ベルギーの密かな愉しみ

しばらくの間 お休みします。

岡上淑子フォトコラージュ「沈黙の奇蹟」展 糊とハサミと洋雑誌と。展覧会-1- 

 岡上淑子(おかのうえとしこ)の展覧会が やっと東京でも。

http://www.tokyoartbeat.com/media/event/2018/4F45-620

「沈黙の奇蹟」展 ↑ポスターの作品は『夜間訪問』(1952年。東京国立近代美術館蔵)

 やっと東京でも、と書いたのは去年高知県立美術館でやったのをツイッターを通して知り、東京に来ないかな、来たら絶対行こうと思っていたのだ。高知県のポスターも見てください。

↓ポスターの作品は『招待』(1955年、高知県立美術館蔵)

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 旧朝香宮邸へまいります。

この展覧会は舞台からして豪華だ。アール・デコ様式の 旧朝香宮邸(1933年)が美術館である。東京都庭園美術館|岡上淑子 フォトコラージュ 沈黙の奇蹟|2019年1月26日(土)- 4月7日(日)

邸宅の重要なところはフランス人アンリ・ラパンに依頼、また当時の日本人職人たちも総力をあげて建築にあたったという、丸ごと「芸術作品」であり、国の重要文化財にも指定されている。(中は撮影禁止)

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庭園美術館入口

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2階広間 唯一の撮影可コーナー 『幻想』(1954年)

 

岡上さんは画家ではありません。若いお嬢さんです。」

岡上淑子(1928年高知生まれ)という作家は不思議な人だ。私はてっきり画家か写真家だと思っていて、カッコいい先進的な女性を、しかもシュールレアリストを想像していた。全く違った。当時の女性は結婚して家に入り、家事や育児にいそしむのが当たり前だった。彼女も全くそうだった。1950~56年の活動期間以外は。彗星のように現れてはパッと表舞台から姿を消してしまった。

いったいどのようにして、このシュールなフォトコラージュ作家が誕生したんだろう。答えは偶然と出会い、進駐軍の置き土産である。

3歳のとき東京に引っ越した岡上は、小学校を卒業すると東洋英和女学院に進むが、内部進学(保母志望だった)に失敗する。終戦後に恵泉学園へ入学。そこで若山浅香と同じクラスになる。若山はのちに武満徹の妻になる女性で、武満から瀧口修造へとつながる一筋の道ができたのだ。

岡上は多趣味の父親の影響で、カメラや映画、文学など興味はいろいろあったが、ファッションのデザインを勉強することに決め、1950年文化学院のデザイン科に進む。フランスでオートクチュール全盛の時代である。(展覧会にもジバンシーバレンシアガの実物ドレスも飾ってあった。)

カラーコーディネイトの授業で「ちぎり絵」をやっていた。何気なく切り取った紙片に偶然女の人の顔があったことから強烈な印象を受け、おもしろさに目覚めたのだそうだ。意外な組み合わせ、無意識や偶然がもたらす効果、デペイズマンである。デペイズマン - Wikipedia 

解剖台の上でのミシンとこうもりがさの不意の出会いのように美しい」。ロートレアモン伯爵の有名なことばがある。

また梶井基次郎の『檸檬』の中の、「画集の上に置かれた檸檬」もデペイズマンではないかとの解釈もある。しかし岡上シュールレアリスム運動を知らなかったのだ。

コラージュの素材は進駐軍の置いていった雑誌。当時古本屋には”LIFE”などのグラフ雑誌、“VOGUE” ”Harper's BAZAAR”などファッション誌がたくさん売られていた。岡上は雑誌から顔や手足を切り抜き、組み合わせ、貼り付け、コラージュにのめり込んでいった。

1951年には、さきほどの友人若山浅香を通して、作品が瀧口修造の目に触れる。瀧口は美術評論家で詩人で、ダダイズムシュールレアリスムの権威のような人、とにかく当時多大な影響力を持つ文化人だった。

「続けてごらんなさい」瀧口がそう言ってくれたので、学校を卒業しても作品制作をつづけた。あるとき瀧口がエルンスト(*)の画集を見せてくれ、『百頭女』に衝撃を受ける。

*マックス・エルンスト - Wikipedia

↓絵はピンタレスト画像でも見られます。

www.pinterest.jp

 海のレダ

「海のレダ」の画像検索結果

「海のレダ」 『はるかな旅: 岡上淑子作品集』(河出書房新社)より

1952年の作品。自分で最も好きな作品だという。水上スキーの波とレダと白鳥。

作品に添えられている文にはこうある。

「女の人は生れながらに順応性を与えられているといいますが、それでも何かに変っていく時にはやはり苦しみます。そういう女の人の苦悩をいいたかったのです。(『美術手帖』1953年3月号)」

1953年には初個展。その時瀧口が寄せた文:

「明けましておめでとうございます。岡上さんは画家ではありません。若いお嬢さんです。独りでこつこつグラフ雑誌を切抜きコラージュ(貼合せ)して夢そのものを描きました。不思議の国のアリスの現代版がこのアルバムになりました。どうぞご覧ください。」

若いお嬢さんであること、お嬢さんが夢そのものを描くこと、それこそが強力な長所で魅力であると瀧口は考えていたのだろう。だから書簡のなかでも「いつまでもあの純粋な気持をもちつづけてください」と書いている。

岡上さん 仕事中

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青幻舎 公式カタログ兼書籍よりお借りしました。

今日はここまでです。
続きます。 

 🌸資料など

はるかな旅: 岡上淑子作品集

はるかな旅: 岡上淑子作品集

 

金井美恵子の小説の表紙に❣

ピース・オブ・ケーキとトゥワイス・トールド・テールズ

ピース・オブ・ケーキとトゥワイス・トールド・テールズ

 

 

  旧朝香宮邸の写真(ほとんどのところは撮影できませんが、雰囲気だけでも)

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廊下

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館のお手洗い

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新館への通路からガラス越しに外を見ると、物が歪んで幻想的。展覧会の続きみたいな感じでした。

 🌸続き

cenecio.hatenablog.com

編み物少年のステキなお話 &”ヒュッゲ”とか”コーシェリ”はオランダ語にもあるコンセプト 

11歳のジョナー君 編み物は趣味なだけじゃなく…

数日前に読んだ記事に感動して、忘れないうちに書いておこうと思う。ウィスコンシン州在住のジョナー君は、5歳の時から編み物をしているが、お母さんから習ったわけではない。youtubeで独習した。そして現在、自身のインスタグラムで、編んだものを売っている。そのお金で新しい毛糸を買うほか、ある程度貯まると定期的に、エチオピアの孤児院に寄付している。なぜなら彼もエチオピアからアメリカへ養子としてやってきたのだ。

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www.npr.org

記事によると、彼のインスタグラムには46,000 人のフォロワーがいるそうだ。お母さんは編み物はできないが、インスタグラムのチェックなどを手伝っている。すでに2500件以上のオーダーがあり、多すぎるため受付をストップしているという。

学校から帰って、大好きなお母さんのそばで編み物をするのがほっとする幸せなひとときなんだという。(ジョナー君は私がこれまでに特集している「編み物男子」の仲間入りです^^編み物男子③

 

凄い人はたくさん見てきたけれど。

編み物関係はけっこう興味を持ってアンテナ張ってきたのだが、リーサさん(Liisa Hietanen)には度肝を抜かれる。こちら、作品の一例。

https://pbs.twimg.com/media/DyLbYV5XgAAD5Gu.jpg

Liisa Hietanen

作品と本物、見分けがつかないほど!驚くばかりの技量である。

フィンランドの編み物アーティストで、数年前から「市井の人々」シリーズ制作に取り組んでいる。

https://static1.squarespace.com/static/5b07ed4b3e2d09d4bc357af2/5b07fb3788251b74685620b8/5b07fbc52b6a2856b33df512/1527249871241/anna1.jpg?format=1000w

https://liisahietanen.squarespace.com/#/anna/

↑サイトにもっと沢山の、いろいろな種類の作品があります。

http://www.atelierdemma.com/wp-content/uploads/2018/03/12.-foto-maglia2.jpg

 

はやっている言葉”ヒュッゲ”(デンマーク語)

先日とにほ (id:toniho)さんとも意見交換した。1月も終わり… - ちょっと曲がった家 初めて聞くというかた、ヒュッゲでググってみて。山ほど記事が出ている。世界一幸福な国デンマーク人に学ぼう、ヒュッゲな暮らしをしよう…。日本語にも他の外国語にも一語では置き換わらない言葉「ヒュッゲ」。

とにほさんにとってのヒュッゲは、外出先から暖かい家に帰ってこたつでのんびりすること。これはもっとも手っ取り早く幸福感を感じる手段ではないかと書いている。

気持ちのよい空間やほっこりするひととき・・・。さっきのジョナー君がお母さんの横で、学校であったことをおしゃべりしながら編み物をするのってまさにヒュッゲ。

日本だったら、縁側で日向ぼっこしたり、ネコと一緒に昼寝もいいな。冬は家族で鍋を囲むとか、夏は井戸でキンキンに冷やしたスイカを家族で食べる。(あれ、ちょっと井戸は古いか)。つまり日々の暮らしの風情、味わいを愛でることだ。

ヒュッゲ、ヒュッゲリ(ヒュッゲの形容詞)についてはここ2年で多くの本も出て、「生きがい」ブームにも似ている。こんまりブーム(近藤麻理恵)ほどではないけど。

courrier.jp

するとこんな記事を見つけた。ヒュッゲに対応する単語、同じコンセプトを表す言葉ははノルウェーにもあるという。それはコーシェリ(Koselig)というらしい。記事を読むと納得するだけでなく、理解も深めることができた。つまりこのコンセプトには懐かしさ、ぬくもりも含まれているのだ。下の引用部分を読んでいただきたい。

 引用

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 思わず膝をたたいたものだ。機械で編んだみたいな上手すぎるのはヒュッゲ・コーシェリではないのか。手作りの温かみが大事ということ。

ヨーロッパの人たちは、ちょっと虫食いで穴があいた手編みのセーターも大切に着ている。ちょっと首回りが伸びていても全然気にしていない。古い絨毯と同じで、アンティークと呼ぶにふさわしいセーターやカーディガンの魅力ってたしかにあるなと思った。

 

オランダ語にもありますよ!

