「小惑星が地球に接近」で ムーミン谷の彗星を思い出した  

フランスの大統領選が大混戦になりそう。

朝早くおきたらBSをつけて”France 2”を見ることにしている。

なんと右と左のポピュリスト対決になるかもしれず、反EUの悪夢が現実味を帯びてきているらしい。メランション氏(左派、社会主義者)はもともと大変な教養人で話がとてもうまく、選挙キャンペーンで波に乗っている。スターウォーズを思わせる心憎い演出が若者たちも惹きつける。

しかしきのう19日は、小惑星2014JO25)が地球に近づくというニュースのほうが大きい扱いだった。

アナウンサーが言う。「ご心配なく。衝突したりしませんから。地球の180万kmのところを飛んでいくだけです。」

直径は650mなのでもし衝突したら、その威力は”ヒロシマ”(普通名詞化していた)の何百万倍で…と言っていたので、私はすぐにあれを思い出した。

(*朝日新聞の記事http://www.asahi.com/articles/ASK4K3V8GK4KUBQU009.html

f:id:cenecio:20161230084225p:plain原書 表紙(トーベの絵)

ムーミン谷の彗星』

ムーミントロール(*以下主人公はムーミンで統一する)のお話はみなさんご存知、フィンランドの作家トーベ・ヤンソン(Tove Marika Jansson1914 - 2001年)のシリーズ作品。私は講談社発行の本で読み、「劇場版 ムーミン谷の彗星 パペット・アニメーション」(2015年)を鑑賞している。(日本のTVアニメは見ていない)。

 

子どもにはちょっと怖いんじゃないかな。なんせムーミン谷に彗星が衝突するというのだから。1949年の作品で、シリーズ第二作目。一作目は『小さなトロールと大きな洪水』(1945年)でこれも災害の話であるから、現在一般の人が持っているムーミンの「楽しくて明るい」イメージとはずいぶんかけ離れていると思う。

映写会パンフによると

戦後間もない1946年に書かれた原作は、トーベの戦争に対する想いが反映され、世界を灰色にしてしまった彗星は、原爆から影響を受けたのではないかと言われている。http://chupki.jpn.org/archives/488

なるほど、トーベの生きた時代を考えても、第一次大戦開戦の年に生まれ、戦争は二回あったし、核戦争の危機も経験した。

このお話で、ムーミンは初めてスナフキンスノークのおじょうさんと出会うのであり、大変重要な作品であるだろう。読み返してみたのだが、大人が今読んでもおもしろい。トーベはストーリーテラーであるだけでなく、ユーモアセンスが抜群で、とりわけスニフの性格とセリフには読みながら声をあげて笑ってしまうほど。

 ヨーロッパの人たちでムーミンを知っている人は、子ども時代に本を読んだ人たちである。日本のアニメは浸透していない。幼年期に母親の読み聞かせによってムーミンと出会ったイギリス人が、新聞にパペットアニメーションムーミン谷の彗星』の映画評を書いて絶賛していたのを思い出す。

http://img.eiga.k-img.com/images/movie/81522/poster2.jpg?1420682650

映画は前評判が高かったから、いずれぜひとも見なくちゃと思っていた。

なぜなら、パペット人形は、トーベ自身が作った発砲スチロールの人形がモデルとなっているというし、トーベの「ムーミン」の世界が忠実に再現されている、とパンフにあったから。またトーベがもっとも愛した「ムーミン」の映像作品だということだ。

期待通り、とっても楽しめた逸品。

パペットの美しく丁寧な作り、色鮮やかで温かみのあるフェルトや様々に工夫された小道具など、よくもここまで世界を再現したものだと感嘆した。

映画はフィンランド製かと思いきや、この作品は1978~82年にポーランドで作られたものだというのだ。ああ、やっぱり!チェコポーランドのアニメーションの伝統だなと納得した。トーベもポーランドにはたびたび足を運んだという。ポーランド民主化運動「連帯」とワレサの時代である。

その後この作品はイギリスとフィンランドでも上映されて人気を博したものの、長く幻の作品であったが、再編集し色などを補正して2010年にカンヌ映画祭で上映された。

http://www.hardrockheavymetal.com/jacketcd/b/bjork01.jpg

びっくりなのが主題歌。アイスランドの歌手ビョークBJORK 1965年生まれ。よく日本人や中国人に似ていると言われるらしい)が担当している。子どものときからずっとトーベ・ヤンソンムーミンの大ファンだったとか。

(下で聞けます。2分程度、パペットアニメーション付)

www.youtube.com

 

加えて声優陣の豪華なこと。この人たち集めて映画製作したら、ものすごいものになる。北欧が誇る俳優ばかりなので。

ナレーションマックス・フォン・シドー(Max von Sydow1929年 -)。マジで!と思いましたよ。ベルイマン作品のほとんどに出ていた名優。伝説のような人。

ムーミンパパとムーミンは、実の親子ステラン・スカルスガルドスウェーデンを代表する俳優)と息子が担当。
スニフマッツ・ミケルセンですよ。『 誰がため』(Flammen & Citronen)でファンになったカッコイイ俳優。(デンマーク人)

スナフキンピーター・ストーメア…etc。 はあ~、凄いのひとこと!

