アントウェルペンには白人しか住んでいないのか 〈街のイメージ考〉

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有色人種のいない街


Moving Antwerp

これは、2014年にアントウェルペンが作った、町のプロモーションビデオである。発表されるや、大きな反響を呼んだ。

Game of Thronesの音楽にのせて、街の名所や人々の暮らしを速いテンポで映し出す、なかなかカッコイイ作品だ。MAS博物館やカテドラル、中央駅や港、スヘルデ川、ダイヤモンドセクションやファッション業界などが紹介される。

どれもこれもアントウェルペンがチョー自慢にしているものだ。このビデオで、外国企業や国際会議などのさらなる誘致に役立てたいと考えた。

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 しかし、なにかおかしい。登場する人々は全員白人だ。(たしか一人だけ有色人種の男性がいたけど)。4割以上が外国出身という人口比率からすると、あと半分の市民はどこへ消えたんだと非難ゴウゴウ。

youtubeのコメント欄の書き込みはものすごい数にのぼり、とてもここには書けないような言葉や表現が溢れたため、市は不適切なコメントを削除するに至り、このようにことわりを述べた。

 visitantwerpen 1 年前
The video above appears to be a very hot topic. We are very grateful for the many comments and discussions that were written on this page. However, we see that many comments are discriminating and too politically inspired. Offensive language cannot be tolerated in comments on this video. We will therefore delete some of the messages.

 

街のイメージ

このあと、「白人でない」市民が「これが本当のアントウェルペンだよ」と、自分たちでプロモーションビデオを作ってyoutubeにあげたりした。


Moving the real Antwerp

www.knack.be

 

アントウェルペンは、「街のイメージ」を非常に気にする。

アントウェルペンは、モダンでクールな街、ファッションの街、美術と歴史の街、グルメの街 etc...と様々な形容詞をつけて、自分たちの望む側面に注目させようとする。だからあのようなビデオになったのだろう。

観光用のビデオは市民の税金で作っている。白人じゃない、あと半分の市民はどこにいったの?と声をあげたのもよう理解できる。

 

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私は外国人旅行客だが、市の中心部だけでなく、いろいろな地域にも行ってみた。

そのとき参考になったのが、以前紹介したガイドブックである。

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王立美術館地区 と Mampokoでランチ - ベルギーの密かな愉しみ

これで地域の特色はだいたいつかめる。

アントウェルペンが初めての、右も左もわからない学生や社会人の若者がアパートを捜すとき、気にかけなければならないのは、環境と家賃だろう。家賃の安い地域は、必然的に有色人種の多く住むところになる。そうした大切なことをガイドブックは教えてくれる。

この町は実にうまく棲み分けがなされている。文字通りモザイクのようだ。公共交通機関に乗って移動するだけでもかなりのことがわかる。人々の肌の色、服装、話す言葉、会話の音量、匂い(たいていは買い物袋の食料品から)・・・

観察は飽きることがない。

 

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写真:ビアカフェ「11番目の戒め」

 

〈街のイメージ考〉続きます。次は「日本人は困る」という話。