先日NHK「ダーウィンが来た」を見ていたら巨大な虫たち、擬態する虫たちを紹介していた。 ご覧になったかた、いらっしゃいますか。
蛾!
30cmくらいもあるというヨナグニサン(Attacus atlas)の迫力にあらためてびっくり!「ヨナグニ」からわかるように与那国島で発見されたからこの名がついたらしい。世界最大の昆虫と言われているらしい。いろいろな植物の葉をむしゃむしゃ食べまくるらしい。なのに寿命はとっても短く、オスで5日、メスで5~9日ということだから、なんだかなあ、という気持ちになる。
美しくて珍しい蛾といえば、ヘッセの短編『少年の日の思い出』を思い出す。中学の多くの教科書に載っているらしく(私の教科書にはなかったが)、日本では知名度抜群の話だということである(1931年発表で、邦訳は高橋健二)。内容を簡単に紹介するとー
蝶集めに夢中な少年がいて、ボール紙で標本箱を作り、蝶を保存して楽しんでいた。あるときコムラサキを捕まえたことが嬉しくて、自慢したくなった。中庭の向こうには先生の息子エーミールが住んでいる。「非の打ちどころがない模範少年」であるエーミールの蒐集は本格的で、破損した翅をにかわで修復する技術まで持っている。そのエーミールはコムラサキを見るや「せいぜい20ペニヒ程度」と言い捨てたので、以後少年は蝶を見せることはなかった。
あるときエーミールがクジャクヤママユを手に入れたことを知った。
どうしても見たくてたまらない少年は、留守の部屋にそっと入りこみ、展翅板の上にあったクジャクヤママユをはずし、持ち帰ろうとする。そこに女中がやってきたため、あわててポケットに押し込む。はっと我にかえり、罪の意識を感じて元の場所に戻そうとするが、蝶はポケットの中でつぶれていた。
母の勧めで謝りにいくことに。エーミールに正直にありのままを話した。弁償として何でもあげようと提案するが、エーミールは軽蔑したようにこう言うだけだった。きみが蝶をどんなふうに扱っているかわかったと。このあと家にもどった少年は、蝶の標本をひとつずつ指で押しつぶし、収集の日々と別れを告げるのである。(終わり)
ところで蝶といっているが、クジャクヤママユは蛾である。ドイツ語ではNachtpfauenauge、直訳するとNacht(夜の)+pfauen(クジャクの)+auge(目)となる。昆虫好きで知られるドイツ文学者・翻訳家の岡田朝雄氏が「クジャクヤママユ」という和名をつけたそうだ。
上のクジャクヤママユの図は、「ヘッセが少年時代に飽かず見ていた19世紀末の銅版画図鑑から採ったそのものである。」詳しくはこちら→(少年の日の思い出 - Wikipedia)
駆除か 観察か
e-chan (id:umanomimini-nendo)さまはここ数日、蛾の幼虫のことを書いている。蛾シマケンモンのぷっくり太った幼虫が2匹、最初はトネリコにいたのに、1匹がオリーブの方に移ってきたらしい。
umanomimini-nendo.hatenablog.com
キャー、大変!普通の女子ならここで駆除に動くはずが、e-chanさまは落ち着いたものである。
ホウキの柄でツンツンすると、素早い動きを見せるシマケンモン
面白い生き物です。
とおおらか。
山田ガーデン (id:y-garden) そこへ山田ガーデンさんが
これだけ葉を食べられても、やさしく見守るe-chan様。神様のよう(*^.^*)
"蛾と蝶に違いはない"という言葉に、胸がチクッといたしました(>_<)
ええ、私もそう思う (*^.^*)
id:yporciniすると今度は、一度見たら絶対に忘れないアイコンのyporciniさまが
シマケンモンの幼虫って、パッと見た時はサボテンかと思ってしまいました。
成虫は、決して美しいものじゃないけれど、夜開く花などにとっては、蛾も大切な虫なんですよね。
もう感涙ものです。「夜開く花などにとっては、蛾も大切な虫」ーよくぞ言ってくれました。何、この心広き女子たちの集まり!もう私は仲間を見つけたようで嬉しくて今日はどうしてもいろいろ書きたいことがある。
実は私、ベランダでヒョウタン栽培しながら、ウリキンウワバという蛾も育てていたことがある。憎き害虫と呼ばれ、普通の人は退治に余念がないウリキンウワバだが、ヒョウタンも収穫したし、蛾の一生も観察できたし、とても満足だった。
1990年代にはニューヨークで蝶だけでなく蛾も寄ることのできる植物を育てよう、という運動があった。各人ベランダで夕顔など、夜花咲く植物を育て、蛾が花の蜜を吸いに来たり受粉したりができるようにと。
e-chanさまのお宅と違って、うちには毎年スズメガのシモフリスズメ( Psilogramma increta)が来る。
右:蛾 シモフリスズメ。7cmくらいになる。むしゃむしゃ葉を食べるが、葉はたくさんあるので心配しない。
左:オンブバッタもよく来る。
この種類の蛾は土の中に潜ってさなぎになるので、蝶のように観察をしたことはない。
スズメガの仲間には、ステルス戦闘機みたいなかっこいいセスジスズメもいる。
ところがシマトネリコは枝葉の部分(2階まで伸びていた)を伐採してしまったのである。理由は先日(7月19日)の雹の攻撃天気ヒョウ変!ウヒョーどころか、ドヒャーでした。
東京の一部地域はその日激しい雹に見舞われ、雹は草木を倒し、ガラスや屋根を打ち破り、車のボンネットをボコボコにしていったのだ。(雹の降り積もった写真を載せている)
この時トネリコの柔らかくよくしなる枝が折れたり裂けたりしてしまい、上半分を切ったわけである。もうシモフリスズメは当分お目にかかれなくて残念だが、トネリコは成長が早いので大丈夫。
カラスウリの花
みよちゃんさまにまたわがままを言ってお写真を貸していただいた。カラスウリの花三輪が咲くのを観察して写真も撮ってくださった。
午後7時55分、きれいに咲きました。
おもしろい糸状の純白な花びらが印象的でとってもきれい。たしかカラスウリも、オシロイバナ同様、スズメガが受粉の媒介をする。スズメガはホバリングするので停まるところがなくても大丈夫。
ナミアゲハチョウの観察記録
もうひとつ、みよちゃんさまの凄いもの、まだ知らないかたにぜひともお見せしたい。「ナミアゲハチョウの観察記録」本当にすばらしい。写真もきれいですし、レイアウトもお上手です。宝物ですね。
最後にわがやの最近のナミアゲハ。
きょうだいは仲良く柚子の葉を食べて、順番にさなぎになり、一日違いで飛び立っていきました。左下:抜け殻
追記:
yokobentaroさま、
どうぞどうぞ、記事や写真、よろしければ何でもお使いください。
蝶と蛾の違いはとっても難しい。「蝶は羽を畳んで休み、蛾は広げたまま」ーこの逆もあるそうです。私は、蝶は触覚の先っぽが「こん棒」、蛾ノコギリ形やその他の形」と昔ならったんですが、e-chanさまの記事によるとそうともいえないんですって。
jerichさま、おもしろすぎる!
ちょっと一部を引用させていただきます。(ブックマーク欄)
教科書に載ってました!で、少年がその夜に見た夢を作文にしろという宿題が出て、「君は僕の蝶を潰した。だから君が蝶になれ」・・・