ベルギーの密かな愉しみ

しばらくの間 お休みします。

安すぎる外食と最低賃金を心配される日本&ソウルフードの話 追記: 笑顔の接客、帰宅して深酒の危険!

いっぺん書こうと思っていたテーマ。

一か月以上も前にアンさんにことわりを入れてあったのに、今日やっと…。(お写真貼る許可もいただいています)

anneneville.hatenablog.com

(一部引用)

小諸そばの天丼満腹セット¥640

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フランス バーガーキングのベーコンポテトとカプチーノのセット

6ユーロ✖︎130円=780円

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安くておいしい日本サイコー

「日本は食べ物がおいしくてしかも安い。都市交通や新幹線の料金は高いけれどあとは安いわね」ということばを初めて聞いたのは、2000年に入ってからだ。パリ近郊に住んでいる日本人が「我が家のまわりのフランス人、職場の親しいフランス人はほぼ全員日本へ行ったのよ。凄いと思わない?昔は日本旅行なんて高すぎてありえない夢のような話と言ってた人たちが!」とメールに書いてきたのだ。

その後(2008年)お宅にお邪魔したとき、たまたま立ち寄ったフランス人が「ぼくたちはこれまでに2回も行きました。また訪ねるつもり。今度は小さな島へ行きます」と満面の笑みを浮かべて言っていた。

確かに今や飛行機も格安航空会社があり、大手の会社だって様々なプランを用意している。宿泊施設も、パリやアムステルダム、ブリュージュ(統計によればベルギーで最もホテルが高いとされる古都)などと比べれば、選択の幅が非常に広い。若者の一人旅なら東京のわが家の近くでもドミトリー形式の宿が幾つもあり、清潔で宿の人も親切で、3千円くらいから泊まれるのでいつも賑わっている。日本は安い休暇先なのだと思う。

われわれ日本人も普段安い食の恩恵にあずかっている。東京に限らせてもらうが、特にランチは選択肢も多すぎて迷うほどあるし、値段もまるで競うかのように安く抑えられている。それに慣れているとヨーロッパ旅行で、え?この内容でこの値段?と驚くことになる。昼に「軽く温かいものを一品」というのがなかなか難しい。

 

おかしいのは日本のほう

「…それはきっと適正価格なのでしょうね」とアンさん。さきほどのバーガーキングのベーコンポテトとカプチーノのセットの値段だ。人件費のことにも触れている。

フランスと日本の値段の違いは最低賃金なのだ。フランスやベルギーでは時給が約1300円。バーガーキングで働いている人たちは笑顔なしでも(*追記この最低賃金が保証されている。

いっぽう日本は、以前「最低賃金の平均水準が最低生存水準および生活保護水準を下回っていること、並びに生活費が増加していることに懸念」(国連 社会権規約委員会の見解 2013年5月17日。「最低賃金1500円」求め若者がデモ、日本の最賃は先進主要国の半分程度、「最低生存水準を下回っている」と国連も指摘 | editor

「最低生存水準を下回る」と、社会権規約委員会から憂慮をいただいていた。「…ていた」ではなく、今でも変わっていない日本。最新のはこちらReal minimum wages

いいものを安く、なんて絶対おかしい。労働者の疲弊と搾取のうえに成り立っている外食(の安さ)はゆゆしいと思う。いいものは適正な値段で、が当たり前。しかも日本では多くの場合笑顔がタダでついてくる。接客態度やちょっとした心配りのことは、よく外国人との会話で話題にあがるので付け加えた(笑)。

まずは時給を上げるべき。過酷な業務形態も見直そう。それから飲食業やコンビニなど(少なくとも東京で見る限りでは)外国人の労働者なしでは一歩も立ち行かない状況も忘れてはならない。東日本大震災のあと、学生バイトの中国人がいっせいに国に引き上げた時のこと、今でも鮮明に覚えている。

 

ベルギー人がうどんに感動した話

2年前に、50代のベルギー女性が二人で10日間の旅行にやってきた。成田到着、帰りは大阪発で、飛行機代が往復約13万円と言っていた。

ときどき食べたものをスマホで撮って送ってきたのだが、やはりクオリティと安さに驚いていた。ある日のお昼ごはん。

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「すごいでしょ、これでたったの500円だよ~!信じられない‼」

うんうん、信じるね。フツーだもの。あとで日本の一般的な時給を教えてあげたら唖然として「それじゃ生活していけないんじゃないの?」とひどく心配してくれた。

ところでラーメンはだいぶ前から海外でも人気で、パリやブリュッセルの店の前には開店20~30分前には列ができているのをよく目にした。うどん店は今こそパリなどにあるけれど、ベルギーにはなかった。初体験のうどんがことのほか気に入った友人。天ぷらなんかどれもおいしそうで全部試してみたかったよと言っていた。毎日うどんとすしをかわりばんこに食していたようだ。次は香川県に行くしかないね。

先日Twitterのタイムラインに流れてきたこちら。

https://pbs.twimg.com/media/D1_BgOAUcAAt43B?format=jpg&name=small

こんな天ぷらを見たのは初めてだ。いやあ知らないことは多い。それとも私だけかも?

