ベルギーの密かな愉しみ

しばらくの間 お休みします。

本関連・書店・図書館

レジリエンスの基礎をつくるもの シリュルニク(+北欧旅行の写真)

前回記事の続きです。初めていらしたかた、前回記事の終わりの方をまずお読みください。精神科医シリュルニク氏が挙げたアルベール少年の話。 みなさま、コメントをありがとうございました。どれも正しいですね。 よんばばさまのコメント 人生のスタート地点…

金子みすゞアメリカデビューと 水着問題・クロアゲハ

〔前回よりニュースの続き〕 こだまでしょうか、いいえ、だれでも。 待ちに待った金子みすゞ詩の英語翻訳と短い生涯を紹介する本が、美しい挿絵入りでアメリカの出版社から出た。 金子みすゞを知らない人でも、2011年の震災後に繰り返し流れたこちらのCMはご…

オランダからの手紙(戦争-3-) 

大切な一通の手紙(写真左)。 2年前の9月にオランダ、ハーグ(便箋右上にDen Haagと見える)から届いた手紙。その前の月、終戦記念日のころに私がオランダの出版社宛てに送った手紙に対する返事で、イギリスの田園風景の絵葉書も同封されていた。 くださった…

秘密諜報員になりたい & 美人には気をつけて

将来の夢 小学生のころ、将来の夢はsecret agent、つまり秘密諜報員。当時は国際スパイと言っていた。私と同世代なら「ああ、そう呼んでいたな」と同意してくれるだろう。産業スパイに対して「国際」なのか、よく知らないけれども。 国際スパイごっこも流行…

赤い亀『レッドタートル ある島の物語』・漫画アイ・図書の貸し出し有料 ほか

今日は気になっていることをいくつか。 1.映画 レッドタートル ある島の物語 2.天皇陛下のご意向 3.公立図書館 貸出有料に? 4.ルイ・ヴィトンの漫画アイ 5.水泳の応援 1.映画『レッドタートル ある島の物語』 以前ジブリが、海外作家のプロデュ…

ネロはルーベンスになれたか?「フランダースの犬」をめぐって

日本人の多くに浸透している物語「フランダースの犬」を取り上げる。しかし、この「国民的アニメ」を同時代にテレビで見ていないので、みなさんと熱い思いを分かち合うことはかなわないのだが、だからこそ客観的に見られるのではないかと思っている。 テレビ…

ハンス・フィッシャー『長ぐつをはいたねこ』・ メルヘンビルダーってなに? 

わがやは Hans Fischer! シャルル・ペロー原作の童話「長ぐつをはいたねこ」には、いろいろな挿絵画家が絵を入れていますが、我が家はこれ。ハンス・フィッシャーのファンです。 右は絵本の扉のページをコピーしたものです。 軽妙なユーモアたっぷりの猫の…

リーネケへの手紙 &アンゲロニア セレニータ

アンネ・フランクの家 部屋のかたづけをしていると、昔、小学生の子供たちを連れていったアムステルダムのアンネ・フランクの家、つまり博物館になっている隠れ家の見取り図が出てきて、しばし思いにふけった。実物はA3サイズである。 隠れ家は、父親が経営…

ルリユール・私の製本(写真ブログより移動)+資料 

オーソドックスなルリユール(製本)です。 ①半革角革装 背と角(仏語:coinコワンと発音)に革を使う方法。 紙は職人の手作りマーブル紙。 本: L'amitié de stéphane mallarmé et de georges rodenbach. (préface de henri mondor. lettres et textes inédi…

「地球の用事」まどみちお(+まどさんと さかたさんの ことばあそび)・『子うさぎましろのお話』佐々木たづ

104歳でなくなった まどみちお (1909 - 2014年)。「ぞうさん」や「やぎさんゆうびん」など、日本人の子供時代と強く結びついている詩人です。 地球の用事 まど みちお ビーズつなぎの 手から おちた 赤い ビーズ 指さきから ひざへ ひざから ざぶとんへ ざ…

