マリアンヌの壊れた顔も象徴 &北海道の女子高生がフランスで主役だった話 黄色ベスト-1-追記:2019年3月

マリアンヌ(Marianne)破壊の衝撃

(↓フランス共和国の象徴マリアンヌ。顔を襲撃される。これも危機に瀕したフランスの象徴)→追記:2019年3月

https://ichef.bbci.co.uk/news/660/cpsprodpb/EB08/production/_104586106_mediaitem104586103.jpg

https://www.bbc.com/japanese/46422570

フランスのデモがとんでもないことになっている。11月17日に始まった燃料税の引き上げに反対するデモ。特定の政党や労働組合が主導しないデモ、リーダーのいない珍しいデモである。黄色いベスト運動とも呼ばれており、右翼も左派も入り混じった集合体のその本音は、マクロン大統領に対する抗議、または辞任を要求するデモらしい。

国民の75%がデモに理解を示しているということだ。しかしその過激さは市街戦を思わせ、破壊された街の映像を見るとため息しか洩れない。

この週末は凱旋門が荒らされた。凱旋門は、シャンゼリゼ通り、シャルル・ド・ゴール広場にあって、夏はフランスがサッカーワールドカップで優勝したので、あそこには数万もの人々が集って大盛り上がりしたのだ。普通なら今の時期、シャンゼリゼ通りはクリスマスの飾りつけで眩いほどの豪華さのはずだが。

凱旋門は大理石でできているからそう簡単には壊されない。↓落成1836年の門のマリアンヌ(レリーフのこと。小さくてすみません)は、革命のさなかの市民たちを鼓舞している。

https://upload.wikimedia.org/wikipedia/commons/thumb/8/8d/Paris_July_2011-30.jpg/800px-Paris_July_2011-30.jpg

エトワール凱旋門 - Wikipedia

しかし凱旋門内部のマリアンヌは顔をやられた。最初の写真のとおり。デモ隊は内部に押し入り、多くの物を破壊した。そのついでにマリアンヌのマケット(縮小模型)を襲ったのだ。なんという顔だ。凄みが増して、痛みに苦悶し、激怒し、叫び声をあげているかのようだ。

マリアンヌといえば、フランスの象徴、共和国の擬人化(の一つ)である。硬貨にも描かれ、数多くの名画のモチーフとなり、なかでもドラクロワの「民衆を導く自由の女神」は有名で、皆さんご存知だろう。

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Street-art et déco contemporaine pour l'interview de Macron sur TF1 - L'Express

ちなみにマクロン大統領になってから現代風のマリアンヌが執務室の壁を飾る。(↑左のイラスト。シェパード・フェアリー作)

しかし今やこの傷ついたマリアンヌの顔こそが、今のフランスの象徴かも。

 

週末の衝突をまとめた映像をtwitterから借りてきた。

黄色いベストたちとは関係ない人も混じっているのだろう。便乗して暴れたい壊し屋(Casseur)たち、デモともなれば毎回現れる得体の知れないアナーキスト集団(?)なども…。

マクロンさんは民意が見えない人だ。企業や金持ちの方ばかり見て、常にビジネス優先。ずいぶんと呑気だなという印象を当初から持っている。大統領選で「右派でも左派でもない」マクロン氏に投票した人の多くはルペン阻止だったというのに。当選後すぐに反マクロンデモが起きたことからもわかる。フランス国鉄のストも数カ月にわたった。さすがに今回はこたえたようだ。燃料税増税は先延ばしにするかな、どうだろう。

*追記:さっき入ったニュースによればフランス時間4日に増税の延期を発表とのこと。

フランス2のニュースを見ていると、今回の暴動とさえ呼べるデモは、これまでの積もり積もった国民の不満、憤懣がピークに達した感じを受ける。インタビューに応えた人が言う。ここまでやらないと政府には届かないんだ、どれだけ国民が怒っているか見てもらえないんだよと。マイクを向けられた人は皆熱く喋る。いや怒る。怒鳴る。もう限界なんだという切迫さが伝わってくる。

朝日新聞朝刊(12月2日)からひとつだけ引用すると

デモに参加した、パリ郊外に住む年金生活者のメレ・ダニエルさん(70)は「私の年金は、家賃が払えない48歳の娘の仕送りに消えていく。大統領は庶民の惨めな暮らしぶりがわかっていない」と憤った。

