70もある世界の壁・仏大統領選・カレーの惨状 追記:2018年1月スウェーデン、戦争の備え
朝起きると何かしら恐ろしいことが起こっている、というのがここ数年の印象。特に今年に入ってからは不安が倍増している。ミサイル撃ちまくる独裁国家や、化学兵器使用をめぐるシリアへの制裁に非協力的な中国・ロシア。
北朝鮮が弾道ミサイル4発発射 首相「新たな脅威」 :日本経済新聞
ロシアと中国、化学兵器使用めぐるシリア制裁に拒否権行使 WEDGE Infinity(ウェッジ)
来年1月から、スウェーデンが徴兵制を復活させ、4千人を徴集するとか。(*)
スウェーデン徴兵制復活へ、ロシア脅威で7年ぶり - 産経ニュース
フランス選挙戦
目が離せないのはフランス選挙である。フランスには長く住んだし、パリで出産もしたし、節目節目(ミッテランとシラクの大統領選など)にはたまたま向こうにいたので、今回も大関心事なのだ。
共和党フィヨン氏は、選挙戦から引くのか引かないのか、その後どうなるのか。
仏大統領選、フィヨン氏に撤退圧力 家族への不正給与疑惑で :日本経済新聞
Discours de François Fillon : combien de fidèles au Trocadéro ? - L'Obs
昨日(5日)トロカデロ広場にフィヨン氏支持者が20万人集結した、と共和党は発表したが、そんなにいるようには見えないけど。せいぜい数万人でしょう。
私は1月に「たぶん大統領はジュペ氏」なんて書いてしまい、その後党内の候補者選びであっさりジュペ氏は落ちた。ジュペ氏(Alain Marie Juppé)は1945年生まれ。ジャック・シラクの懐刀といわれ、1995年から1997年にかけて首相を務めた。シラク氏は自分の後継者にと考えていたが、その後スキャンダルや不運が相次いだジュペ氏。
そうそう、アパート問題というのもあった。パリ中心部は東京と同じくらい住宅費がかかるが、高級住宅街のアパートを格安で借りていた件。リフォーム代を公費から落とした件など。フィヨン氏が引くとジュペ氏が出る可能性は高い。しかしフィヨン氏は、同じ党内でも右派なのに対し、ジュペ氏は中道寄りということで、マクロン氏(オランド大統領の側近だった人で、経済・産業・デジタル大臣をやっていたが、辞めて立候補。 Emmanuel Macron, 1977年生まれ)と支持層がかぶってしまう。
今日明日で動きがあるだろう。
brigitte trogneux macron mariage
マクロンさんといえば、24歳年上の Brigitte Trogneuxさんと結婚したのが話題になった。結婚は10年前で、マクロン氏29歳の時。奥さんは高校時代のフランス語教師であり、演劇クラブを主催していた。熱愛ですね。
壁は増える一方 世界の壁事情
壁と言えば最近は「メキシコ」だが、昔は「ベルリンの壁」が分断の象徴だった。ベルリンに行ったのは1983年で、陸の孤島である西ベルリンに入るには、一国のなかの「東西」の国境線を越えていく。陸路を列車で入る場合の話。そのたびにパスポートチェックがある。
「ベルリンの壁」で隔てられた東ベルリンにも行った。365 mのテレビ塔にのぼり、最上階の展望台&回転レストランから壁や西側を眺めたりした。
写真:1961年、壁の建設中。笑顔も見える。Remembering the Berlin Wall - Photos - The Big Picture - Boston.com
今朝の記事によると、トランプ大統領は、壁の設計案を募集ということだ。
記事によれば、壁建設事業に関心がある企業は約300社という。そうか、これも雇用の一形態なのだなと思った。
しかし壁と言っても現代の壁は、ベルリンのような煉瓦と有刺鉄線ではないのだ。ハンガリーは移民を入れないために、セルビア・クロアチア国境に、4メートルのフェンスを築いている。しかも電気を通す柵である。
写真:ハンガリーのフェンス。
Hungary builds new high-tech border fence - with few migrants in sight | Reuters
電気柵といえば、ふつう動物用だろう。ナチスの強制収容所の敷地ではないのだから。
去年静岡県でおきた事故は痛ましかった。川遊びに来ていた家族ら7人の、悲しい感電事故。たしか死亡者も出た。
ベルリンの壁が崩壊した1989年には10数個しかなかった壁が、現在では70以上あるという。ケベック大学のElisabeth Vallet 氏の報告による。
アメリカ・メキシコ
すでに三分の一はフェンスで仕切られているが、残りの部分に5メートル以上の障壁を作り、監視カメラをつける。
さきほどのハンガリーほか、スロヴェニア、オーストリア、マケドニア、ギリシャ、ブルガリア、スペインとモロッコ間(セウタ: Ceuta)イスラエルとパレスティナ、サウジアラビアとイラク、インドとパキスタン、朝鮮半島、等々…
https://pbs.twimg.com/media/C6AshWvWYAAdQrZ.jpg
フランスとイギリスも
イギリスは、英仏海峡を渡ってフランス側(カレー)から押し寄せる難民対策に頭を痛め、壁の構築に踏み切った。
こうした貴重な写真のおかげで様子がよくわかる。
壁は高さ4m、長さ約1kmで、カレーのフェリー船の港に通じる道路上の両側に作られた。
以前は、下の写真のようにイギリスに渡りたい難民が溢れ、劣悪な環境でテントを張り、深刻な問題になっていた。おもしろいことに全員がイギリスに渡ることを希望した。フランスで難民申請したい者はいなかったというから不思議だ。
http://www.cnn.co.jp/world/35088786.html
https://www.thesun.co.uk/wp-content/uploads/2016/08/nintchdbpict0002598317683.jpg?w=960&strip=all
カレー 「ジャングル」解体で放火に催涙ガス (3月1日)
英仏海峡近くのフランス・カレーにある「ジャングル」と呼ばれる移民キャンプで2月29日、掘っ立て小屋などの解体を始めた当局と移民の間で衝突が起きた。
移民たちの投石を受けて警官が催涙ガスを使用。少なくとも12の掘っ立て小屋に火が放たれた。
こうして撤去されたキャンプも再び満杯に。
終わり
(*)追記