マーシャ・ブラウン『三びきのやぎのがらがらどん』&『ちいさなヒッポ』 

三びきのやぎのがらがらどん (ノルウェーの昔話) 絵: マーシャ・ブラウン訳: 瀬田 貞二出版社: 福音館書店 発行日: 1965年07月 「ノルウェーの昔話」となっているのは、ノルウェー人のふたり、アスビョルンセン(Peter Christen Asbjoernsen, 1812-188…

移民学校の日々 -1-

ブリュッセルの移民学校でオランダ語を習ったことがある。今日はその頃のエピソードと私のオランダ語学習について書いてみたいと思う。 またなぜ移民のコースか 夫の仕事の関係でブリュッセルに住むことになり、1年間の滞在許可証をもらった。これによりブリ…

園芸家に背中はいらない!・チェコ好きの人はみんな持ってるダーシェンカ (チャペックの世界)

きれいなお庭だなあ とよそのお宅を眺めていると、人がにゅっと急に立ち上がって、びっくりすることがある。しゃがんでいたんだね。そして腰をいたわる仕草をする。わかる、わかる。ちょっと微笑んでしまう光景だ。それで思い出した本を紹介する。 楽しい園…

酒井駒子『ゆきがやんだら』『きつねのかみさま』

『ゆきがやんだら』 酒井さんはどれもすばらしいのですが、今回はこちら。 (学研) とても有名なのでなにも解説はいりませんね。 もしまだお読みでなく、お子さんと一緒に、というかたのために内容には触れないでおきましょう。 ただひとつ、外出の服装、び…

カフカと踏切と世界の青春 

( *別ブログの記事を移しています) カフカ (図書館に行く道で) カフカ 変身(かわりみ) www.shueisha.co.jp カフカを集英社文庫「ポケットマスターピース」多和田さん訳で読み直している。 若いときには全く気づきもしなかったサラリーマンの本音。 (…

アメリカの絵本:『うさぎさん てつだって ほしいの』『ちびくろ・さんぼ』

うさぎさんてつだってほしいの (1974/11/5)シャーロット・ゾロトウ (著), モーリス・センダック (イラスト) モーリス・センダックといえば、すぐに『かいじゅうたちのいるところ』があがるかもしれません。 1962年発行の『うさぎさん~』では、センダック…

出久根育の「あめふらし」(グリム童話)+スロヴァキアが生んだ色彩の魔術師 ドゥシャン・カーライ

*絵本ブログ「子どもの領分」から移動 一度見たら絶対に忘れられない絵。ことばにならない強烈な印象を残します。しかもグリム童話? えっ、あめふらし? 絵を描いているのは 出久根育(でくねいく)さんというプラハ在住の女性のかた。 この本がパロル舎か…

日本の絵本:『わたしのワンピース』&『かさ』(太田大八)&『ぐりとぐら』追記:ソール・ライター 

娘が大好きで大好きでいつも抱えていた本です。 思い出深く懐かしさのあまり、ちょっと取り上げてみます。 わたしのワンピース 作: 西巻 茅子出版社: こぐま社 発行日: 1969年12月 まっしろなきれ ふわふわって そらから おちてきた で始まります。 わく…

あの頃シルビア・クリステルと…ヒューホー・クラウス編 続き

写真:シルビア・クリステル自伝 2月の記事「あの頃 ヨーコ・オノと…」の続きになります。 Hugo Claus (1929 – 2008) ヒューホー・クラウスについて語るのは私には荷が大きすぎるが、できるだけ簡潔にやってみる。 この人はものすごく早熟だった。19歳で”De …

イギリスの絵本:さあみんなついておいで!Goat's Trail& はるなつあきふゆ SEASONS

おおらかな すがすがしさが残ります。 さあ みんな ついておいで! Goat's Trail ブライアン・ワイルドスミスのすっごく楽しい穴あき絵本です。 日本語版のタイトルは、原題Goat's Trailとは違いますが、中身をうまく言い当てています。やぎが山からふもとの…

あの頃 ヨーコ・オノと…

Yoko at the Baltic 「あの頃ペニー・レインと」(原題Almost Famous)というアメリカ映画があって、今日のタイトルはそれをもじっている。ちなみに当ブログのタイトル「ベルギーの密かな愉しみ」だってお気づきだと思うけど「ブルジョワジーの秘かな愉しみ…