さっそく香川県在住のとにほ (id:toniho)さんに問い合わせたら、とにほさんのご主人にコメントをいただき(ありがとうございます💦) 喰回 (くうかい)を紹介してくださった。料理写真 : 喰回 (くうかい) - みの/うどん [食べログ]

うどんと天ぷら好きのベルギー人の友人、これを見たらどんな顔をするだろう。また興奮して写真をあちこちにばらまくんだろうなあ。

海外から旅行に来た人で、たこ焼き・お好み焼きなどの粉もののファンになって帰る人もけっこういる。たこ焼きパーティを自宅でやるというから、器具はどうするんだろうと思ったら、代替できるものがあったのだ。

http://thefoodpornographer.com/wp-content/uploads/2010/01/4198945951.jpg

Poffertjes (dutch mini pancakes) test run | The Food Pornographer

オランダのミニパンケーキ焼き器。丸い小さなパンケーキのことはオランダ語でPoffertjeという。

 

オランダ発おしゃれなフリット屋 

話変わり、ベルギー人のソウルフード”フリット”のことを少し

フライドポテトのこと?と思ったそこのあなた、それは少し違います。説明させてください。

ベルギーのフリットとは、単なるイモを揚げたものではない。長さや太さなど基準があって、二度揚げが必要で、よく油をきったあと、外はカリカリ、中はホクホクになっていなければならない。ベルギー人のフリット愛は、フリット用に改良したジャガイモビンチェ種を作りだすにいたり、フリット文化は世界無形文化遺産にもなっている。

そもそもフレンチフライというわけは、北米大陸に移民したベルギー人がフランス語を話していたからで、あちらではフランス語を話せばフランス人なのである。

ベルギー人の家庭には必ずフライヤーがある。外国に旅行してしばらくフリットを食べないでいると、イモ欠乏症になって機嫌が悪くなる、と聞いたことがある。

ゆるキャラとはいかないが、キャラクターもある。ミスター・ビント、James Bintというのだ。どこかで聞いたって?気のせいだろう。

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フリットは、料理の付け合わせとして必ずつくが、まちなかの屋台も人気がある。毎年、ベルギーの町ごとに人気コンテストも行われる。買ったフリットをそこで食べてもいいし、家や会社に持ち帰るのもよい。区画整理などで屋台の立ち退き計画があると、住民は署名を集め、その屋台を守ろうと団結する。

ミック・ジャガーもメルケル首相も立ち食いしたこちらの人気店(屋台)メゾン・アントワーヌhttp://www.maisonantoine.be/では、買ったフリットを近くのカフェに持ち込んで食べてもいいという、地域の取り決めもある。フリット 2,80€(350円くらい)とソース(100円。マヨネーズのほかサムライというピリ辛のものなど、種類が多い)。

ここまでベルギー人のフリット愛について書いてきたが、2年前にオランダのフリット屋が1号店をアントワープに出した。過去記事

ベルギーにオランダ人が殴り込みをかけてきた&フリット屋もアップデートしておしゃれに。 

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(写真はアントワープ店、詳しくは過去記事↑)

チョコレート屋かと見まがうような店構えだ。ベルギーの庶民的なフリットとは違って、高級路線のようだ。

そしてつい最近2号店がブリュッセルにオープンした。https://www.fritesatelier.com/

夫がさっそく食べにいって写真を送ってくれたので貼ろう。

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フリットエビのクリームコロッケ(右)とビール13.50€、約1700円。(1€126円で計算。エビコロッケだけで730円くらい、フリットが500円くらい(ステラアルトワは普通は安い銘柄であるが、ここでは400円強とかなり高い)。

ちょっと考えさせられるお値段だ。1700円あったら東京ではどんな食事ができるかなと考えてみずにはいられない。

さらに夫をがっかりさせたのはジャガイモが皮つきだったこと。これは単なる好みの問題で、皮つきのほうがおいしいよという人もいるだろう。ここのオーナーでシェフのセルジュは、ジャガイモも自分で作っており、研究と試行錯誤を重ねてやっと現在の納得できるイモにたどり着いたのだ。だから自信を持って彼流のフリットを提供している。

まあ、私は次回行ったら小さなパックを持ち帰りで買いたいと思うけど。そのときはまた感想を書きます。

では今日はこの辺で。

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ブリュッセルの春

追記:外国人旅行者、特に若者たちは、食費を安くあげるため、大型スーパーなどのイートインコーナーを利用しているのを見かける。あくまで東京の話である。情報があるのだろうか。

総菜コーナーで買ったすきな食べ物(和・洋・中華などのパック・弁当のほか、寿司やパン、果物など選り取り見取り)を持ち込んで皆でわいわい食べる。飲み物は無料でお茶と水が用意されている。夏は冷房が効いて涼しい。他の季節は公園などで食べている人たちもいる。特に今の桜の季節。

🌸続きになっています。

cenecio.hatenablog.com

 

*追記:4月27日 

 笑顔の接客、帰宅して深酒。うん、わかるわかる。