何が言いたいってオランダ語にも全く同じコンセプトの単語があるんだからね。Gezelligという。とにほさん:『言ったモン勝ち』なとこありますね(;^ω^)

はい、おっしゃる通り。だけどこちらハフポスの記事「英語に置き換えられない七つの感情」7 Emotions That Can't Be Explained in English | HuffPost Lifeの中で 5番めオランダ語 Gezelligが挙がっている。2016年3月の記事である。興味のある人、中を覗いてみてください。なかなかにおもしろい。

3番目のSchadenfreude ドイツ語で「人の不幸を喜ぶ感情」。一語で言える便利な言葉。ネット用語「メシウマ」はだいたい同じか。

7番目のAge-otori 上げ劣り、むしろ日本人のほうが知らなくて驚くんじゃないだろうか。過去記事で扱った。輸入した(い)ニッポン語「過労死」「積読」 - 

 

ヒュッゲでコーシェリな手編みは宝物!

長男が生まれた時、スウェーデンの友人が編んでくれたもの。いかにも北欧ってデザインですごく気にいっている。6カ月用だということで、長男に着せて写真を送った。他の友だちもいろいろ編んでくれた。帽子やマフラーなどだ。心のこもったこれ以上ない贈り物だ。

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こちらは母が編んでくれた2歳児用の冬のコート

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アフガン編み。 レディ・ジョーンズ (id:lady-jhones) さんやマミーさん、もちろん編み物好きなかたはご存知だと思うけれど、かぎ編みと棒編みを合わせたような編み方で、編地に厚みができるため、ちょっと重い。

息子にこれを着せて道を歩いていると、声を掛けられることが多かった。やはり編み物が好きな人はすぐにわかるのだ。

「ちょっと見せてもらっていいですか」

「アフガンですね。ご自分で編んだんですか」

「ダブルでおしゃれですねえ」

もう皆さん興味深そうに、ひっくり返したりして見る。

逆に私もよく、手編みのものを着ている人に「すみません」と声をかけて、会話が弾むことがある。楽しいひとときである。

 

今日はここまでです。

私が編んだ下手なやつもいつかお見せしますね。ではまた~!

コメントへのお返事を書いてみた&ヴィーガンの赤ちゃんの死(#未来世紀ジパング-3-)追記:ブログランキング

たくさんのコメントありがとうございます!

今日は頂いた中からいくつか拾って感想など書いてみます。その前に失敗談を一つ。

 

ペスなんとか

80年代前半パリ滞在時に遡る。このころは食の多様性について日々多くを学んでいた。異国暮らし、知らないことだらけである。ハラルのこともこの頃習った。またユダヤ人友の父親が、「日本へ出張で行ったんだけど、アラブ人対応メニューはあるのにユダヤ教の食事規定(*)に配慮したメニューはひとつもなかったんだ」と不満を言っていたのも思い出される。(*コシャーまたはコーシェルというらしい)

自宅で立食のパーティーをやったときのこと。仲間が10人位集まって、さあ始めようというとき、フィンランド人女子が「私、肉は食べないの」。フランス人友がすかさず「ペスカトリアンなの?じゃ魚は食べるわね?」と返した。

私は彼女を台所へ引っ張っていき「何ですって?そのペスなんとか・・・」「ペスカトリアン。菜食主義だけど魚は食べる人。フィンランドは多いわよ。あなた、前もって聞かなかったの?」

考えもしなかった。何か食べられないものある?と聞くべきだった。フランス人はいつも聞いてくれていたのに。仏教徒だと思われていたのではなく、何かのアレルギーや嫌いなものはないか気にかけてくれたのだ。

急いで冷蔵庫をあさり、エビなどをひっぱりだし、フランス人友となんとか食べられる料理を用意した。めっちゃ疲れた。部屋ではみんな飲み食いして大盛り上がりなのに。

ペスカトリアン、ペスキトリアン、どちらも使うようだ。菜食主義の分類は気が遠くなりそうなほど細かい。ラクト・ベジタリアン 、オボ・ベジタリアン、オボ・ラクト・ベジタリアン、ポロタリアン、マクロビオティック、フルータリアン、フレキシタリアン(*)…このまま並べていけばジュゲムジュゲムの話が作れるな。

*フレキシタリアン:その場に合わせ、肉や魚も食べる柔軟な菜食主義。

 

なぜフェイク肉?豆のままじゃダメなのか。

unatomo ヴィーガンと肉を食べる人が食卓を共にするためにフェイク肉を購入するのはわかる。ヴィーガンのみの食卓でフェイク肉を買うのって、結局視覚的には肉が食べたくなる気持ちを排除できないって事?未練がましい気が… 

tGsQqV 豆を肉や魚に似せる努力が謎。豆のままの見た目ではだめなのかな。 

sinsintuusin 純粋にベジタリアンと称するのであれば、「肉や魚を食べたつもり」は許されるのでしょうか?フェイク〇〇には少し違和感を感じます。「いただきます」は肉、野菜の区別無く命を有り難くいただく尊い教え、広めたい! 

わかる!私も「豆食べてればいいじゃん」「未練がましいよ」そう思っていた。しかし(どこかで読んだ開発者シェフのことばだが) これまでのヴィーガン食は「彼らをなだめるため」のもの。今は目でも舌でも楽しめる、バラエティ豊かな食のメニューが必要な時代、とのこと。なんせ「ヴィーガノミクス」とも呼ばれる成長市場である。植物性食品の可能性をどこまでも追及するのだそう。

今は機内食にも「ヴィーガン用」があるらしい。どなたかご存知ですか?

 

土はどうなの?

shoot_c_na 「お前らが崇めてる麦や野菜は肉骨粉撒いたり鰯やらを鋤き込んで収穫されるもんだぞ」と言ったらどんな顔するんだろう?

良い視点!私も聞いてみたい。昔狂牛病騒ぎのころ、牛の肉骨粉は肥料に使うな、危ないぞ、ということで販売中止になったのを思い出した。活動家の人たちは当然肥料のことも詳しいんでしょうね。

 

狂気

SPYBOY P・マッカートニーもベジタリアンだそうですね。それにしてもイスラム教もキリスト教ヒンドゥー原理主義はロクなもんじゃない。自分が絶対的に正しい、と思い込むのは信仰というより病の一種ですね。 

dsino 何でもそうだが振り切れてるとトチ狂ってるようにしか見えなくなる。ベジタリアンはカテゴリ多過ぎ、ヴィーガンはその中でも純度が高過ぎて益々持って面倒、もはや宗教と言える。鰹だしも使えないとか人生損してるな 

marilyn-yasu 「動物を殺すお前の家族も従業員もアウシュビッツで焼かれてしまえ」「店の前に血のりをまいたり」どいつもこいつもなぜ反差別を掲げておいて別の差別や暴力革命的行動をするのか。 

augsUK 原理主義になり他人を強制的に改宗させるメンタル自体に問題があって、どの原理主義を選ぶかは程度問題と誰が先に洗脳をかけたかに依存する。 

nakakzs 種差別をやめろをスローガンとする人が、別の人間に対して平気で差別の言葉を投げかけ暴力を振るうという矛盾。|反差別を免罪符に他方への差別を行うことの愚かさよ。 

Hatenow 過激派ヴィーガンには「健康のためなら死んでもいい」的な矛盾と狂気を感じざるを得ない。 

私も同じく狂気を感じた。 ヨーロッパは民主主義や寛容の精神、多様性を尊重するといった文化が根付いており、お手本のように思ってきたというのに。この”269 Life France" というヴィーガン団体は宗教の原理主義さながらだ。

こちら、番組を見た方がいらっしゃる。

gokkie これ見てたけど 「あんたの体は動物の墓場だ。自分のやっていることを自覚しろ」 って真顔で言ってるの見て大笑いしちまったんだよな。 あれリアルで言われたら目の前で笑わない自信ないわ。 

gokkieさん、背中のタトゥー見ましたか。うちの家族も「この人、頭いかれてる」と言っていた。

前回記事にも書いた”269 Life France” のパリ支部長リキエ氏は、カメラの前でいきなり服を脱ぐ。すると、背中いっぱいにアウシュビッツの風景が刺青で描かれているのだ。首の下から尻の少し上にかけて、遠景に強制収容所の建物。そして遠近法を使って線路が描かれ、線路の脇には何か散らばっていた。動物の死骸かもしれない。

さらにSTOP HOLOCAUSTE ANIMALという文字が刻まれていた。

こちらフランス在住attentio さんも「カルトの一種」と現地人が斬り捨てたと書いていらっしゃる。

attentio 在仏治安悪エリア近所のケンタッキーがやられた。現地人に尋ねたらカルトの一種って斬り捨ててた。そうでなくても壊し屋とか物騒、革命戦闘民族だからなの?オウムも変な肉モドキ食べてたの思い出してなんか納得した 

xufeiknmさん、おもしろい。

xufeiknm 惜しい。「269」から「6」がなければ。 

座布団一枚! でもあのリキエ氏は日本語は解さないし、ユーモアもわからなさそうだ。前に書き忘れたが、“269”は最初に逃がした牛の個体識別番号だそうである。

http://img.over-blog.com/300x200/1/39/66/04/CLEDA-7/934b59_8839fafb8a439ad61572b9156107a871.jpg_srz_210_140_75_.jpg

http://cleda.over-blog.com/article-mon-nom-est-269-115180486.html 

ペットのエサ

jerich 私の観測範囲では、犬を飼っているベジタリアン?ビーガン?が多いですが、犬には当然肉を食べさせているようです。私だったら愛犬と一緒に食べられるものは食べたいです。 雪ウサギじゃなくて犬?可愛いですね! 

usausau-tan ビヨンセ夫妻やアリアナなど向こうでセレブと呼ばれる人たちはみんなヴィーガンだよなぁ。ペットのエサどうしてるんだろうと思う 

 思いがけないご意見。エサはどうなんでしょう。興味しんしん。 

フルータリアン

makeyoulaugh 実とか種とか、収穫しても植物の生命を奪わない部分だけ食べるフルータリアンというのもいて、スティーブ・ジョブズが実践した結果すい臓がんで早死にした原因になったと言われますよね 

ikura_chan 究極の命を無駄にしない生き方はフルーツだけ食べてるフルータリアン(果実は種が拡散するために作るものだから)だっていうから可哀想って感情論なら果物だけ食べてればいいんじゃないの。。。

木喰(もくじき)さんは究極のフルータリアン。江戸時代の遊行僧で、日本全国に仏像を残している。木の実だけを食べていたといわれている。92歳まで生き、身長は180cmあったとか。お酒はたくさん飲んだようだ。去年は木喰生誕三百年ということで、展覧会も開かれ、NHK日曜美術館も特集を組んだ。

出汁のとり方

fujifavoric 記事関係ないブコメに対してだけど、ヴィーガンざるそばの鰹出汁ダメ問題は昆布や椎茸で出汁をとれば解決というか塩よりは遥かによいのでは?