ドイツの絵本:『大好き!ヒゲ父さん』Vater und Sohn &『もじゃもじゃペーター』Der Struwwelpeter 

大好き!ヒゲ父さん―いたずらっ子に乾杯! Vater und Sohn Erich Ohser alias e.o.plauen (1903–1944). 著者はプラウエン。本名はErich Ohserという。 主人公はこの二人、お父さんと子供。 笑ったりしんみりしたり、今読んでも古びていないので驚いてしまう。 …

月のはなし:『つきのぼうや』デンマーク・『月にノーと言ったキツネ』フランス 

つきのぼうや Drengen i månen なんと 縦35cm × 横13cm の本!! 作・絵: イブ・スパング・オルセン Ib Spang Olsen 訳: やまのうち きよこ出版社: 福音館書店 発行日: 1975年10月 こんな細長い本は目立ちますね。図書館でも「あれ、なんだろ」…

ハンガリーとチェコの本:『ラチとらいおん』Laci és az oroszlán・『りんごのき』O jabloňce (+もぐらくん)

ラチとらいおん 文・絵: マレーク・ベロニカ訳: 徳永 康元出版社: 福音館書店 発行日: 1965年07月 ハンガリーの絵本は、これしか知りません。だけど世界的に有名で、古典といってもいいでしょう。翻訳者もかの有名な徳永 康元(1912- 2003。このファミリ…

グリム童話『おおかみと七ひきのこやぎ』 民話『一番きれいな小ネズミの娘』

みなさん ご存じ おおかみと七ひきのこやぎ DER WOLF UND SIEBEN GEISSLEIN(Felix Hoffmann) 作: グリム童話絵: フェリクス・ホフマン訳: 瀬田 貞二出版社: 福音館書店 発行日: 1967年4月1日 どの挿絵画家のバージョンで読むかによって印象も違ってく…

ライナー・チムニクの世界(ドイツの絵本詩人)『クレーン男 』『熊とにんげん』

わたしはクレーンが大好き。 ブリュッセルに住んでいたころ、窓からクレーンたちを眺めて暮らし、それはごく普通の日常風景だったのである。 毎朝、クレーンを操縦する人がやってきて、のぼっていく。昼にランチでいったん下に降りるが、そのあと日が暮れる…

北極飛行に必須なサバイバルキット KLMアムステルダム羽田間の初フライト追記:2019年日蘭南廻り定期航空路開通

*別ブログの日記を保存しています。 飛行ルート ありがたいもので、2016年の今、ヨーロッパは近い。去年、成田からベルギーへの直行便が飛び、これまでのようにオランダやドイツやフランスで乗り換える必要もなくなった。ANAのスターウォーズ絵柄の飛行機に…

『わにくん』 Krokodil, Krokodil &『葉っぱのきもち』Alle meine Blätter(東京ミッドタウン)

恐ろしくも美しい本。 ビネッテ・シュレーダー! 作: ペーター・ニクル Peter Nickl絵: ビネッテ・シュレーダー Binette Schroeder訳: 矢川 澄子出版社: 偕成社 おしゃれで気品あるシュールさに満ちた、そしてあちこちに目くばせとアイロニーがいっぱい…

『3びきのくま』The Three Bears(トルストイ再話)&『てぶくろ 』 The Mitten

3びきのくま 作: L・N・トルストイ絵: バスネツォフ訳: 小笠原 豊樹出版社: 福音館書店 発行日: 1962年05月 森の中のお家に3匹のくまが暮らしていました。 おとうさんぐまは体が大きくて、名前はミハイル・イワノビッチ、おかあさんぐまは中くらいの体…

アメリカの絵本:『もりのなか』『わたしとあそんで』『スイミー』&不思議な売り家の話

もりのなか 作・絵: マリー・ホール・エッツ 訳: まさき るりこ出版社: 福音館書店 発行日: 1963年12月20日 マリー・ホール・エッツ (Marie Hall Ets)は 1895年アメリカ ウィスコンシン州生まれ。動物と親しんだ幼少時代が、のちの作品に大きな影響を…