日本と被る。苦しい状況は。ただ日本人は怒らないし、デモもしない。

 

こちらは、右翼も左翼もごく普通の市民も一緒になって、国歌であり革命の歌である「ラ・マルセイエーズ」を歌っている映像。↓(フィガロ紙から)

 

おとといのフランス2Violences à Paris : quels regards portent l'Italie, l'Allemagne ou le Royaume-Uni ?では、イギリスにいる特派員が「黄色いベスト運動は、右派左派両方からの抗議という点が、Brexit(英国のEU離脱)に投票した人たちと相似形をなすのでは…」というようなことを言っていた。

ニュースの後はてなブログを開いたら、偶然ぴったしのタイミングでReikoさんが消えることのない光を求めて 『ヨーロッパ・コーリング』『いまモリッシーを聴くということ』(ブレイディみかこ) - 快適読書生活という記事を書いていた。ブレイディみかこさんといえば、Yahoo! ニュース個人ブログに記事が載るので私もタダで読んでいる。その記事をまとめ、『ヨーロッパ・コーリング』というタイトルで出ている本を紹介してくださったのだ。

「いまや、それは階級政治だ。ギリシャ危機はファイナンスや債務返済の問題ではない」(ケン・ローチ)の記事は当時読んでいる。国民投票の1年前、まだ2015年の記事なのに今読み返してもおもしろい。

当時、ギリシャに共感を寄せる様々な動きや反緊縮ムーヴメントがあって、EUのボスたちにとっては邪魔だったのだ。

(引用)

英国でEU離脱を訴えているのは移民制限を訴える右派のUKIPだが、緊縮や今回のギリシャ問題では英国の左派もかなりEUに反感を抱き、失望している。このまま右と左の両サイドから徐々に浸食されていけば、EU支持者はどのくらい残るのだろう。

ギリシャを世界の笑いものにして勝ち誇っているEUは、自分たちの足元に深くて暗い墓穴を掘っているかもしれない。

今まさに「深くて暗い墓穴を掘っているかもしれない」な。Reikoさんも同じ箇所を引用している。

他にもおもしろい記事がたくさんあるがキリがないので。たとえば『「勝てる左派」と「勝てない左派」』など大きくうなづくものだ。ネットで読めるので興味のある方はぜひどうぞ。私は熱烈に「勝てる左派」を待望する。

 

北海道の女子高生がフランスで主役だった話

Twitterを見ているとおもしろいことに遭遇する。フランスは今年春から夏にかけて3カ月以上も毎週鉄道のストライキをやっていた。というのは、赤字をなんとかしなくちゃいけないので、政府がありとあらゆる改革案を押し付けてきたから。民営化とか赤字路線を削るとか、また鉄道市場への他国の参入を認める、国鉄職員の優遇制度を一部廃止・・・とにかくものすごくたくさんの締め付けを。それに反発してストは長引いた。

あるフランス人が「日本では女子学生一人のために電車を走らせているよ」とツイートした。これがちょっとバズったのだ。

この話、みなさんご存じだろうか。私は当時ベルギーにいて大きな話題だった。だから記事にもした(2016年1月18日→)北海道の秘境駅・クマのぬいぐるみCM・見向きもされないジョニー・アリデー - ベルギーの密かな愉しみ

北海道の旧白滝駅を通る路線が廃線になる予定。その駅を利用する乗客はたった一人。それは高校生の原田華奈さんで通学に使っている。それなら彼女が卒業するまで待ちましょうということに決まった。実にいい話だ。ベルギーでは仏蘭語両方のTVと新聞で報道された。異例の取り扱いだと思う。

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 フランスでも報道があったので男性はこれを引用し、これこそ公共交通機関のサービスさ、とツイートした。

 19,521件のリツイート 22,309件のいいね179件の返信があった。

この反響に対し、ルモンド紙が手を上げ、この女子高生の特殊ケースについて詳しく解説した記事を掲載 (2018年3月19日)。ま、それでフランスのみなさんも納得したみたい。

www.lemonde.fr

 でもこの話いいですよね。私はホント泣いたもん。

 今日はここまでです。

またね~!

🌸次の記事

cenecio.hatenablog.com

 

🌸 参考:まとめ記事もあります。

たった一人の女子高生の卒業と同時に廃止になる駅が「なんか涙出てくる」と話題に - NAVER まとめ

追記:2019年3月