タマニチェンコさまの記事を読んでおもわず「社会主義」の言葉にぴくっと反応した。働き方改革の案などが私にあるわけではないのだが、国のイメージというものについて書いてみる。
↓ こちら読んでくださいね。長くないですよ。
タマニチェンコさま、qtamaki.hatenablog.comありがとうございました。
外国人は日本にどんなイメージを持っているか。その前に私たちが、他国に対してどんなイメージを持っているか、自分で考えてみるといい。
私だったらアメリカはまず自由の国、実力主義、移民で成り立っているから多様性に富んで活気がある、格差は大きいが正義はまだある。しかしトランプ後はそうしたイメージとはひどくかけ離れてしまったと思う。
(写真:2016年3月パリ)
フランスは一般に歴史、芸術、ファッションなど華やかなイメージ。私だったらワインや農業、酪農、漁業のほうを先に言うだろう。また文化関連に力を入れ、太っ腹の招聘制度(留学など)や文化施設の充実などを思い浮かべる。やはり移民や亡命者、難民を受け入れて発展してきた国でもある。
しかし2000年に入った頃からパリ郊外で頻発した暴動事件(主に移民の子弟による)、その後のテロ事件(パリ、ニースなど)ですっかりイメージも変わった。日本の大学生の親も、フランスは危ないから留学させたくないと言っている。
タマニチェンコさま、部分を引用させていただきます。
日本では、見た目上、自由主義で資本主義でありながら、社会と国民の性向によって、実質的に社会主義的な機能を持つ国家運営がなされてきました。
その中心には、会社中心の生活スタイルや価値観を生み出す、新卒採用制度や年功序列制度、正社員の雇用保護政策があります。
そしてイノベーションや責任よりも画一性や協調性、忍耐や努力を強いる洗脳行為は、学校教育から始まり、新卒研修による大学生活の否定、定年退職に至るまで綿密に組み込まれており、社会に深く根ざしています。
私が若かったころ(1975~85年くらいと考えてください)フランス人やスイス人、ドイツ人、イタリア人などからほぼ似たようなことを言われたものだ。「社会主義」とは言わないが、個人が社会に組み込まれている感じがすると。 画一的で集団で動く感じ(団体旅行客から受ける印象か)、制服を着て時間通りに行動してまるでロボットみたい(TVなどのニュース映像からか)。そして「働きすぎ」!
私はそのように言われるまで全く考えたことがなかった。親が勤め人でないこともあるが、10年近く独りで旅行ばかりしていたので知らないことが多かった。
たとえば1980年代初めに、フランス国鉄は「トヨタ生産方式」(仏語:Le Toyota Manufacturing Program )を取りいれようとした。まず幹部らが講習を受けにいき、四苦八苦して学んだノウハウを持ち場で社員や労働者に教えようとする。しかしこれが大ブーイングだった。誰も理解する気がないので「うちの部署では頓挫してやめにした。フランス人には向かない」と当時部長職だった人が話してくれた。
日本のイメージ いま
誤解のないように言っておくが、あの時代は文化面では日本はむしろ持ち上げられすぎだった。ド・ゴール政権で文化相だったアンドレ・マルロー(André Malraux, 1901- 1976年)は、初代日本オタクと言ってよく、日本文化に関する著書も多くした。彼の人生も壮絶で興味が尽きないがここでは紹介できない。
あのころは日本映画が大絶賛で、黒澤・小津・溝口の主要作品を見ていないと日本人扱いされなかったものだ。とはいっても日本文化・芸術はやはり少数の知識人にファンがいたというだけである。
日本社会の今のイメージは、というとかなりひどいんじゃないかな。私はいつも朝、海外の新聞をのぞくとき、ビクビクしている。先日、ロイターが塚本幼稚園の記事を配信したときは「やめて~!」と思った。あれが日本の幼稚園だと思われたら困る。安倍首相夫人が訪問したことも、戦前の日本を彷彿とさせる教育をしていることも、15年前から教育勅語を導入したことも写真入りで詳細に伝えていた。
それから過労死、長時間労働。こちらはあちこちの国で記事が多くて私は憂鬱だ。以前も一度記事を書いている。Karoshiは完全に普通名詞化した。「過労自殺」karo-jisatsuも同じく。輸入した(い)ニッポン語「過労死」「積読」
”karoshi japan”で画像検索してみるとよい。もしかしてサラリーマン姿のお知り合いの人が写っていたりしていない?たとえばこのイギリスの記事のこの写真も「画像検索」の中にある。
Could the UK fall victim to Japan's 'Karoshi' over-working culture?
電通社員だった高橋まつりさんが過労自殺したことは、私が知っているだけで5か国の新聞で詳しく報道された。
https://www.ft.com/content/982b1c46-d75b-11e6-944b-e7eb37a6aa8e
イタリアの記事ではこんな写真↓が。どこなんだろう??みなさん、写真を撮られたことは知っているのだろうか。高橋さんのことや日本の過労死症候群についての記事。
Il troppo lavoro uccide, il Giappone fa i conti con la sindrome karoshi
こちらの記事は、高橋さんの自殺のあと、日本では「プレミアムフライデー」を導入した、というもの。毎月、月末の金曜日の終業時間を午後3時にするように会社側に呼びかけていると。
Contre la mort par burn-out, le Japon instaure le "Premium Friday"
ここで使われている写真。 まだとっても若々しいみなさん、就活中ですね。
またもどるが、日本の過労、長時間労働のイメージは昔からなんら変わっていないのだ。外国人でこうした記事を頻繁に読んでいたら、日本は悲しい国だと思うはずだ。
遺族の方がおっしゃっていた「過労死ということばをなくしてほしい」。本当にそんな日がくるといいな。だって移民を入れたり、優秀な外国人に日本で働いてもらおうなんて思っても、こんなひどい労働環境の国に来てくれるわけがない。残業時間の上限100時間とか(60時間であっても)、他国の人が聞いたらまずジョークだと思うだろう。しかも賃金は安い。
むだをなくして拘束時間をできるだけ減らしてほしい。通勤時間も長いのだし、飲み会など最低限で。余暇や趣味でリフレッシュして効率よく働いてもらいたいと思う。そうでないとますます高齢化する日本。若い人が病んで疲弊したら将来は…。言わずもがなである。
追記:
写真はサンパウロ メトロの人込み!東京も真っ青だな。