ベルギーの密かな愉しみ

しばらくの間 お休みします。

オバマ氏は面接にも呼ばれないかもしれない  Islamophobia テロ関連-3-

オバマ氏は面接にも呼ばれないかもしれない

センセーショナルなタイトルだが、正確には次の条件節を頭につけてほしい。

もしもオバマ氏がフランスに住んでいて、就職活動中の25歳の青年だったら

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地下鉄シテ駅2016年3月)

就活はまず履歴書を送ることから始まる。みなさんは何通、何十通くらい用意しただろうか。そして何社目で決まっただろうか。複数社に合格し、決めかねて困ったりも…?

オバマ大統領、私は大ファンなんだが、しかし残念ではあるけれど、仮に25歳のオバマ氏がフランスで就活をしたら困難が待ち構えていただろう。

オバマ氏の名前は Barack Hussein Obama IIという。彼自身はキリスト教徒であるが、父親がイスラム教徒だったので、いかにもイスラム教徒という名前がついている。これだと名前だけで落とされる可能性は高い。

 

モハメッドはミッシェルに比べ、四分の一のチャンス。

フィガロ紙の記事En France, Mohammed a quatre fois moins de chances d'être recruté que Michelから、モンテーニュ研究所のサイトに行ってみた。

www.institutmontaigne.org

ヴァルフォール(Marie-Anne Valfort)というフランスの経済学者・大学教授が、2013年9月~2014年9月にかけ、大掛かりな実験を行い、その結果をまとめている。6231の会計職の求人に対し、6人の架空の、つまり偽の履歴書を送る。

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ただし6人の生育・教育環境は同じにした。すなわち

苗字は全員がHaddad

年齢25歳(1988年生まれ)

出身地ベイルートレバノン

2003年にフランスのリセ(高校)に入学

2008年にフランス国籍を取得

会計の国家資格を持っている。

違っているのは宗教で、もっともわかりやすい名前を用意した。

Michel(男)と Nathalie(女)キリスト教

Dov(男)と Esther(女)ユダヤ教徒

Mohammed (男)とSamira(女)イスラム

下の表は「採用面接に呼ばれるまでに送った履歴書の数」である。

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Michelミッシェル 5通: Mohammedモハメッド 20通

この歴然とした差、4倍である。イスラム教徒女子のSamiraサミラは、6通目で面接の通知をもらっているというのに。

この調査はもっと細かい、おもしろい項目もあるのだが、そこは省略させてもらう。

ともあれ、就職活動、労働市場において、イスラム教徒の男子はひどい差別を受けていることがわかった。雇う側にステレオタイプな偏見があるのは否めない。イスラム過激派や暴動を起こす若者像をすぐに連想してしまう。雇ったら何か厄介なことを起こすんじゃないか。やつらは信用できないんだ。イスラム教徒はやめておこう、となる。

フランスでは雇用の際の差別を禁止しており、違反すると雇い主に3年以下の懲役、45000ユーロ以下の罰金が科せられることになってはいるのだが…。

ベルギーやドイツやほかの国でも同様に、イスラム教徒への差別や偏見は昔から根強くある。報道などで「イスラム恐怖症」/イスラモフォビア(Islamophobia)と呼ばれているが、私はできるだけ言葉自体を使わないように気をつけている。

さきのフランスの調査は2013-14年の話だから、パリ(2015)やブリュッセル(2016年3月)のテロの前である。今現在、再度実施してみたらどんな結果になるだろうか。

 

「おれはアラブ人が大嫌いなんだ」

就職してみれば職場でもハラスメントが待っている。ムスタファは上司からの、聞くに堪えない暴言や嫌がらせに日々耐えていたが、ついに行動を起こした。まずケータイ電話で録音。次に隠しカメラが入り、一部始終を撮影。フランスのテレビ番組で公開されて実態が衆目の目にさらされた。180万人の視聴者が番組を見たという。

tvmag.lefigaro.fr

再び調査にもどる。

するとイスラム家庭出身の男子は、いくら勉学に励み、まじめに職業訓練を受けても、自分では変えることのできない属性のため、不利であり続けるのか。

ヴァルフォールは「アファーマティブ・アクション」(affirmative action)を提案している。日本では「積極的格差是正措置」と訳される。

アファーマティブ・アクション(英: affirmative action)とは、弱者集団の不利な現状を、歴史的経緯や社会環境に鑑みた上で是正するための改善措置のこと。この場合の是正措置とは、民族や人種や出自による差別と貧困に悩む被差別集団の進学や就職や職場における昇進においての特別な採用枠の設置や試験点数の割り増しなどの直接の優遇措置を指す。

ウィキペディア

よく聞くのは、アメリカで黒人に対する優遇措置やインドのカーストへの優先割り当て、マレーシアでのマレー人優遇や登用義務など。日本でも女性や障碍者の就労、同和行政などがこれにあてはまる。

差別もチャンスの格差も、どこの社会でも永遠のテーマですね。

この問題はいったん終わりです。

 

パリのお店紹介

肉屋と八百屋が、こんな中心にいまだ残っているのが嬉しく、しっかり写真に収めてきた。めくるめく観光スポットのど真ん中!

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パリ6区の肉屋 Boucherie Le Foll

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ここにあるお惣菜を片っ端から食べてみたい。ローストチキンのいい香りをずっと嗅いでいたい。ああ、むしろこの店の上に住みたいよ!

そして美しい八百屋さん。

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二つの店は向かい合っている。Googleから切り取った写真が下。 

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6区を離れ、昔住んでいた地域14区へ。

懐かしいスーパーマーケットに入ってみた。我が家の向かいにあり、毎週子供たちと買い物をしたものだ。写真はチーズコーナーしか撮らなかった。

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手前もチーズ売り場なのでかなりの面積だ。試食もできる。

自分の好みを言って、アドバイスに従い、ワインと合わせて買うのがいいと思う。種類が多すぎて自分で選ぶのはなかなか難しい。

 

 入谷(いりや)朝顔まつりに行ってきた

毎年7月の6・7・8日の3日間。入谷鬼子母神を中心として、言問通りに60軒の朝顔業者と80軒の露店(縁日)が並び、毎年40万人の人出で賑わう。

 

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今年のポスターと私が買った朝顔です。