おっしゃる通り。ヴィーガン用の出汁は、昆布かシイタケなどのキノコ類でとればいい。とってもおいしいし。ヴィーガン用ラーメンスープにも使われている最強コンビ。

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最後に

ヴィーガン 栄養は大丈夫なのか。

ravell 母乳の扱いが気になる。

mori99 ベジタリアンは、まだ分かる。卵や牛乳を食べるなら大丈夫そうだ。ヴィーガンは子供が死ぬから反対。動物性食品を食べない社会なら、戦前日本の一般家庭あたりだが、子供が結核でバタバタと死んでいくのをお望みか 

mozukuyummy 動物性タンパク取らないとこんなに病気になるんだなあ> https://crossacross.org/ky/protein+protects+people+from+infection 

動物性タンパク質をとらないといけないかどうか、私にはわからない。ヴィーガンの人、大人であればしっかりした知識を持って食べているだろう。しかし子どもは?

キヌアミルクを与えられていた7カ月の赤ちゃんが死亡、というベルギーの悲しい事件がある。つい数日前判決が下り、親は1年半の禁固刑だという。この親は菜食主義で、そうした食品を扱う仕事に就いており、知識はあった。

生まれたばかりの時は母乳を与えていた。キヌアのほか、燕麦や蕎麦でもミルクを作っていたらしい。子どもが乳製品と小麦のアレルギーだったと主張している。なのに医師に診せたり助言を仰いだりしたことは一度もなかった。7か月時の体重はわずか4.3キロだった。

小児科医が言うには、子どもは栄養失調だった。圧倒的にタンパク質とミネラルとビタミンが足りなかったと。

親は自分たちは何も間違ったことをしていない、上の二人の子どもも同じように育てたと主張している。https://www.ad.nl/buitenland/baby-overleden-door-superfoods-om-eist-celstraf-tegen-belgische-ouders~a6d49953/オランダ語記事)

コメントと☆をくださったみなさまに感謝申し上げます。

今日は終わります。

🌸 追記:2月13日

はてなブックマーク数による人気記事のランキング。

2月3日(日)から2月9日(土)〔2019年2月第2週〕

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2019-02-13 今週のはてなブログランキング〔2019年2月第2週〕

過激なヴィーガン団体が落とす影 &日本もベジタリアン対応へ(#未来世紀ジパング-2-) 

前回菜食主義の最前線 ベジタリアン争奪戦(#未来世紀ジパング-1-)のつづきです。

昔のことだが、ベジタリアンは仏教徒やインド人以外にもいるんだと知り、新鮮に驚いたものだ。するとけっこう周りにも増えてきて、おかしいな、どうしてだろうと思って人に聞いたら意外な答えが返ってきた。「アメリカ帰りはベジタリアンになる人が多いわね。仕事や留学であっちへ行くと感化されるの。トレンドみたいなもんよ。インテリの証みたいな?」

ふうん、そうなの。私はインテリじゃなくていいや。

ともあれ世界中に多くのベジタリアンがいることはわかった。5兆円市場というこの流れは止まらないだろう。大きなビジネスチャンスなのである。

「ベジタリアンなら野菜を食べていればいい。代用肉や魚、フェイクなチーズを求めるのはおかしい」と思う人がいるかもしれない。だがベジタリアン専門のレストランがない町もあるし、自分だけがベジタリアンで、友人や家族と食事に行きたい場合は困ってしまう。普通のメニューにはあなたの食べられるものはほどんどない。サラダとか、コーヒーくらいか。また結婚式の披露宴やパーティーに出席するときはどうだろう。屋外でバーベキューだってすることもある。

そこでベジタリアンメニューと食材が必要になるわけだ。番組にはオランダ・アムステルダムの本格和食レストランhttps://www.hosokawa.nl/のシェフも出てくる。どんなところかなと思い、お店のHPへ行ってみたら、こんなよだれの出そうな品々が並んでいた。

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なのにそこのすし職人は、サシの入ったフェイクな刺身(前回記事)を神妙な面持ちで試食していた。ヴィーガンメニューを作るのだという。卵焼きもかつおだしは使えないから、ひとつひとつ見直していくようだ。

番組は他にもドイツのベジタリアン幼稚園を紹介していた。親たちもみなベジタリアンだという。給食はもちろんベジメニュー。

 

269

そして最後に負の側面として、精肉店を襲撃するなどスキャンダルを巻きちらしている過激な活動家団体にも取材していた。肉屋のオーナーが、覆面の5人組に襲撃されガラスを割られたと話す。スマホで撮った写真には「種差別をやめろ」というスプレー書きの文言が見える。「種差別」とは人間以外の動物を差別し搾取することだ。

食肉処理場も放火された。広い敷地の8カ所も。脅迫状には「動物を殺すお前の家族も従業員もアウシュビッツで焼かれてしまえ」と書かれていたという。80人ほどいた従業員は去っていった。犯人はまだ捕まっていない。被害総額16億円相当ということだ。

肉屋襲撃や町なかでのショッキングなパフォーマンスの際に必ず見られる文字、それは269.

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(↑サイトのTOPページの写真https://www.269life-france.com/)

269 life-franceという急進的ヴィーガン団体のひとつである。パリ支部長エリック・リキエ(Éric Riquier)氏が顔を出してインタビューに答えた。「精肉店に権利などない。動物の命を考えろ。虐待をやめさせる。そのためなら手段を選ばない」

番組スタッフはこう尋ねた。「ぼくは肉も魚も食べるんですけど、ぼくの人格をすべて否定しますか」

リキエ氏「あんたの体は動物の墓場だ。自分のやっていることを自覚しろ」

まったく酷い話である。まともな人たちではない。普通のヴィーガンが可哀想になる。肉を食べるか食べないかは自由に選択していいのだ。そして自分と違う生き方や選択も尊重されるべき。一方的に押し付けられる筋合いはないし、第一暴力や脅迫は立派な犯罪だ。

 

さて、前回と今回ここまで「未来世紀ジパング」の番組内容を振りかえってきたが、ここで終わりにする。下は番組収録のあとドイツに里帰りしたマライさんが、大豆素材のソーセージをスーパーで見つけ、写真を撮ってくれている。 

 

和解は無理そう?

朝はたいていテレビでフランス2(NHKBS)を見ているのだが、この種の暴力の報道には辟易し、朝からすご~くいやな気分になる。店の前に血のりをまいたり、動物の死骸に似せた人形を乗せたテーブルで食事をするパフォーマンスなど。通りかかった家族連れが驚き、顔をしかめる。肉屋・肉食を動物虐待や残虐行為と結びつけ、ことさらに強調してショックを与え、肉食をやめさせようとしているわけだ。小さな子どもはトラウマになるかもしれない。

こちらAFPの昨年秋の記事。

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http://www.afpbb.com/articles/-/3191492

過激派ヴィーガンの嫌がらせ被害に苦しむ、全国1万8000店加盟の「フランス食肉専門店・食肉ハムソーセージ専門店・総菜店連盟」が昨年6月、緊急事態だと表明、政府に保護を要請した。しかし「家畜飼養や食肉処理で生計を立てている人々と、動物の大量殺害を止めさせようと活動している人々の間で、衝突が発生するリスクは高まりつつあるようだ」と記事は締めくくられ、悲観的である。

こうした過激派がいるのはフランスに限らない。スウェーデン在住の方もこう書いている。

 さらに驚いたことに「攻撃を加えていた動物愛護団体が、企業の資金援助を受けていたことがわかった。判明した企業は、Ica、Axfoodといった食品関連会社」などとツイートは続いている。

 

オリンピックを控え 日本では?

さて話を戻し、日本もベジタリアンが安心して食事のできる店、メニューを揃える必要があるだろう。 地域で店のマップを作り、無料で配布するほか、コンビニなどの食品や弁当にも表示があったらいい。

そこで参考になるのが、2年くらい前にテレビで見た岐阜県高山市にあるお店、平安楽さんだ。きっとみなさんもいろいろな報道でご存じかもしれない。

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外国人に人気の日本のレストラン ランキング 2016

世界最大の口コミサイト「トリップアドバイザー」が発表した、2016年のランキング堂々の一位である。お値段も千円以下の品が並ぶ庶民的なお店らしい。ベジタリアンと何の関係があるのと思うかもしれない。

実はこのお店、ベジタリアン、ビーガンに合わせた食事をその場で作ってくれるのだ。ハラール対応のメニューもあり、小麦粉がダメな人のために米粉のラーメンまで作る。英語表記のメニューだけでなく、女将さんが英語で料理の説明をしてくれたり、旅の相談にものってくれるという。

Matt Kさんの口コミ:「ベジタリアンもベジタリアンでない食事も両方すばらしい。日本ではなかなか見つけられないのだが、マッシュルームアレルギーのために調理してくれた。料理は美味しかったし、手ごろな価格だった。」外国人に人気の日本のレストラン ランキング 2016 |

口コミも英語・中国語・スペイン・仏・イタリアなどが多い。高評価の理由をひとことでまとめると、「徹頭徹尾 客の要望に応える」ではないだろうか。よく私たちが勘違いしやすい日本流のおもてなしは、ともすると押しつけがましく,相手が求めるものと隔たりのあることが多い。

今回このテレビ番組を見て、 菜食主義からおもてなしまで、多くを学び、考えるヒントをもらったと思う。

菜食主義のテーマは終わります。

 

前の記事

cenecio.hatenablog.com

 

 参考:去年のツイート

 

次の記事(コメントへのお返事)

cenecio.hatenablog.com

 

菜食主義の最前線 ベジタリアン争奪戦(#未来世紀ジパング-1-) 

菜食主義の文化(ベジタリアン / ヴィーガン)