 

しかし私たちが見に行ったのは日本語吹き替え版だったのですよ。DVDを借りてみるしかないかな。

http://moomin-suisei.com/img/introduction_img_3.jpg

簡単なあらすじ

地球に彗星が接近することがわかって、ムーミンはスニフとともに、おさびし山にある天文台に向けて旅をする。天文台にいる学者たちから情報を得ようというわけ。

旅の途中でキャンプをしているスナフキンと出会う。以後一緒に困難な旅をする。やっと天文台にたどりつくと、あと4日後に彗星が地球にぶつかると教えられる。

https://cdn3.cdnme.se/4471825/9-3/kometen3_5535f6822a6b22343cf90440.pngトーベのイラスト

帰路を急ぐがその旅も冒険続き。新たにスノークの兄妹が仲間に加わって、ようやくムーミン谷にもどると、谷の住民は避難の最中。ムーミンたちも洞窟に避難して…。そして(最後まで筋を言いますよ)

彗星が地球に突っ込んできた。ムーミンたちは洞窟の奥深く、隅っこに固まってしっかり抱き合ったまま、彗星の石が雨あられと降り注ぐ音を聞いていた。静かになってから外へ出てみると、地球はちゃんとそこにあったのでほっとする。海の水ももどってきて、ムーミン谷は息を吹き返した。彗星はしっぽで地球をかすっただけだったのだ。

http://moomin-suisei.com/img/staff_img_1.jpg

 

ムーミン谷 の個性豊かな面々は どこから生まれてきたか

前回の記事末に、ロシア人のペットの写真を載せて反響があったが、本当のロシアはもっとすごくて過激である。が、私が責任を持って無難そうなのを選んでいるのだ(笑)。ロシア人は動物とうまくつきあえる人たちだと思う。猫のサーカス団を作れるのもロシアくらいなものだし。

トーベも動物に囲まれて育ったようだ。自然や植物、生き物全般を深く愛する少女で、それは多分に彫刻家の父親の影響を受けている。ヘルシンキ市内の家では、アトリエが大変広かったので、そこでいろいろな生き物と暮らしていた。コウモリ、猿、カナリア、ウサギ、イヌ、羊、猫、リス、カラスなど。父親はよく世話をしてやり、できるだけ自由に生きられるように心を配っていたという。

一方、トーベの姿勢はちょっと違うらしい。友人の少年がカモメを拾い上げて傷口を調べ、助かるかどうか確かめていたとき、トーベはただひたすら「放してやって」と訴え続けた、というエピソード。父親がたくさんの蠅を捕まえると、トーベはその袋を持って遠くまで走っていって、逃がしてやったというエピソード、などどれも大変興味深い。大人になってもトーベは、別荘にやってくる動物や植物と、対等な友達同士のような付き合いをしたという。

ピンタレスト画像から借りています)

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都市伝説

先日、たまうきさまがトムとジェリー都市伝説を書いていらした。私はあまり知らないのだが、このムーミンのだけは前から知っており、今回ネットで調べてみたら複数のブログが見つかった。もっとも簡潔なのを貼り付けておく。こちら、なおすけさんの

ムーミンは「核戦争後の世界」説(短いのでぜひどうぞ!)

http://archive.is/4QcT4#selection-215.0-347.5

 核戦争のあと、カバが放射能の影響で知能を持ち、人間はミイやスナフキンなどわずかしか生き延びられなかった世界…ということでなんとも暗い話である。

都市伝説はだれがいつ作ったのだろう。やはり作品から離れた突飛な話は作らないと思う。『ムーミン谷の彗星』のもとになった原話は『彗星追跡』という話で1946年に書かれた。トーベは、戦争はとりあえず終わったが、原爆の惨状を知って、核戦争の可能性を不安視したのかもしれない。

核戦争どころか、どんな戦争も起きてほしくない。みんなの願いですね。

 みなさんも都市伝説をなにか知っていますか。

 

 

ムーミン ほかの記事

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