が選ばれたと発表がありました。
息子はコーチの車の中で、皆でラジオを聞きながら発表を待っていたそうです。そしてシラク氏の名が告げられると皆がNO~!と叫び、仲間たちの親もコーチも全員が社会党のジョスパン氏に入れたことがわかったというのです。政治や選挙の話は常日頃からしているらしく、政策などもよく知っているようでした。フランスの子供たち、凄いな!
お約束の諷刺人形劇
フランスのTV局Canal+の番組”Les Guignols de l'info”は楽しかったです。政治家たちはデフォルメされた、しかしよく似ている人形たちで出演します。
パロディやら諷刺やら皮肉やら…おもしろそうなネタがいっぱいなんですが、いかんせん事情を知らないとついていけません。それでも笑えるところはいろいろあって、選挙前の楽しみでありました。
Les «Guignols de l’info» ne feront pas leur rentrée avant octobre
政治家ばかりでなく、タレントやスポーツ選手なども。真ん中の人が司会者です。(1998~2015年まで)
そんな風に選挙はちょっとしたお祭り騒ぎでした。「でした」と書くのも、今では伝統的な既成政党が弱体化してしまい、今回の選挙はまさか大統領候補になるなんて予想もしなかったアウトサイダーばかりです。3年前、マクロン氏を誰が知っていたでしょう。党の中で揉まれ、経験を積んで成長してきた者の中から後継者を選ぶ時代は終わったのでしょうか。
のっぽとちびの法則
ロシアの「つるふさの法則」ロシアの真実 ”the bald truth”「はげの真実」 - ベルギーの密かな愉しみ
のようにフランスにも第五共和制の大統領には「のっぽとちびの法則」があります。
(ありました。過去形です。なお、ちびというのは高身長でないという位の意味)
・シャルル・ド・ゴール Charles de Gaulle (1890–1970) のっぽ
・ジョルジュ・ポンピドゥーGeorges Pompidou (1911–1974) ちび
・ヴァレリー・ジスカールデスタンValéry Giscard d'Estaing (1926– ) のっぽ
・フランソワ・ミッテラン François Mitterrand (1916–1996) ちび
・ジャック・シラク Jacques Chirac (1932– ) のっぽ
・ニコラ・サルコジ Nicolas Sarkozy (1955– ) ちび
・フランソワ・オランド François Hollande (1954– ) ちび
・(新しい大統領)
どこで間違えたかおわかりですね。
参考:1995年のTV番組 諷刺人形劇
Les Guignols - Présidentielles 1995 - 2ème Tour on Vimeo
少年の日のマクロン氏。
PHOTOS. Emmanuel Macron ou le parcours sans faute de l'élève modèle - L'Obs
医師の家に生まれ、形式的なカトリックの一家であったが、少年は12歳の時、洗礼を受けることを自ら決断したという。(2016年12月にそう語ったと記事にある)
フランス版1984?
それはごめんです。”La Présidente”「女性大統領」は2015年の暮れに出版されたBD(ヨーロッパの漫画)で、2017年5月7日にルペン氏が大統領に選ばれ、全体主義国家が誕生するディストピアを描いています。
追記:5月8日
(…略)ルペン氏が35%の票を獲得、また白票率の高さを見ると、これからの政権運営はかなり厳しくなりそうな…。
次の総選挙、見逃せませんねー。
マミーさま、そうなんですよ。先行きが不安ですね。6月の選挙も目が離せません。
グラフを貼っておきましたのでご覧ください。
①決戦投票
国民の三分の二しか参加しない選挙でした。
あとの三分の一は
白票8%、(積極的?)棄権23%、非登録9%(*)
*投票するには役所へ行って有権者登録をしなければならない。
Olivier Berruyer (@OBerruyer) | Twitter
②第一回投票もついでに見ておきましょう。
本当に4人が接戦だったことがわかります。Olivier Berruyer (@OBerruyer) | Twitter
こちら 最終の数字です。左から
マクロン→棄権→ルペン→白票・無効票
大喜びの支持者たち
Aanhangers vieren overwinning Macron
PHOTOS. Macron président : les images d'une soirée historique - L'Obs
AFP PHOTO / POOL / PHILIPPE LOPEZ
新しいページがめくられた。(ルーブル美術館の前庭にて。マクロン新大統領の誕生を祝う人々)
フランス国民よ、今夜はあなたがたのために 照らします。