ボブという名の猫 鉄の意志をもつ茶トラ

こちらの映画を見にいきました。もうみなさんもご存じのストーリーだと思います。

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猫のボブと飼い主のジェームズ(ルーク・トレッダウェイという俳優です)。

 

SPYBOYさまもレビューを書いています。写真がたくさんあって楽しめますよ。ストーリーもこちらでお読みください(^^)/

ぜひどうぞ↓ 

報道特集『医療的ケア児と教育』と映画『ボブという名の猫』&『ベイビー・ドライバー』 - 特別な1日(Una Giornata Particolare)

 

ボブは「招き猫」とか「猫の恩返し」などと言われ…

数年前から日本のTV情報番組やyoutube等ですでに有名だし、2012年出版の本『ボブという名のストリート・キャット』は500万部以上を売り上げて堂々たるベストセラー。ホームレスで薬物中毒のミュージシャンが、野良猫と出会って人生をやり直すという実話です。

まあ、ストーリーは知っているし…正直、映画を見にいくかどうか迷いました。しかし出演の猫がボブ自身(本ニャン!)だと知ったこと、わざわざ日本にまで二人で宣伝に来てくれたこと、などを考え併せて行ってもいいかなと思いました。

 

f:id:cenecio:20170913181137p:plain右:本物のジェイムズ。

 

f:id:cenecio:20170913181106p:plain 本は2冊目が出ています。

写真:映画「ボブという名の猫 幸せのハイタッチ」オフィシャルサイト

 

特別な猫との特別な関係

わがやの猫もボブと同じノラ猫。カラス2羽につつかれていた子猫を保護しました。

映画ではボブの演技に注目したいところです。飼い主のジェイムズではなく、俳優たちやそのほかの見知らぬスタッフと多くの時間を過ごすわけだから。だいたいそんなに起きていられるの?というのが私の素朴な疑問でした。うちの子は四六時中寝ていますから(笑)。

そしてもっと興味があったのは、ボブは普通の猫と違うんじゃないか、ということ。この特別な感じは何だろう。何がどう違うんだろう。有名な猫といえば、和歌山電鐵たま駅長を思い出しますが…。

そういったもろもろのことは映画を通して答えをもらいました。また期待した以上の多くの収穫があった「当たり」の映画でした。

 

まずわかったことは、ジェイムズが猫を保護したんじゃなくて、ボブがジェイムズを選んだのです。ジェイムズはけがをしている野良猫のボブを連れて動物病院へ行きますが、無料の診察券を使えても薬は自費なわけで、なけなしの22ポンドを全部投げ出します。ジェイムズは悲惨な生活をしていても、純朴で不器用で、そして心の優しい青年なのです。

ボブは傷が治って以来、「来るな」と言われてもどこへでもジェイムズにつき従います。ロンドンのバスの2階に乗客然として普通に座っていたり、疾走する自転車の前籠の中でも動じない風格をみせていたり、たいしたものです。自分はこの人のパートナーである、といった強い「鉄のような」意志が感じられるのです。

ある日、ジェイムズが路上でギターを弾いて歌っていると、一人の婦人がボブにマフラーをプレゼントしてくれます。その時まるで予言のようにこう言うのです。そして真実を言い当てていました。

”自分もかつて 茶トラ(ginger)を飼っていたが、 茶トラは強い意志を持つ猫だ。最後の最後まで自分のそばを離れようとしなかった。

あなたもよいパートナーを見つけた。人間よりも強い絆で結ばれるだろう(だいたいの内容)

 

監督ロジャー・スポティスウッドと。

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http://natalie.mu/eiga/news/245231

「ボブという名の猫 幸せのハイタッチ」メイキング映像 - YouTube

またメイキング映像の中で、監督がインタビューに答えておもしろいことを言っています。

”動物と人間は友達にもなれて、心を通わせることもできる。説明ができないほど深いつながり、すばらしい関係性を築けたりもする。

ジェイムスとボブの関わり方は人間同士よりもずっと深い。互いを受け入れようとするさまが普通とは次元が違う。(略)”

 

麻薬と貧困問題

SPYBOYさまが詳しく書いていますので重複することは避けますが、いったん中毒になって転落すると這い上がるのがどれだけ難しいか。通りで簡単に薬物が手に入るロンドンの路地裏…われわれの想像を超える世界です。しかもホームレス。もうそれだけで周りから人間以下の存在とみなされ、忌避される。ありとあらゆる社会とのつながりも切られてしまう。

