ベルギーの密かな愉しみ

しばらくの間 お休みします。

イギリスの絵本:さあみんなついておいで!Goat's Trail& はるなつあきふゆ SEASONS

おおらかな すがすがしさが残ります。

さあ みんな ついておいで! Goat's Trail 

ブライアン・ワイルドスミスのすっごく楽しい穴あき絵本です。

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日本語版のタイトルは、原題Goat's Trailとは違いますが、中身をうまく言い当てています。やぎが山からふもとの町へ降りていく途中、だんだんに仲間を増やしていく話ですから。

 著者ブライアン・ワイルドスミスはイギリスの絵本画家で、 代表作は『マザーグース』。とても有名だと思います。

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 「色彩の魔術師」と呼ばれています。穴あき絵本の表紙の荷車、どうです?あんなに多色の荷車、見たことがありません。水彩やグワッシュパステル、コラージュなど、様々な技法を駆使します。

静岡県に「伊豆高原 ワイルドスミス絵本美術館」もあるくらいで、日本にもファンが多い作家です。この絵本は1986年に太平社から出ました。

穴あき絵本

いっとうのやぎが、ふもとから聞こえてくるすてきな音楽に誘われて山を駆け下ります。

さあ、みんな ぼくについておいで。

途中であった動物をつれて、だんだんと大所帯になっていきます。

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ページの中央に穴があいていて、向こうの風景がチラと見えるしかけになっています。

羊飼いが寝ているのをいいことに5匹の羊がついてきました。

綱でつながれている牛も連れていきます。

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ぶたやろばも仲間になります。

いよいよ音のする所が近づきました。

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 そこはコンサートホールでした。

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動物が中に駆け込むと大騒ぎです。音楽隊の隊長に怒られて追い払われます。

そのあと、こどもたちのいる教室を邪魔します。

そのとき家畜の動物の飼い主も追いついてきました。 

さあ、みんな ぼくについておいで。

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やぎは山に帰っていきましたとさ。

・・・とまあ、たったそれだけの話なんですが、色を楽しみ、細部を楽しみ、穴から向こうをのぞいたりして、何度も何度も楽しめます。

 

次は

はる なつ あき ふゆ SEASONS John Burningham

ほるぷ出版1985年の本です。 

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https://s-media-cache-ak0.pinimg.com/236x/fe/3b/5d/fe3b5d8fcc383a28788557a1d23caa3e.jpg原書

さっきの本は穴があいていましたが、この本にも仕掛けがあるのですよ。

はる なつ あき ふゆ

四季の美しさ、自然の恵みやきびしさを教えてくれます。

はるに なったら

ほら すを つくる とり

どろんこで あそぶ ぶた

とびはねる ひつじ

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このように始まります。イギリスで1969年に出た絵本ですから、日本のしかも都会に住む子どもたちには馴染みのない風景が広がります。でも絵の迫力に引き込まれていきます。こんもりした山に羊がいっぱい。おもしろい造形ですね。

そこにきていきなり

なんと

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右ページが折りたたまれていて、ポスター状に広がるんです。

バーニンガムのおおらかな自然の中に入りこみます。 

なつに なったら / きいろく みのる むぎ

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みんなの なつやすみ / とんでくる たくさんの むし

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やはりここでも夏のポスターがおでましです。(うまく写真に撮れないのが残念です)

あき ふゆ と季節は進みます。

こおりと ゆき / そのあと ふりつづく あめ

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一面の雪景色。

寒そうです。偉大で厳しい自然です。

でもこれで終わりじゃないんです。 

でも ほら すぐに

やさしい はるが……

小鳥のヒナたちが口をあけている絵が描かれています。ぜひ一度手に取ってご覧ください。どの絵も発想が独特で自由で、誰にも真似できない世界です。

虫と戦う夏のお父さんがユーモラスで好きです。

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その前の絵、家族でのんびり夏の日を楽しんでいるところもいい。

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家族っていいな。自然は素晴らしい。そして人間賛歌ですね。 

ジョン・バーニンガム

1936年イギリスのサリー州に生まれる。若いころは、兵役を拒否し、さまざまな仕事をしながら世界中をまわった。その後、ロンドンにある美術学校に通いながらイラストの勉強をし、ポスターなどを描いていたが、はじめて手がけた絵本『ボルカはねなしガチョウのぼうけん』でケイト・グリーナウェイ賞を受賞、絵本作家として鮮烈にデビューした。その後『ガンピーさんのふなあそび』で再度受賞し、この賞を2度受賞したはじめてのイラストレーターとなる。『ガンピーさんのドライブ』『おじいちゃん』『ねんころりん』『旅するベッド』『エドワルド せかいでいちばんおぞましいおとこのこ』など多数の作品を発表しており、いま、世界で最も注目されている絵本作家のひとり。夫人は著名な絵本作家であるヘレン・オクセンバリー。

(著者詳細情報)ジョン・バーニンガム(じょんばーにんがむ) | 絵本ナビ | 作品一覧・プロフィール

 

他の作品は読んだことがないのですが、谷川俊太郎さんが何冊も訳しています。

今度図書館でのぞいてみよう。

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Children's author John Burningham at home in north London. Photo: Maria Spann

http://www.telegraph.co.uk/lifestyle/10160052/Inside-John-Burninghams-world.html

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仕事場の写真です。(ピンタレスト画像)

 いいお写真!

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john burningham & helen oxenbury