先日、テレビ東京の「未来世紀ジパング」https://www.tv-tokyo.co.jp/zipangu/で、海外の菜食主義を特集していて、おもしろかったので簡単に書いておこう。めったにテレビは見ないのだが、マライ・メントラインさんが出るということで、800万人を超えるといわれているドイツのベジタリアン・ベジ事情を知りたいと思ったのだ。というのも私が習ったドイツ人の先生はほぼ全員ベジタリアン。一人はヴィーガンで日本人の妻も同じく。ヴィーガンというのは動物由来のもの、卵や牛乳、チーズなども口にしない人だ。ヴィーガンのなかには、日用品に皮革やダウン(羽毛)など動物由来の製品を使わない人も多い。私の先生は柔らかい革のジャンパーを着て毛糸の帽子をかぶっていた。もしかして合成皮革だった?もしかして羊毛でなく̠アクリルだった?今となればそうだったのかも、と思っている。

10年前と比べて、身近でも肉食をやめ、菜食生活に移った人はぐんと増えた。私自身は肉は鶏肉を中心に食べるが、量は減らそうと努めている。魚介類は大好き。でも世の動きは肌感覚でびんびん感じている。

ヨーロッパの街を歩けば、レストランなど外食産業で、ベジタリアン・ヴィーガンメニューは今や当たり前。しかもバラエティーに富んでいる。

ファーストフード店でも同じ。ケンタッキー・フライド・チキンやマクドナルド、あるいはドイツのソーセージ屋台やケバブ屋さんにだってその波は押し寄せている。メニューの写真は一見普通のハンバーガー肉、あるいはチキンなのだが、実はホンモノに似せたフェイク肉なのだった。

菜食ブームで肉離れが進んだが、それが何か?と言わんばかりに、豚肉のソーセージを作るドイツの会社では、気を落とすどころか肉の代用品を次々と開発している。

刺身は無理だろうって?全然問題ない。フェイクのサーモンやマグロには、ご丁寧にサシまで入っている。(どうやって入れるんだろうね、企業秘密だそうです)

https://www.derestaurantkrant.nl/library/page/1538378504.9298.jpg

Vegan Sashimi op de menukaart van Vegan Junk Food Bar

 

キノコ、珈琲かす、リンゴの皮などを利用した製品

食べ物だけじゃない。あの番組を見た人はきっと私と同じように驚いたと思うが、日用の製品の素材、いや素材のアイディアがこんなにもあるのかと。

上の写真の茶色い靴は アマドゥ(Amadou)というキノコを使っている。日本ではツリガネダケ(ホクチタケ)と呼ばれている。(アマドゥ (キノコ) - Wikipedia

https://upload.wikimedia.org/wikipedia/commons/thumb/5/5f/Fomes_fomentarius.jpg/300px-Fomes_fomentarius.jpg

↑この固い外皮のしたに、柔らかくて伸縮する(私が番組で見た印象だと)ゴムとかフェルトのような素材が入っている。

https://upload.wikimedia.org/wikipedia/commons/thumb/e/ef/Kappe_aus_Zunderschwamm.jpg/220px-Kappe_aus_Zunderschwamm.jpg

(アマドゥから作られたルーマニア帽。写真:ウィキペディア)

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https://www.amadouleather.com/

アマドゥ・レザーと呼ばれ、これで作る靴や財布、スリッパはルーマニアの特産品だという。

他にも、珈琲のかすやトウモロコシなどが靴に使用されていることに目をぱちくりさせていると、今度はきれいな色の赤いバッグ、黄色いバッグがスタジオに登場。リンゴの皮を使っていると聞かされ、にわかには信じられない、ただただ驚くばかりだった。

こうして皮革の代用を懸命に探すのは、人間のエゴで動物を苦しめ、搾取してはならないという「倫理」から来ており、エシカルファッション (ETHICAL FASHION)という運動も広がっている。

先日もよんばばさんのブログで意見交換したのだが、皮革製品への愛着というものがある。長く使い込んだ革製品は、体の一部のようなかけがえのない存在である。少々値がはっても、手入れして長く使うのが基本だと思っているから、質のよい靴やバッグを選んでいるのだが…。羊毛に至っては、アクリルの毛糸は体に悪いから毛100%で良質のものを買うように、いつも母に言われていたものだ。そうすれば解いて編みなおすこともできる。

しかし、これからはしだいに価値観も変わっていくのだろうか。

 

ベジタリアン争奪戦へ 世界市場5兆円

菜食を選ぶ人には様々な理由がある。宗教や健康志向や動物愛護(食べるだけでなく、動物実験含め)の観点から。また環境問題への配慮から。よく挙げられる例のひとつに、牛など家畜のゲップに含まれるメタンガスが温暖化につながるから肉食(特に牛肉)を激しくターゲットにする人もいる。(現在はメタンガス排出を抑える餌があるそうだが)

参考: 

natgeo.nikkeibp.co.jp

 

世界でどのくらい菜食主義の人がいるのか。こちらのサイトの調査によれば

https://frembassy.jp/news-post/vegetarianmarket/

https://frembassy.jp/wordpress/wp-content/uploads/2018/04/veg1.png

インドは宗教的な理由から、欧米諸国は大雑把にいうと動物愛護・環境問題から、 という人が多い。台湾は「素食」という菜食文化が根付いている。日本は4.5%程度だとか。

代用フードはどうやって作るのだろう。さきほどの写真のフェイク・カマンベールチーズは、生カシューナッツを使っているそうだ。

材料として最もよく使われるのは大豆である。我が家でも生クリームを豆乳に代えることはよくする。ほかには、コンニャク、タピオカ、海藻等だそうである。

台湾素食には伝統的な技と工夫が詰まっているという。残念ながら私は台湾に行ったことがない。でも良く知る人たちは「ベジタリアンでない人にも十分に楽しめるおいしさだ」という。

 

ベジ寿司

日本の寿司はどうするだろう。ヴィーガンだと河童巻きくらいしか食べられないはずだ。

すると番組には、野菜で作る寿司をケータリングする日本の若者が登場。ケイタさん(@nakagawakeita中川啓太)は自身で考案したベジ寿司https://vegesushi.eu/をパリを中心に展開している。本も出しているので表紙を見てみよう。寿司のイメージはほとんどない。

https://d2l930y2yx77uc.cloudfront.net/production/uploads/images/8890530/picture_pc_26e0bb37785e535dc59fbcb9f29c5773.jpg

箱を使った押し寿司で、ケーキのように美しく華やかだ。味にうるさいパリのベジタリアンの間で人気上昇、というのはちょっと前から聞こえていた。

youtubeで2016年夏のイベントの様子を見られるので、ちょっと切り抜いてみた。

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https://www.youtube.com/watch?time_continue=106&v=82WxXUJ6AvA

寿司アート集団 ホクサイキッチンhoxai kitchen が、パリ・ブローニュの森にある日本家屋のイベントで、VEGESUSHIの披露をしたということである。

去年の11月には、恵比寿でキッチンカー。(作っているのがケイタさん)

http://hoxai.com/wp-content/uploads/2018/11/DSC05609-1.jpg

VEGESUSHIキッチンカー、1日目の様子。(11日もあるよ) – hoxaigraphics

「未来世紀ジパング」の番組では、ベジタリアンのお宅に行き、集まった招待客のためにベジ寿司を用意する過程を取材している。

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https://tver.jp/episode/54216163

古代米やビーツできれいなピンクに染めたすし飯に、さまざまな野菜をアレンジしている。一口食べたあとの客の反応、パッと顔が輝き、幸せそうに感想を述べるようすがベジ寿司のクォリティを物語っている。

客の一人がケイタさんにお願いがあるという。今度結婚するのだが、彼もベジタリアンなので披露宴で料理を作ってほしいとのこと。

それにしてもケイタさんは大学は彫刻科だったそう。引き出しの多いおもしろいかたで、京都にお住まいだそうである。

 

今日はここまで。

また次回にね~!

🌸おまけ 

所ジョージさんの番組からポイントもらった話 &巨大ロボットへの半端ない愛『鋼鉄ジーグ』 

ブログを始めて3年が過ぎた。 

前々回エントリ育児は男性の権利、育児は人間の仕事。ジェンダーやセクシズムについて考える-4-(コメントにお答えして)の続きになる。

当ブログは、ベルギー滞在中の連絡用に始めたから、当初は半年くらいでやめようと思っていた。だが、中断をはさみながらまだ続いている。

似た時期に始めたさぴこさん  さぴこ (id:sapic) は先日1000回を達成したそうだ。すなわち毎日欠かさず更新してらしたから。私から見たらもう超人というほかない。

私も3年が過ぎたのでおもしろかったことを幾つか書いてみよう。

 

1.所ジョージさんの番組から500ポイントもらった。

コメントやブックマークだけでなく、はてなさんを通じてEメールをもらう、そんなこともあるんですね。みなさんはもう経験済みなことかもしれないが。TBS「所さんお届けモノです!」のスタッフさんから、東京藝祭の写真を使わせてほしいと連絡があった。もちろんOK。お礼にと、はてなポイント500点を頂いたので早速スターに交換し、みなさんのブログ記事に付けて楽しんだ。TBSさんありがとう!

