先月ブリュッセルの連続テロ(3月22日)があったあと、ベルギーの音楽ファンがひそひそ声で心配していたことは、
「Queenのコンサート、どうなるの?来てくれるかな?」
テロの前、私は街のあちこちにポスターが貼ってあるのを見ていた。
「ふーん、クイーンとアダム・ランバート?前に日本へも来たよね。サマーソニックだったっけ。盛り上がったという記事を読んだような…」そう思っただけで、フレディにしか興味がない私は、コンサートのことはすぐに忘れていました。
*ご存じないかたのために:フレディ・マーキュリーFreddie Mercuryは1991年になくなったクイーンのボーカル。アダム・ランバートは1982年生まれ、アメリカのオーディション番組で準優勝した歌手。クイーンにボーカルとして参加。
WEB上の新聞で、6月15日のコンサートのチケット販売を知り、Queenとアダムはちゃんと来てくれるんだ、よかったなと思った。セキュリティーはすごく厳しくなるでしょうが。
そして昨日は「クイーンの日」だったkihaseason2015.hatenablog.com
1975年か、ああ、懐かしいなあ。来日時の大騒ぎは知っていたけど、そのときはまだファンではなかった。ファンになったのは、アルバム『オペラ座の夜』を聴き、「ボヘミアン・ラプソディ」に驚愕してから。
(長谷部宏氏の写真展「ROCK STARS WILL ALWAYS LOVE JAPAN~日本を愛したロックスター~」)
Queenは、空港でもどこでも大勢のファンに取り囲まれ、熱烈な歓迎を受けた。武道館と全7都市のコンサートがすべて完売で、追加公演もあったほどの熱狂ぶり。本国では2000人くらいの小さなホールで公演していたというのだから、イギリスメディアからは驚きと奇異の目で見られたらしい。日本の女子たちが世界に先駆けてクイーンを発見したのです。ふふふ。お先に失礼。
10年くらい前、木村拓哉主演のTVドラマ「プライド」でも「ボーン・トゥ・ラヴ・ユー」ほかクイーンの曲が多く使われ、再び一大ブーム(第二次クイーンブーム)を引き起こし新しいファンを獲得、CD『ジュエルズ』の発売につながった。
ビール
https://www.barks.jp/news/?id=1000122591
ボヘミアン・ラプソディ誕生から40年を記念して限定発売。チェコ共和国で作られたそう。ピルスナーはフレディも好きだった。
和紙
久しぶりに日本橋へ買い物に行きました。地下鉄日本橋でおりて、エスカレーターで地上に出ると、おやまあ!
写真:2016年4月撮影
はいばら(榛原)さんっていつからここに??
聞いてみると去年ここに移転してきたんですって。ついでに買い物もしてきました。
日本橋のはいばらはとても有名な和紙のお店ですよ。(サイトから引用)
日本橋にのれんを掲げて二百年
榛原(はいばら)は、東京・日本橋で二百年以上つづく和紙舗です。
文化三年(1806年)に江戸日本橋際にて和紙小間物販売を開始。大正八年二月、株式会社に改め今に至ります。
現社長 中村達男は、初代より数えて七代目となります。
↑200年前のはいばら。賑わっていますね。
実は私、昔は工芸製本をやっておりました。工業製本ではなく、手製の製本です。フランス語ではルリユール(la reliure)といいます。ヨーロッパならどこの国、どこの都市にも工房があるし、趣味としての養成講座もあるし、ルリユールに特化した学校(美術大学レベル)もあります。パリとブリュッセルのが有名です。私は講座や個人レッスンで習っていました。
和紙はよく使いました。なぜここで和紙が?と思うでしょう。見返しの紙(表紙を開いたところの紙)はヨーロッパでは伝統的にマーブル紙を使うのですが、私はこれをときどき和紙にかえていました。
人に頼んで 京都で買ってもらったものを、大量にフランスに送らせていました。ルリユール仲間から「お店みたいね」といわれたくらいたくさん持っていたのです。帰国するときはフランス人にあげましたが。
何度か厚手の和紙を表紙にも使ったことがあります。ふつう表紙は、羊や牛や豚などの革、でなければ製本用の裏打ちがほどこしてある布、いわゆる布クロスを使うものです。しかし厚手の和紙は非常に丈夫で呼吸もし、風合いもよくて実に製本向きなんです。糊を塗るのが難しくて失敗もたくさんしましたが。
和紙には様々なタイプがあり、クセがあり、おもしろい素材です。そのぬくもりから紙をすく人や植物にまで思いをはせることができます。職人たちの確かな技術に支えられ、今日までつたわる大切な日本の伝統であり、文化遺産ですね。
和紙を爆買いしたフレディ
フレディの日本趣味は有名ですが、和紙まで爆買いしていたらしいです。さきほどのお店「はいばら」で100万円相当分を買った話は、朝日新聞で読みました。お店の人の証言によると、金箔模様の和紙を大量に購入し、ロンドンにある邸宅の私室の壁を張り替えるのだということでした。想像するに、いわゆる金唐革紙(きんからかわし)みたいなものかなと思っています。
金唐革(きんからかわ)
引用
欧米の皮革工芸品を「金唐革(きんからかわ)」といい、宮殿や市庁舎などの室内を飾る高級壁装材であった。金唐革は、唐草や花鳥などの文様を型を使って革の表面に浮き上がらせ、金泥その他で彩色したものである。江戸時代前期の17世紀半ばに、オランダ経由でスペイン製の「金唐革」が輸入されて人気を博したが、鎖国を行っていたためにこれは極めて貴重かつ入手困難な品物であった。そこで、和紙を素材とした代用品の製作が日本で行われた結果、1684年に伊勢で完成した製品が「金唐革紙」(「擬革紙(ぎかくし)」ともいう。) の始まりである。
明治時代には、大蔵省印刷局が中心となって製造・輸出され、ウィーン万国博覧会・パリ万国博覧会など各国の博覧会で好評となり、欧米の建築物(バッキンガム宮殿等)に使用された。(ウィキペディア)
部屋の壁はどんな仕上がりか、見てみたかったな。それから買い物に同行した通訳さんやボディガードさんのことが羨ましい。フレディは全部で7回来日しましたが、ボディガードはいつも同じ人、つまり警備会社の社長さんだったそうです。(*追記)
注:金唐革(きんからかわ) の写真を撮ってきました。
写真:ベルギー・アントウェルペン、プランタン=モレトゥス博物館。一室の壁紙が金唐革でした。2016年3月20日。
そんなわけで今日はフレディと一緒に過ごすことにします。たぶんハンカチとティッシュがいるけどね。
*追記
🌸以下 個人メモ:
朝日新聞夕刊連載「和紙をたどって」(2014年2月)
朝日新聞より