ベルギーの密かな愉しみ

しばらくの間 お休みします。

マーシャ・ブラウン『三びきのやぎのがらがらどん』&『ちいさなヒッポ』 

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三びきのやぎのがらがらどん  (ノルウェーの昔話)

絵: マーシャ・ブラウン
訳: 瀬田 貞二
出版社: 福音館書店

発行日: 1965年07月

ノルウェーの昔話」となっているのは、ノルウェー人のふたり、アスビョルンセン(Peter Christen Asbjoernsen, 1812-1885)とモオ(Joergen Moe, 1813-1882)が採集した北欧民話。

いろいろな挿絵があるのかもしれないが、多くの人がなじんでいるのはマーシャ・ブラウン挿絵の絵本だと思う。押さえた落ち着いた色使いであるが、ものすごい迫力。子供たちは目が離せないし、口もきけず、話に吸い込まれていきました。

マーシャ・ブラウンはいろいろな画風があって、同じ人とは思えない。

三びきのやぎのがらがらどん、お話は単純で、三(さん)がキーワード。

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三匹とも同じなまえ。「がらがら」というのはしゃがれた声のことを表している。

「どん」は「さん」や「君」にあたる呼び方である。

がらがらどん三匹は、体の大きさは違って、絵の通り。

山の草場にいきたいのだが、途中、谷川にかかる橋があって、橋の下には大きなが住んでいる。北欧ではトロル、またはトロールと呼んでいる。

ぐりぐりめだまは さらのよう、つきでた はなは ひかきぼうのようでした。

はじめに小さいやぎが渡る。

「すこし まてば、二ばんめやぎの がらがらどんが やってきます。ぼくより ずっと おおきいですよ」

二ばんめやぎの がらがらどんが来る。

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あとから大きいやぎのがらがらどんがやってくることを告げる。

そしてがたん ごとん がたん ごとんと橋を鳴らしながらやってきて

「おれだ!おおきいやぎの がらがらどんだ!

と、やぎは いいました。それは ひどく しゃがれた がらがらごえでした。

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 トロルに飛びかかると、木っ端みじんにして谷底へつきおとした。

それから山へ登っていった。

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これで話はおわりです。

チョキン、パチン、ストン(英語:Snip, snap, snout. This tale's told out.)

これが話の終わりの合図で、子供たちはいつもの日常へと戻れる。日本でも結句として「とっぴんぱらりのぷう」などがある。

こちらが大変詳しく勉強になりました。

detail.chiebukuro.yahoo.co.jp

ほかにもこんな挿絵の本があります。この挿絵も味があっていいですねえ。

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The Three Billy Goats Gruff (Paul Galdone Classics) (英語) – 1981年
Paul Galdone (著)

* 個人メモThree Billy Goats Gruff

 

『ちいさなヒッポ』世界で一番美しいカバ

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ちいさなヒッポ

作・絵: マーシャ・ブラウン
訳: 内田 莉莎子
出版社: 偕成社

発行日: 1984

本を開くとね、

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いきなりピンクの背景に、鶴とカバでしょ。

もうびっくりして次のページをめくると、またすごい!

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額に収めて部屋に飾りたいわ、と思ってしまう。暖簾にしてもいいねえ、日本家屋の玄関を飾るにぴったりだと思う。てぬぐいはどう?テーブルクロスでもいい。(←妄想がふくらむ)

30ページ以上ある絵本で、どの挿絵の版画もすばらしい。

シマウマや水牛、ワニも描かれている。子供カバはワニに食べられそうになるが、危機一髪、おかあさんワニが子供の声を聞きつけて助けにやってくる。

すごい迫力!

 

著者

 ブラウン,マーシャMarcia Brown( 1918年7月13日 - 2015年4月28日)
1918年ニューヨーク州ロチェスターに生まれる。師範学校を出て、三年ほど教師として働いたが、絵本の仕事をしたいという望みが捨てきれず、ニューヨーク公共図書館で子どもの本についての経験をつみ、また国吉康雄などについて絵を勉強した。最初につくった絵本は「小さな回転木馬」で、その後「三びきのやぎのがらがらどん」(福音館)など多くの想像力ゆたかな絵本をつくっている。アメリカの最優秀絵本賞「コールデコット賞」を三度(「シンデレラ」「むかし、ねずみが…」「影ぼっこ」)も受けた第一流の絵本作家である 

1994年には来日したそうです。

f:id:cenecio:20160725180616p:plain1969年の作品

Images from the Marcia Brown Collection

 

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Marcia J. Brown '40 Biography

おもしろいですね、国吉康雄(1889年9月1日 - 1953年5月14日)について絵を習っていたって・・・。

ほかにもいろいろな本の挿絵を描いています。

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一度見たら忘れられない白鳥!

 

🌸アメリカの本物のカバ(オランダの新聞より)

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ロサンゼルスの動物園。口を開けて冷たい水をキャッチするカバ。写真ロイター。