 

2.『この世界の片隅に』に続編があるかも…を教えてくれた人。

片渕監督の『この世界の片隅に』はもう多くのかたがご覧になったと思う。私がこの映画に興味を持ったのは、『この世界の片隅に』原作漫画の仏語翻訳が売られているのを見て、ああ、こんなよさそうな作品があるのに私はなんも知らないな、せめてこの漫画は読もう、と思ったことだ。

映画は封切り後すぐに行った。池袋の大きなホールに40~50人程度という入りにショックを受け、応援団になるぞ~と勝手に決意し、簡単な紹介記事を書いた。タンポポの綿毛の飛んだところ『この世界の片隅に』熱烈応援中 追記:アヌシー国際アニメ映画祭でも受賞 - 

片渕監督がすぐにツイートしてくれ、数カ月あとでもう一度ツイートしてくださった。エントリの中で、 片渕監督への不満をひとつ述べた。こうのさんの原作では大きな比重を占める遊郭のりん、すずの唯一の友人と言ってよい。また複雑な感情も抱いている。そんな重要な登場人物なのに、映画にはほとんど出てこないのだ。

すると LLさんという方からこんなコメントをいただいた。

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 片渕監督の考えを簡潔にまとめてくださっている。「完全版」あるいは「続編」のことも匂わせている。温かく、示唆に富むコメントだ。

そしてその後、LLさんのおっしゃった通りになるのだから驚いた。こちら『この世界の(さらにいくつもの)片隅に』は2019年中には公開されるという。昨年暮れの予定が延びているとのこと。

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この世界の(さらにいくつもの)片隅に【映画】

新しい場面を付け加え、「さらにいくつもの人生」そして「すずたちの心の奥底で揺れ動く複雑な想い」が描かれるという。楽しみだ。

 

3.過去12カ月で最も読まれた記事(*Googleアナリティクスの分析による)

去年は9月までブログはサボっていた。ずっと書いてないと重い腰はなかなか上がらないものだ。みなさんだってきっとそうだと思う。

やる気になったきっかけは9月8日の東京藝祭。毎年これについて、写真と共になにかしら書いているし、おすすめ記事に取り上げられたり、東京藝大のサイトにも載せてくださったこともあるので「じゃあ、今年も書こうか」という気になった。

さて、無料のサイトGoogleアナリティクスで、過去12カ月によく読まれた記事を調べてみた。

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このレポートは 2019/01/30 13:08:11 に作成されました

一番多かったのは、やはりクイーン映画大ヒットを反映して

1位 22774Queenフレディ・マーキュリーの日本愛やボディガード氏の話など フレディ-2-追記:クイーン阪神淡路被災地へメッセージ 

5位 9969。映画『ボヘミアン・ラプソディ』観た日は祝祭日。フレディ-1-

そして

2位 10972.小平奈緒選手 オランダ語インタビュー(平昌五輪)

私は小平奈緒さんのファン^^ 実は元は、別ブログ(倉庫のようなもの)に書いた、読者を想定していないメモ書きである。だが最初の1~2時間で数百のアクセスがあったため、メモを記事化した。その後こちらに移した。

3位 10430高輪ゲートウェイはイヤだ &グッチのダサ可愛セーターが衝撃。 

4位 10295マリアンヌの壊れた顔も象徴 &北海道の女子高生がフランスで主役だった話 黄色ベスト-1- - 

6位 8713リツドアン 堂安 律選手のことを中心に-1- 追記:10月18日(酒井宏樹&南野拓実選手) 

 7位は次で。

ロボット

4.かつての少年たち 巨大ロボットへの半端ない愛

過去12カ月ランキングの7位は8359PV。2016年9月に書いたフランスで視聴率100%だった日本アニメ・永井豪 追記:2017マジンガーZ&嶋星光壱 

 この記事はこれまでに合計4万くらいのPVがある。前回もちらと触れたが、漫画やアニメに興味のない私が、マミーさんの何気ないコメントに刺激され、一生懸命調べてマミーさんに報告するつもりで書いた記事である。永井豪原作のUFOロボ グレンダイザーが、欧州とアラブ諸国で絶大な人気を誇るという内容だ。2016~17年はすごいアクセスがあった。検索で入ってくる人のほか、まとめのサイト、どなたかのブログを通しても来る。「リンクさせてもらったが不都合なら言ってくれ」的なコメントも頂いたことがある。別にリンクフリーなので断らなくて大丈夫。

巨大ロボなんてま~ったく興味がなかった。自分がラップを歌っていたりスケボーをやったりする姿が想像できないと同じくらい、関係ない世界だと思っていた。

しかしあの記事を書いて以来、そして大きな反響を見てからは、いつも心の隅っこに置いて情報を拾ってきた。男性のみなさんが寄せる巨大ロボへの熱い想い。少年時代の憧憬?心のふるさとのようなもの?

去年わっと (id:watto) さんのエントリ巨大ロボットを操縦する方法あれこれまたは主人公に感情移入させる方法について - しいたげられたしいたけも楽しく読ませていただいた。みんな語りたいんだね。そんな共通の居場所があるってすばらしい。

そしてヨーロッパの、いまやおっさん年齢の人たちも同じ情熱を分け合っている。さきに挙げた永井豪の『UFOロボ グレンダイザー』がフランス人の心の友だとしたら、イタリア人は鋼鉄ジーグ鋼鉄ジーグ - Wikipedia、やはり永井豪のアニメ(1975年)だ。イタリアでは1979年にテレビ放映され、多くの少年たちがジークの洗礼を受け、虜になったという。

さらに、その鋼鉄ジーグ愛が嵩じて、映画を作ってしまったイタリア人もいる。実写版という意味ではない。イタリアとしては珍しいSFアクションものである。

”Lo chiamavano Jeeg Robot (2015)” 

邦題:『皆はこう呼んだ、鋼鉄ジーグ(2017年公開)

http://cinema.u-cs.jp/wp-content/uploads/2016/12/Jeeg_poster-725x1024.jpg

(すみません。見てもいないのに図々しく語ります)

鋼鉄ジーグファンのガブリエーレ・マイネッティ監督が、原作アニメに捧げたオマージュのような映画。イタリアのアカデミー賞にあたるダヴィッド・ディ・ドナテッロ賞など、7部門を受賞した。評価も高く興行的にも成功したという。

おもしろいことにイタリア版ポスターにも ”皆はこう呼んだ「鋼鉄ジーグ」”という日本語がそのまま書かれている。

www.youtube.com

映画は、荒廃したローマの街が舞台で、実際に劣悪な環境と言われる”Tor Bella Monaca”地区(よく旅行者に避けるよう注意勧告が出ている所)で撮影が行われた。泥棒だった孤独な男エンツォが偶然に超人的な力を得て、次第に正義に目覚めていくストーリーだが、鍵となるのが殺害された兄貴分の娘アレッシア。彼女はアニメ「鋼鉄ジーグ」の熱狂的ファンであり、パワーを得たエンツォを、アニメの主人公司馬 宙(しば ひろし)と同一視するようになる。・・・

マイネッティ監督はインタビューなどでこう話している。

日本のアニメを子供のころから見ていて、自分たちのものと感じていました。いま40歳の私たちの世代がスーパーヒーローとして思い浮かべるのは、バットマンスパイダーマンではなく、マジンガーZ、グレンダイザー、ジーグでした・・・(略)

グレンダイザーやマジンガーZは、人間が操作しているが、ジーグはメカの頭に操縦席があり、ジーグにパーツを投げてくれる女性がいる。女性に助けられてジーグになる。女性の果たす役割が重要であり、彼女がいなければヒーローになれなかった。・・・(略)

「女性に助けられてジーグになる。女性の果たす役割が重要…」実にイタリアらしい。

また主人公を演じる俳優クラウディオ・サンタマリア自身もジーグが好きで、超合金の人形を持っていたと話している。http://eigamagazine.work/archives/5042949.html

 

去年の秋、twitterのタイムラインに流れてきた画像に驚いた。ローマの集合住宅の壁に描かれた「鋼鉄ジーグ」。卯月 美和(うづき みわ)の悲し気な顔が強い印象を与える。イタリア人の美和への深い愛。この絵の主役は美和だ。

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ちょっと引いた、別の写真も見つけた。美和の目がどこまでも訴えかけてくる。

原作に忠実な色使いがいい。いったい誰が描いたんだろう。

https://www.repstatic.it/content/localirep/img/rep-roma/2018/11/16/150435071-f0b8d6ad-0ba0-44f2-a14e-340b2751d490.jpg

Roma, l'eroina Miwa sbarca a Tor Bella Monaca; terminato il murale di Flavio Solo - 1 di 1 - Roma - Repubblica.it

調べてみるとフラヴィオ・ソロ(Flavio Solo)https://www.facebook.com/h4solo/というストリートアートを主にやる画家の作品で、ソロ氏はかなり有名な人なんだとか。↓

https://ottobre2017.romics.it/sites/default/files/solo_0.jpg

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https://www.youtube.com/watch?v=XSQLydd0FN0

ほかにもyoutubeから拾ったが、こんな作品も↑。

ところでみなさん、不思議に思わないだろうか。ジーク人気、アニメオタクが多い、と言っても、どうして公共のものにアニメの絵が描かれているんだろう。許可などは?費用もかかるだろうに。

実はさきほどローマの危険な地域(Tor Bella Monaca地区)で映画を撮影…云々と書いたが、絵はこの地域の壁に描かれている。地域の再生やイメージの向上に役立てようと行政が考え、ストリートアートを推奨しているのだ。映画撮影がきっかけとなり、この地域が少しでも住みやすくなったらいいな。みんな、美和に見つめられに来ればいいのに。

今日は終わります。

またね~!

 

 🌸参考

鋼鉄ジーグ[opening】鋼鉄ジーグのうた & 鋼鉄ジーグ[ending] ひろしのテーマ 映像編集

www.youtube.com

②主題歌をイタリア語でカバーするバンド。

一見の価値あり!イタリア人が好きになる。

www.youtube.com

高橋留美子さんグランプリ受賞㊗&松本大洋氏のポスターが人気!追記:バットモービルも到着

今朝はこのニュースに大喜び!

