MAS がっかりの博物館
なぜかとまず理由を述べる。旧民俗学博物館(2008年閉館。下に詳しい説明があります)の所蔵品がこちらにあるというので、わざわざやってきたのである。ところが浮世絵10数点以外には他の展示はなく、どうやらお蔵入りになっているようだ。宝の持ち腐れってやつ!(←かなり怒っています)
というわけで失望感をいだきつつ、お金も払い、せっかく来たのだから3階から8階までの展示はいちおう見ることに。印象に残ったものを一つだけ紹介する。
メキシコ、マヤ文明の作品。「男の像」とだけある。
すごくリアルで、まわしをつけたお相撲さんに似ていてびっくりした。ほかにもコレクターが集めた、めくるめく貴重な品々がたくさんあった。
ランドマーク
この今やランドマーク的存在のMASは町が一望できる展望台が魅力で、それだけを目当てにひっきりなしに人々がやってくる。(無料なんです!)
階段状のおもしろいデザイン。
流線の美しいラインが特徴的。
左:カテドラルと聖パウリュス教会(手前)
その奥の白いトゲトゲの建物:裁判所
先日訪れたシントアナトンネルを抜けていった「川向う」が見える。
地平線ほぼ中央、煙をはいているのが原発Doel(ドゥール村)
ボートハーバー
下に降りるとボートがギッシリ。所有者はどれが自分のかわかるんだよね。日本の国旗をたてているのもあった。
フリッツ・マイヤー・ファン・デン・ベルフ氏の邸宅がユニークな美術館に。
Mayer van den Bergh 美術館
Fritz Mayer van den Bergh, 1901, Museum Mayer van den Bergh © Musea stad Antwerpen
こちらフリッツ氏は大変な美術品蒐集家だった貴族。彼の邸宅が、個人コレクションを展示する博物館になっており、彼の死後は母親が管理した。母親のコレクションも膨大で、特に中国の陶器などに圧倒されるが、常時、全部を展示してあるわけではない。
様々な蒐集品のなかで14世紀から16世紀にかけてのネーデルランドの絵画が目を引く。あるとき自分の国の芸術の豊かさに目覚めたフリッツ氏は、ヨーロッパ中から絵画や彫像などを買い集めたらしい。他に写本、ステンドグラス、タペストリーなど豪華な品々を収蔵している。
最も有名なのはピーテル・ブリューゲル(父)の『悪女フリート』だろう。他にもクエンティン・マサイス、ヨース・ファン・クレーフェ、コルネリス・ド・フォス、ヤン・ブリューゲル(子)、ヤン・ホッサールト、ピーテル・アールツェンなど大変に豪華。
『悪女フリート』Dulle Griet ピーテル・ブリューゲル(1525年 - 1569年)
https://upload.wikimedia.org/wikipedia/commons/thumb/f/f6/Mad_meg.jpg/800px-Mad_meg.jpg
中央に鉄の兜、剣、甲冑の女。手にはどうやら盗んできたばかりの、鍋や家事の道具一切合切を抱え、大股にズンズン、何も怖くないよという風情で進んでいく、最強の女。巨人フリート。フリートはマルグリット、マーガレット、メグ等と同じ。
左にあんぐり口を開けているのは、どうやら地獄ということらしい。ほかにも変な人や生き物がいっぱいですべてに意味があるのだろうが、フリートに比べたら怖さは劣る。
追記:2017年 現在修復中。2019年にブリューゲル没後450周年を記念してお目見えするようです。
」
Dulle Griet vertrokken voor restauratie | Museum Mayer van den Bergh
里帰りしたブリューゲル作品『キリストと姦通の女』グリザイユ。
ロンドンの美術館から3年間借りているのが見られる。1565年の作。
グリザイユのグリ(gris)は灰色という意味、モノクロームで描かれた絵画のこと。新約聖書「ヨハネによる福音書 7章53節?8章11節」の「キリストと姦婦」がモチーフである。
イエスを試すために、律法学者たちやファリサイ派の人々が、姦通の現場で捕らえられた女を連れて来た。律法では石打ちの死刑に値する。イエスは「あなたたちの中で罪を犯したことのない者が、まず、この女に石を投げなさい。」と言った。これを聞いて誰も女に石を投げることができず、引き下がった。また、イエスも女の罪を許した。(ウィキペディア)
ブリューゲルの絵では、キリストが文字を書いている場面がとられている。
学芸員の女性がブリューゲルの里帰りについて話している(ビデオ)。
展示スペースはどの部屋もすばらしい。
クエンティン・マサイス( Quentin Massys) 1520年ころのキリスト架刑。
マグダラのマリアがドラマチック。
ステンドグラスのコレクション、美しくてうっとりする。
個人的には「ルーベンス美術館」よりずっとおもしろく、内容も濃かったと思う。
詳しくはこちらのサイトへ。
Topstukken | Museum Mayer van den Bergh
*資料
民俗博物館最後の日 2007年8月19日。懐かしいなあ。
パンフレット。左 顔が隠れているのがマックス・エルスカンプ。
Antwerpen viert één eeuw Volkskundemuseum | Indymedia.be
Antwerpen viert één eeuw Volkskundemuseum
John Moussiaux20 augustus 2007 – 02:33
Op 18 augustus 1907 ging het Antwerpse Volkskundmuseum open voor het publiek. Het sloot definitief zijn deuren in de Gildekamersstraat deze zondag. Afspraak in het MAS in het voorjaar van 2010.