ジェイムズはそんな壮絶な孤独を生きていましたが、行政の助けを借りて立ち直ろうとします。しかし麻薬更生プログラムのメサドン療法(麻薬の代替治療)を担当する女性ヴァル(めっちゃいい人だ!)を何度も失望させるのです。

ところがボブと暮らし、世話をするようになってから責任感が芽生え、ちゃんとしなきゃと前向きな気持ちが持てるようになる。また街でもボブのおかげで注目を浴び、優しい眼差しを感じることで今度こそはやり遂げようと決意します。

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映画には、実話にない恋のストーリーも盛り込まれている。近くに住むベティもジェイムズの更生を助けてくれるのです。(二人は実生活でもパートナーで、まもなく赤ちゃんも生まれるそうです)。

 

ホームレスの売る雑誌『ビッグイシュー

映画でも実話でも、偽ジェイムズも本物ジェイムズ(下の写真)もThe Big Issueという雑誌を売っています。

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James Bowen and Street Cat Bob: The extraordinary tale continues... | The Big Issue

私は去年大阪でこれを売っている男性を見ました。買わなかったのが残念です。東京では数年前に見たきりです。

これはホームレスの人たちの自立を支援するために作られた雑誌で、ホームレスの人たちが街頭で立ち売りします。内容は様々な社会問題です。
1991年にロンドンで創刊されました。現在、日本や韓国、台湾などでも売られており、毎月2回発行されます。総称してストリート・ペーパーというようです。

映画の中でも仕組みが説明されていますが、最初に何冊が無償で提供され、そのあとは自分で数を決めて仕入れ、売れたら取り分をもらう。日本では定価が350円、売れると180円が収入です。最初の10冊が無償提供、つまり3500円が元手です。

2017年 9月 11日 ビッグイシュー日本からのお知らせ


本日、9月11日に『ビッグイシュー日本版』は創刊14周年を迎えます。100%失敗すると言われながら、私たちの心強いパートナーである販売者と共に、“成功”に向かって挑戦し続けてきました。この間ずっと読者の皆様に支えていただいたこと、心より感謝します。ありがとうございます。

その結果、774万冊を販売し、販売者へ11億5253万円の収入を提供しました(17年6月末)。反面、路上生活者は25,296人(03年)から、5,534人(17年)へと減少し、それにつれて販売者も減り、販売冊数も減るという“ビッグイシューのジレンマ”も目に見えるようになっています。…

↓続きはこちらでお読みください。

『ビッグイシュー日本版』創刊14周年のご挨拶と「1冊丸ごと」記念企画 | ビッグイシュー日本版

 

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↑今なら映画館で期間限定販売!ボブが表紙のビッグイシュー

映画「ボブという名の猫」の原作者、ジェームズ・ボーエンと愛猫がビッグイシュー日本事務所にやってきた!-ジェームズさんからの動画メッセージ付- : BIG ISSUE ONLINE

 

売るのは大変!  

そしてビッグイシューといえば、先日ナイスなタイミングでこれについても触れてらしたanne neville (id:anneneville)さまの記事、こちらです。(anneさま、お断りもせず勝手に言及しています。すみません)↓

わたし(あなた)はミスターメンの中では誰? ( *´艸`) - anneneville’s diary

何度も雑誌を買ったことがおありで、知的で充実した内容だと述べていらっしゃいます。でも私が驚いたのはこのエピソード。anneさまが好きな俳優David Oakes氏が路上でビッグイシューの販売を試みたが、「こぎれいでハンサムな役者さんでも」売るのが難しかった、というところ。雑誌を売る俳優の写真も載せてくださっています。

映画の中でも、ボブを連れたジェイムズから雑誌を買いたがる通行人が多くて、他の販売者が嫉妬するシーンがありましたが、うなづけますね。

 

フランス 

ついでながらフランスのストリートペーパーはこれです。「マカダム」といい、あちこちで売っているのを見かけます。1冊3€。売れたら2€もらえます。

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Macadam Journal

 

最後にまたまたボブが表紙に。

イギリスのビッグイシューこのたびボブとジェイムズが映画キャンペーンのため渡日したのを記念して。

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ゴジラがご愛敬です。

 

終わります。