高橋留美子さんが、アングレーム国際漫画祭でグランプリにノミネートされていたのだが、見事グランプリを受賞した。この漫画祭は欧州最大のもので今日24日から27日まで開催される。2015年の大友克洋氏に次いで最高の賞に輝いた。

アングレームの公式サイトからのお知らせは、顔写真じゃなくイラストなのが笑える。

https://pbs.twimg.com/media/DxnT7FDX4AErR0m.jpg:large

 

今朝の共同通信の記事 

高橋留美子さん仏でグランプリに アングレーム漫画祭 - 共同通信 | This Kiji

引用

【パリ共同】フランス南西部アングレームで開かれる欧州最大規模の漫画の祭典、第46回アングレーム国際漫画祭は23日、漫画の発展に大きく貢献した作家に授与する功労賞「グランプリ」に「うる星やつら」や「めぞん一刻」などの作品で知られる高橋留美子さん(61)が選ばれたと発表した。

 漫画祭の主催者は高橋さんの作風について「出るくいは打たれる(日本)社会で、アウトサイダーや変人を前面に押し出し、彼らにもチャンスがあることを示そうとこだわった」と指摘。多くの作品はコメディーと見せかけて、極めて進歩主義的だと評価した。

 

ノミネートは3人だった。こちら↓ ちょっとドキドキしてたけど今年はイケる気がしていた。だから本当に嬉しい!

f:id:cenecio:20190118104205p:plain 高橋さん応援の人の熱いツイート

ちょっと熱くなっているのは、私の考え過ぎかもしれないが、過去記事でも触れた「批判」が関係している。

マンガの仏語訳 反転した世界を楽しむ セーラームーン&紅の豚&らんま1/2 ロマン・ユゴー - 

文化侵略からオタク文化の受容まで-3- 日本アニメ育ちが吹き込む新風キューン(Ahmed Agne)追記:Trappesイスラム化 - 

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 (↑うちにある3冊。『らんま1/2』仏版は1994年発行)

すなわち「ノミネートはどうして男性ばかり?」という批判。欧州でも日本でも優れた女性作家はたくさんいるのに。日本は特に宝庫だと思う。

2年前はリヤド・サトゥフ(Riad Sattouf、 1978年生まれ、フランス)という漫画家が ”自分がノミネートされているようだが、自分の代わりに高橋留美子やほかの女性作家を入れてくれ”とFACEBOOKに書いて話題を呼んだ。

 

愛される高橋留美子作品

1990年代半ばに滞在していたフランスで、当時小学生だった子どもたちと一緒に、日本の漫画・アニメを「学習」した私である。自分の子ども時代は漫画やアニメがほぼ禁止だったので。

ナビゲーターは、TVのドロテクラブフランスの子どもたちを日本アニメオタクにした番組 「ドロテ・クラブ」Club Dorothée -2- - 

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らんま1/2』の人気はすごかった。前の記事にも書いたのだが、高橋留美子の作品は日本文化への導き手となり、多くの若いフランス人に日本への興味を募らせることになった。

作品には、古い日本家屋に住むクセのある変な人たちがたくさん登場する。日本の家具や食事や学校生活、独特なルーティーンなどは珍しく刺激的だったろう。しかしギャグや笑い、ドタバタなどはむしろ普遍的だし、ストーリーは予想もつかない展開を見せるので読みだしたらやめられない。

高橋留美子というよき先生から多くを学び、「予習」をばっちり済ませた若いフランス人は、日本へ来て困ることはあまりなかったと言っていた。それどころか

「朝、長ぼうきで外を掃除しないんですか」とか

「学校の”下駄箱”、見たいです。ラブレター入れたことありますか」などと質問を浴びせられ、受け入れ先の家庭はさぞかし困っただろうなあ。

 

ベルギー仏語紙

「マンガ家ルミコ・タカハシは グランプリを受賞した史上二人目の女性作家(*)

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一人目は2000年の受賞者フロランス・セスタックFlorence Cestac - Wikipedia

《参考》フランス リベラシオン紙 良い記事

next.liberation.fr

楽しいツイート。愛に溢れている。

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https://twitter.com/_comixtrip/status/1088147910620078083

高橋作品の連載(日本)とフランスでの出版年がわかるリスト。

BIBLIOGRAPHIE :

1978 - 1987 : Urusei Yatsura (うる星やつら) (34 tomes)
Dernière parution française : Glénat 2005-2008

1980 - 1986 : Maison Ikkoku (めぞん一刻) (15 tomes)
Dernière parution française : Tonkam/Delcourt 2007-2009

1984 - 1994 : Mermaid Forest (人魚の森) (3 tomes)
Dernière parution française Glénat : 1998

1987 - 1996 : Ranma 1/2 (らんま1/2) (38 tomes)
Dernière parution française Glénat : 2017-en cours

1987 – 2007 : One-Pound Gospel (1ポンドの福音) (4 tomes)
Pas de parution française

1994 : La tragédie de P (Pの悲劇) (1 tome)
Dernière parution française Tonkam : 2004

1996 – 2008 : Inu-Yasha (犬夜叉) (56 tomes)
Dernière parution française : Kana 2002-2014

1999 : Le chien de mon patron (専務の犬) (1 tome)
Dernière parution française : Tonkam 2004

2005 : Un bouquet de fleurs rouges (赤い花束) (1 tome)
Dernière parution française : Tonkam 2007

2009 – 2017 : Rinne (境界のRINNE) (40 tomes)
Dernière parution française : Kazé 2010-en cours

Recueil d’histoires courtes :
Rumic World 1 or W, Delcourt 2016 (1 tome)

www.bdangouleme.com

 

松本大洋さんのポスター

私は『Sunny』しか読んだことがなく、『ピンポン』は映画しか知らないのだが、とにかくポスターがすばらしいと思っている。今年、アングレーム国際漫画フェスティバルは三種類(三人の作家さん)のポスターを用意した。松本さんのはこちら。

https://pbs.twimg.com/media/Dv6_CIYXgAIHXZ0.jpg:large

これはカタログの表紙用。

https://pbs.twimg.com/media/DqcHzVqXQAAhU5z.jpg:large

 

パリの地下鉄プラットフォーム。 

今日はここまで。取り急ぎまとめました。みなさんも何か思い出があったら書いてくださいね。また次回!

🌸追記:アングレームバットモービルが到着した。誰でもここで写真を撮れるらしい。我が家は夫と息子が、1995年のパリの自動車ショーへ、わざわざこれを見にいっている。

松本さんも到着!

育児は男性の権利、育児は人間の仕事。ジェンダーやセクシズムについて考える-4-(コメントにお答えして)

いつもみなさんから貴重な意見・コメントをいただいて感謝している。

私ははてなでブログを書いているのだが、分析サイトの数字を信じれば、当ベルギーブログの訪問者は95%以上がはてな以外の人である。つまり単なる検索で入ってくる人のほか、おすすめ記事や他ブログに掲載されたもの、スマートニュースや まとめサイトからというのが圧倒的に多いらしい。

さらに前にもお話したが、映画『この世界の片隅に』(記事3本)をツイートしてくださった片渕須直監督、『ダンケルク』の記事2本も映画関係者のツイッターで訪問者が増え、それぞれ1万弱くらいだったと思う。ツイッターの威力は凄い。

ブログについての考察もいつか書いてみようと思っているが、ともあれコメントを下さるみなさま(のほとんど)は「はてな」の人たちである。この一点で私たちはお互いに繋がっている。

コメントの恩恵は計り知れない。もうどんなに感謝していることか。得る情報ばかりか新しい視点とか思いがけないアプローチなどを授けられるのだから。いや、みなさんにはわかるまい。大袈裟だと思われるかもしれないが、いただいたコメントをきっかけに書いた記事はいくつもあるのだ。そのうちの一つなんて、元々自分にはまるで興味のないことだったのに一生懸命調べて書いたら4万アクセスを超えるオバケ記事になったものまである。(マミーさんのおかげなんですけどね^^その話はいずれ。)

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(写真:2016年1月アントウェルペン 日曜の仮設スケートリンク。お父さんたちでいっぱい) 

 話は戻り「ジェンダーやセクシズムについて考える」である。「まだやるの?」と呆れると思うけれど私はこのテーマであと5本くらいのエントリは難なく書ける。が、今日はみなさまのコメントから考えてみたい。

 

男性トイレにもオムツ替え台がある時代 ジェンダーやセクシズムについて考える-1-

ribbentrop189 「自分の子ども育ててイクメンって何ですか。当たり前のことじゃないですか。気持ち悪い言葉イクメンて(byハライチ岩井勇気)」マジ歌で歌う前に言ってたんだけど、これに激しく共感したんだよねー 

ribbentrop189さんのこの3行は深い。岩井勇気さんって知らなかったんだけど、そんなカッコいい発言をする人なの?教えてくれてありがとうございます。若い人のてらいのないスタンスに、明るい未来を覗いたような感じがする。

srng その辺の田舎の道の駅の男性トイレにオムツ台普通にあったなあ(そもそも道の駅は田舎に多い)。感覚的には半数、なくても多目的トイレはほぼ完備でそっちにはあるんじゃないかな。道の駅スタンプラリー民並感 

BUNTEN 最近街中で子連れのお父さん(お母さんは伴っていない)を見かけることが増えた気がしている。社会

田舎の道の駅には普通にある!多目的トイレはほぼ完備!子連れのお父さんは増えている⁉…わあ、それを聞くとますます嬉しくなる。環境が整っていけば育児する男性たちも不便や疎外感が減る。私たちはますます応援していけばいい。

yonnbaba そうそう、男性の育児参加は「手伝い」じゃなくて、男性の「権利」。私は自分の子育て中から、なぜ男性は、こんなに楽しく大切なことに関わる時間が欲しいと主張しないのか不思議だった。 

mamichansan 育児は「権利」。でも日本では育児を「義務」と捉える人が多い…と最近「ミステリと言う勿れ」という漫画で語られてました。漫画だけどすごい説得力でした。オススメ。 

育児は権利。 これにつきる。あとは環境だな、育休含む種々のケア、支援である。

ここでガツンと打ちのめされるような、人類史上もっとも進歩的と言われているスウェーデンの事情を覗いてみよう。「クーリエジャポン」に英国人ジャーナリストが寄せた記事。https://courrier.jp/news/archives/62207/

このイギリス人男性は、7年前に6カ月間専業主夫として第一子の子育てをしたのだが、それは周りから見下されて心を打ち砕かれる惨めな体験だったと語る。そこでスウェーデンに視察に向かうのである。

今や9割の男性が育休をとるスウェーデンでも、かつては専業主夫で子どもの世話をしていると、Tv番組などで女々しい男などとばかにされたり、変人扱いされていた時期もあったそうだ。それが「9カ月の育休をとった」というと「たったの9カ月?」と言われるほどの先進国家になるまでに、約40年の月日と巨額な公的資金が必要だったという。

政府の顧問を務めるプランティン教授が言う。

「これはスウェーデン経済の生き残りをかけたものでした。スウェーデンは小国です。国が旧来型の経済から情報経済へと移行するなか、優秀な働き手が仕事を続けられるようにすることが合理的でした。優秀な働き手には女性が多いですからね」

記事によると、スウェーデンでは、父親も母親も同性のカップルでも、家庭の事情に合わせて子育てができるように両親合わせて480日取得できるという。

母親だけがとれる育休が90日、父親だけがとれるのが90日、残りは分け合うことができる。480日のうち390日分に対して、給与の約80%相当額が支払われる仕組み。ただし上限は約43万円。さらに驚くのは、無職の人もこの育休制度を利用できるということだ。

 

これに対し、イギリスでは父親の育休は2週間だけ、給付されるのは週に約2万円と嘆いていた。その嘆きはよくわかる。日本だって同じ。だから一方的に父親に「子育てをしろ」というのは無理な話である。社会が変わり、支援策がないことには。そして変革はすぐに起こらず、意識も少しずつ時間をかけて変わっていくのだろう。若い人たちには大いに期待している。育児は権利。

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Photo: Christian Science Monitor / Getty Images

 

お子さんをセクシストにしないための絵本選び ジェンダーやセクシズムについて考える-2- 

watto しかし日本の「子どもの日」が、女の子のお祝いの桃の節句ではなく男の子のお祝いの端午の節句に設定されていることに関しても、炎上の余地ありそうだなぁ。間を取って4月4日にすればいいというのが昔からの持論。

watto さんの「4月4日」案はおもしろい。それは一度も考えたことがなかったな。というより、こうした視点がそもそも私にはなかった。他の方のコメントにもあったが、「雛祭りを失くせ」という議論でないことは再度お断りしておく。外国にお住いの人たちの話だ。

で、watto さん、台湾は4月4日だそうだ。シンガポール10月1日、タイ1月の第2土曜など。どこの国にもそれぞれ「子どもの日」があって休日だったりそうでなかったり。また国連の「世界子どもの日」(6月1日)に合わせている国もある。その国の祝い方でよいのだ。

まあ、日本の桃の節句はなくならないと思う。でも50年後は、と言われればそれはわからない。

ただ個人的には、ひな祭りの食べ物にはかなりドキリとする意味や伝説(中国由来や日本昔話)があって、聞いたあとでショックが長く残ったのも確かである。貞節と美徳の象徴ハマグリとか、甘酒の前身である桃香とか…。マジで~!というレベルなのでここには書かない。

ネズミの婿選びがなぜセクシズムと関係あるのかという問いだが、フランスのリストを作った人たちは結婚において、現在のフランスにも残る家制度や格式、階級社会(もしかして政略結婚も含む?)などを絡めているかもしれないと思っている。10年ちょっと前のフランスでの話だが、自分の娘を嫁にやるのは、5歳年上で大卒以上で、収入がこれこれで、家柄は同じくらいの相手が最低条件、と言ったお父さんを知っている。私は腰をぬかすほど驚いたものだ。

そもそもこの昔話だって別の意味もある。つまりネズミはネズミと結婚する。身分相応がよろしい。それが幸せへの道だという教訓である。

 

男らしさとは? マッチョ社会を揺さぶる男性用カミソリのCM ジェンダーやセクシズムについて考える-3-

bg4kids 「立場が人を育てる」などいいますが、頭の悪い役割につけられると、本当にその役割のようになってしまうのが怖いところ。「生物学的に向いていない」とされることも、多くは社会で決められたロールのせいなのかも。 

「社会で決められたロール」まさにおっしゃるとおり。力仕事ならともかく、生物学的に不向きなんてことはないのに。

去年大きく日本社会を揺さぶった医大の入試差別はこれである。たとえば中国や欧州の国々では、統計が示す通り、女性医師・医学生の数は男性よりも多い。7割近くを女性が占める国だっていくつもある。

日本でも公正な入試や採用をしていれば、優秀な女性がもっと活躍しているはずなのだ。結婚・出産したら働き続けることができない仕組みを作っているのは社会なのだ。

 

ここは長くなりそうなので一旦終わりにしますね。それからコメントは少ししか取り上げられなかったこと、どうかお許しください。

みなさん、いつもありがとうございます。

また続きます。

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(写真:ピンタレスト画像)

男らしさとは? マッチョ社会を揺さぶる男性用カミソリのCM ジェンダーやセクシズムについて考える-3-

ジレットGillette)のCM

ジレットのカミソリの新しいCMが先週から大きな話題だ。CMといっても商品の宣伝をするわけではない。制作側の意図は明白、MeTooTIME'S UP運動を背景に「男らしさって?」と、一石を投じるミニムービーである。

最近は大統領やその支持者のせいで、過剰な男性優位のイメージ、マッチョ社会の側面が押し出されているアメリカ。そんな中で、ジレットさん、そうきましたか!と感心した。今日は「男らしさ」「マチズモ」について考えてみたいと思う。

ビデオは短いのでぜひご覧ください。“We Believe: The Best Men Can Be | Gillette (Short Film)”

 

前半はこれまでの伝統的な(?)社会が描かれる。セクハラまがいの行為をTV番組で見てゲラゲラ笑う男たち。男児が取っ組み合いのけんかをしてもイジメをしても、止めるどころか、強くタフな男を称賛する風潮のもと公認されている。

いや、そんなのおかしい。昔ながらの「男らしさ」を疑問視する男たちが正しい行いをしようと立ち上がる。何よりもいいのは最後のシーン、そうした振る舞いを小さな子どもたちがちゃんとじっと見ているところ。ここで見ている子どもたちは明日の男性たちなのだ。↓この眼差しで。(ビデオはツイッター内でご覧ください)

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動画は2千万回以上も再生され、熱い支持と賛同を得る一方、CMを見て憤慨しジレットはもう買わないというボイコットも起きているという。メーカー側もそうした反応は予測しており、こうした意見交換を大切にし、両者の声を受け止め、今後も取り組んでいきたいとコメントしている。

しかし否定的な意見のほうが多いということで、それもアメリカらしいなと思う。マッチョな文化はすぐには変わらない。小さいころから常に強さを求められ、富と力を追い求め、競争に晒されてきた。そうした土壌で育った人は自分の生き方を否定される、または攻撃されているような気がするんだろう。逆にマッチョなアメリカで「生きづらさ」を感じながら暮らしている男性だって多いはずだ。揺さぶりをかけてくれたジレットに拍手を送りたい。

すぐさまアイスランド外務省が反応したのもおもしろい。1月15日のツイート。

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なにしろアイスランドは、ジェンダーギャップ指数ランキングで常にトップに君臨する国だ。去年の驚きのニュースは、「2022年までに現在14〜18%の開きがあるアイスランド男女間賃金格差を解消」するため、「従業員の性別、民族、性的指向、国籍を問わず、平等な賃金を支払っていることを雇用主が証明するよう義務付ける」という法案を発表したことだ。凄すぎてため息しかもれない。

 

有害な男らしさ “Toxic Masculinity”

去年フロリダの高校で銃乱射事件が起き、それについての記事を読んで腑に落ちたことがある。「有害な男らしさ」「男らしさの毒」と訳すのかな。定訳があったら教えてほしい。(部分を引用してみると)

一般的に男性は小さいときから親や周囲に「泣くな」「男らしく」と言われ「男は強く、タフであれ」と教えられる。その考え方が根底にあるため、たとえば運動よりも勉強が好きな小学生男子は「女々しい、弱々しい」といじめられ、ハリウッド映画ではマッチョな男優が銃を持って悪を蹴散らし、美人や欲しいものを手に入れる。

従って昔ながらの概念「男らしさ」は、大げさに言えば「男は多少乱暴でも強くなることが重要で、それは社会で許容される」となり得る。この思考こそ大きな間違いで現代の暴力社会を引き起こす根源ではないか、というのがToxic Masculinityの意味するところ・・・(略)

フロリダ州高校銃乱射事件に関連する Toxic Masculinityを表現した広告が話題 | 宣伝会議デジタル版

こうした育ち方をした男性は、不満や行き詰まりを解消するのに、銃などの暴力に訴える傾向が強い。女性は問題にぶつかっても、銃で無差別に攻撃することは稀だ、と記事は続く。

 

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ジェンダーロールを強いる言葉の数々

性差を殊更に強調し相手を貶める言葉、日本語はそうした言葉の宝庫だろう。罵倒語と同じインパクトを持っている。たとえば男性に対して「女々しい」とか「女の腐ったような」とか。本当に失礼だな。

女性に対しては「女らしくない」「女のくせに」「女だてらに」「男まさりの」「色気のない」「男も顔負け」など…。書き出すとキリがないし、腹が立つので止める(笑)。

去年の池内さおりさんのツイート。凄く同感なのでブクマして取っておいたもの。もうおっしゃる通りです。

エマ・ワトソンの発言にも驚いた。そう、頭の悪いふりはやめようね。

私たちはこうして男女ともに何かしら「役割」を刷り込まれて育つ。たぶん小学低学年くらいまでは自由に感情豊かに思っていることをしゃべっているだろう。だが次第に周りが要求する像に合わせていく。

「男らしさ」も「女らしさ」も私は別にかまわないと思う。だけど多様化の時代だけに、多彩な「~らしさ」があってもよく、高圧的な否定や押し付けはイヤだな。つまるところ、ジェンダーからずれるが、思いやりや想像力(相手の側に身を置いてみる)が基本で、時には譲る、または歩み寄る姿勢も大切だと思う。

 

 女の仕事はやりたくない 

10年以上前、ベルギーの移民学校に通っていたときの話を再び…。あそこは50か国以上の出身国の人が寄り集まっているので、毎日が刺激的で学ぶことが多かった。

各学期の終わりに教室内でお茶会をするのだが、持ち寄った食べ物を並べたりジュースを注いだり、ケーキを切り分けたり給湯室へお湯をとりにいったり…とたくさんの仕事がある。なのにコンゴ出身の青年(プロのDJだった)は自分はやらないと言って座っている。「男の仕事じゃないから。自分の国じゃ女がやることだ」と。

女性たちは「何言ってんの?ここはベルギーよ!」と大変な剣幕だ。

ペルー出身の男性が言う。「ぼくの国でも同じだけど、ベルギーに住んでいるんだからここの文化に合わせるべきだ。今どきマッチョってカッコ悪いぞ」

アルジェリア出身の男性も加勢して「ぼくだってベルギーに来てから変わった。君はベルギー人と結婚してるのによくそんなこと言うね」

コンゴ人の彼はそれでも絶対にやらないと言う。先生が「じゃ、そのわけを話してちょうだい」と割って入った。コンゴ青年が言うには、家事など女性の仕事をしたら惨めな気持ち、屈辱的な気分になるのだと。男はどっしり座っているものだと、子どものときからそんな風に育ってきたから…云々。

屈辱的な気分か、なるほどねえ。でも男尊女卑の文化をこのように堂々と説明するところはすごいと思った。少しはわかった気がする。賢い青年だし、それにまだ20代、少しずつ変わっていくだろう。子どもが生まれたら妻と協力してやっていかなければならないし。もしかしたら今頃は、下の二人みたいにカッコいいパパになっているかもしれない。

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https://www.independent.co.uk/life-style/international-mens-day-2018-masculinity-mental-health-prince-harry-daniel-craig-dwayne-johnson-a8641256.html

これは英インデペンデント紙の国際男性デー International Men's Dayの特集である。

左:ザ・ロック(ドウェイン・ダグラス・ジョンソン)と右:007のダニエル・クレイグの育児パパぶりを持ってくるところがすばらしい。ダニエル・クレイグはすれ違っても気づかないレベル。

今日は終わります。

また次回!

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お子さんをセクシストにしないための絵本選び ジェンダーやセクシズムについて考える-2-

ねずみの嫁入り

みなさん、ご存知?

ひとことで言うと「ねずみの婿選び」のお話。ああそれ、子どもの頃読んだわ、という人なら、2017年の東京大学文科の国語第三問(漢文)は、問題を読まなくても全問楽勝だったろう。

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入試後の解答例を見ると

《出典》劉元卿『賢奕編』

と書いてある。こんなの知らないなと思うかもしれないが、ちょっと問題文を読んでみればわかる。なあんだ、「ねずみの嫁入り」みたいな話だと。このタイプの話(累積譚)は、日本や中国だけでなくアジアの国々、そしてヨーロッパにも存在する。だが、今日は東大入試の話題じゃなくて、前回に続き「ジェンダーやセクシズムについて考える」のテーマである。ちょっと簡単に「ねずみの嫁入り」の筋をチェックしておこう。

上の絵本はフランス版で”La plus mignonne des petites souris”『一番きれいな小ネズミの娘』(フラマリオン社、1953年)。1953年だけあってレトロな雰囲気がいい。

( 表紙の左側、日焼けして色が飛んでいる^^)

 

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 (最初のページ。右が娘ネズミ。ダンスも編み物も上手な美しいお嬢さん。 )

年頃の娘にいい婿を、それも最強の婿を見つけてやりたいと願う父ネズミが婿探しの旅に出る。太陽に自分の娘をめとってくれないかと頼むと、太陽は自分をさえぎるの方が強いと言う。のところへ行くと、いやの方が強い。そのは言うのだ。いや、違う。自分がいくら吹き付けてもびくともしないの方が強いと。しかしはこう言う。自分を齧るネズミの方が強い。・・・というわけでネズミのお嬢ちゃんは、そこにいたネズミの若者と結婚するのであった。

フランスでは「」が「」になっていた。

先の漢文(明の時代らしい)では、書店のオーナーが飼い猫の名前を客のツッコミに応じて変えていくというもの。元は虎猫という名前だった。だんだん変わっていって、「猫」→「猫」→そして一番強いネズミ、すなわち「猫」と落ち着く。

 

あなたのお子さんをセクシストにしないための絵本選び

海外在住の方に教えてもらった興味深いリストがある。「あなたの子どもをセクシスト(性差別者)にしないために避けたい絵本(児童書)」というリスト(フランス語)。https://www.senscritique.com/liste/Conditionnement_sexiste_des_le_plus_jeune_age/1273322で、リストの4冊目がこれだった。

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え~、ショックだなあ。絵が可愛くてすっごく気に入っているし、うちの子どもたちも当時ハムスターを飼っていたこともあってこの本が好きだったのに。昔話なんだからそんな目くじら立てることないでしょ、と私は思う。

しかしジェンダーの平等や反セクシズムについて、海外ではかなりまじめに論議されているようだ。だから、いつか素敵な王子が現れて幸せな結婚をするだの、美貌と知恵でカッコいい男を引き寄せる、なんてシチュエーションは今やありえない。つまり昔話や童話、ディズニーアニメの中に登場するヒロインのような類型は忌避され、時に攻撃される。

固定化したジェンダー概念を植え付けないように子どものときから注意して教育すべきだ。仮に、その類のお話を読んだり見たりする場合にも親のフォローが大切だという考えが主流だ。

男女を殊更に分けない、性別による役割分担(家事や職業)を固定しないというのは基本中の基本である。両親が協力し合って家事や学校などの送り迎えをやっている。そうした文化圏から旅行で来日した子どもは、テレビをちょっと見ただけでもビックリするらしい。

いわく 

おうちにはお母さんと子どもしかいない。家事は全部お母さんがやっている。お父さんたちは仕事帰りにいつも居酒屋で呑んでいる。

おっしゃる通り。よく観察しているな、子どもは正直だなと笑うしかなかった。

去年、海外在住のかたが言っていた。外国人の夫がもう「雛祭り」をやめたいと言う。女の子を特別扱いするのはおかしい。ジェンダー平等の視点から「子どもの日」を祝えばじゅうぶんなのではないか。ここは日本ではないんだし。

それまでは雛祭りを祝っていたという。日本の実家から雛人形のセットが送られてきていたからだ。どんな子供に育てたいかは親が話し合って決めることである。そこに、暮らしている社会の考え方、時代の潮流というものが反映される。小学校からジェンダー平等に配慮した教育や取り組みが行われているヨーロッパの国々では当然のことだろう。

一方でそのお宅では、皆で着物を着たり、お雑煮を食べたり、日本語のかるたで遊んだりもするそうだ。片方の親の持つ文化も尊重しつつバランスをとって暮らしているという。

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(写真:ピンタレスト。可愛いね)

 

エンターテイメントを楽しみたいだけ・・・。 

先日、SPYBOYさまが映画『アリー/スター誕生』のレビューを書いていて、楽しみながら読んだ。

spyboy.hatenablog.com

(一部引用させていただきました)

貧しい女の子が王子様のような男と知り合い、歌手や映画スターとして一躍 スターダムにのし上がるが、それとは反対に男は落ちぶれていく。

 今こういう映画が作られることは『女性を取り巻く差別はジュディ・ガーランド、いやバーブラの時代からすら、変わっていないことを告発している(嘆息)』という考え方もある・・・

この映画のことではなく、時々批評の中に「セクシズムを助長する」とか「フェミニズムからの批判」といった文言を見ることがある。主張はよくわかるが、ちょっとイラっとする。そういった視点の欠如を責められているように感じるからだ。

『スター誕生』などはこれで5回目のリメイクだそうだ。それぞれ音楽映画として素直に楽しめばいいじゃないかと思う。私はバーブラ・ストライサンドのファンなんで、映画もバーブラも今でも大好き。A Star Is Born (1976 film) - Wikipedia

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Remembering when 'A Star Is Born' with Barbra Streisand filmed in Arizona

映画のLPレコードも持っている。バーブラパンタロンスーツを着て歌い、すごくカッコよくて、今から見るとよっぽどフェミニズムだったなと思う。時代だな。

レディ・ガガもきっとすばらしいだろう。ストーリーは固定されて変わらないんだから演技や細部、歌が楽しめる。近いうちに必ず見にいこう。

 

王子様との結婚は もはやお伽話ではない。

フェミニズムの行き過ぎはどうも…などとぶつくさ言っているこの私でも、2019年の今現在、この映画のポスターを改めて見るとしばし考えざるをえない。

女性のコスプレが「プレゼントの箱」って!大丈夫なのか、フェミニズム的に?セクシズムの観点からは?

http://img-cdn.jg.jugem.jp/8f8/18457/20090504_661697.jpg

これはたった10年前のオランダのラブコメディ映画Alles is Liefde (film) - Wikipedia。そのあとベルギーがリメイクした。ストーリーは同じで、両国とも人気俳優が勢ぞろいで大ヒットし、私は2008年にオランダの方を見た。

デパート勤めの主人公、庶民の娘(オランダを代表する女優カリス・ファン・ハウテン - Wikipedia『ブラックブック』や『ワルキューレ』など。『ネコのミヌース』は以前マミーさんmamichansanがブログに取り上げていた)は、すてきな王子様が現れるのを夢見ている。そしてホンモノの王子と出会うというストーリー。ちょっとことわっておくと、オランダに限らずヨーロッパの王室は王子が何人もいる。将来王位を継ぐ長男でなければ、けっこう普通の(奔放な)生活を送っている。

え、そんなつまんなそうな映画を見にいったの?とみなさん思うかもしれないが、大ヒットの理由はちゃんとあるのだ。舞台は「シンタクラースの日」シンタクラース - Wikipediaこれはオランダ人とベルギー・フランダース人が一年で最も楽しみにしている、クリスマスよりも大事なビッグイベントの日だ。その一日のあいだに、複数のカップルの愛の物話(同性のカップル含む)が並行して進み、テンポの良い楽しいラブコメディにしあがっているのだ。

まあ、よく考えてみれば現代の欧州王室はすごく開かれているから、王子との結婚はお伽話でもなんでもなくて、現実的な話だった。オランダやベルギーだけでなく、スペインだってイギリスだって王子たちは外国人の普通の市民だった女性と結婚している。

現在のオランダ国王ウィレム=アレクサンダーは、オリンピック会場で知り合ったアルゼンチン人の女性マクシマ・ソレギエタと結婚した。2002年のことだ。

話はそれるが、その頃のオランダ人の質問は今でもよく覚えている。

「今オランダで有名な外国人は二人いるんだけど、誰でしょう?」

私はわからなかったので「外国人?誰だろう?」と降参した。

マクシマシンジ・オノだよ」

ああ、しまった!と思った。二人とも話題の人だから知っているもなにも、私は小野伸二のファンなのに。そうそう、小野は浦和レッズからオランダのフェイエノールトに移って1年目。ボランチに定着して公式戦42試合に出場し、大活躍した。

皇太子ウィレム=アレクサンダーとマクシマさんが結婚したその2002年は、フェイエノールトドルトムントとのUEFAカップ勝戦を3-2で制し優勝した。

この年フェイエノールトの中盤には、ロビン・ファン・ペルシヨン・ダール・トマソンデンマーク。ギアさまsinsintuusinが詳しい)がいて、実に華やかだった。

小野伸二オランダ語もすごく上手だった。あれは才能なんだと思う。また、高校生くらいですでに老成した雰囲気をかもしていて、不思議な人だったなあ。懐かしい。

 

今日はここまでです。

🌸「 ジェンダーやセクシズムについて考える」の-3- に続く。

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