壁絵・ストリートアート Spear &El Bocho
自分が絶対興味を持たないだろう、と思うもの、ありますよね。たとえば私だったらラップなんて詩吟と同じくらい遠いものです。ある日突然、ラップにはまってラッパーさんの追っかけになっている、なんてあり得ないです。ラップファンの皆さんには申し訳ないですけど。
たとえばグラフィティ (graffiti) なんかも…。グラフィティというのはほらあれ、スプレーなどで壁に書かれた絵や文字のことです。
10年位前、二人組の外国人が大阪を中心に、電車などに落書きを繰り返し、器物損壊罪などで起訴されたことがありました。ロシア、英国、チェコ、ポーランドなどでも同様の落書きをして回ったそうで、「日本の電車には落書きがなく、目立つと思った。日本人にアピールし、有名になりたかった」と供述したそうです。
asahi.com(朝日新聞社):国際電車落書き団、列島縦断13件 「有名になりたい」 - 関西交通・旅ニュース
こんな変な字、どこがいいんだろう。落書きなんぞ甚だ迷惑、しかもよその国にきてまで…。かつての私はそんな風に思っていました。もちろん東京などでもちょっとした落書きはあります。でも壁や塀や、公共の乗り物や建物の壁面を使って大きな絵や字を描く― そういう発想がそもそもない。
ところが人は変わるもので、ベルギー滞在以降、ストリートアートとしての壁絵に俄然興味を持っています。ブリュッセルでは壁絵の写真もずいぶん撮り、当ブログと写真ブログに載せてあります。おそらく50枚近くはあるはずです。
男の貌。
ヘミングウェイみたいな…。左頬に窓が来てるね、などと思いながら、しばし足を止めます。ブリュッセルのナミュール通り(Rue de Namur)の絵で、私は王立美術館の入り口を背にして写真を撮っています。
昔、この緩やかな坂を上って通りを渡ったところに住んでいました。懐かしい坂を行きますと
おや、なんと顔が二つあったんですね。老人の日焼けした厳しい顔です。
そして特徴的なのが白い部分。一見白髪・白鬚に見えますが、よく見ると混じりあうように多数の白い文字が、それもカリグラフィーペンでお習字したような美しい字です。書かれているのは全部フランス語の単語。
誰が描いたんだろう。すると右下に赤色でpropaganzaとある。プロパガンダではなくプロパガンザ。たぶんこれが製作者のサインだろうと思い、ネットで調べます。
https://www.facebook.com/propaganza.belgium/
プロパガンザ、ブリュッセルで活動しているアーティストのグループでした。そして下の男の横に小さい窓があって、Spearとサインがありますね。これも調べてみると、このグループを代表するSpear氏の作品であることがわかりました。
↓↓素晴らしい作品がいっぱい!!↓↓
もうこうなると調べるのが楽しくて、Spear氏をどこまでも追いかけます。
制作風景もfacebookで見つけました。
もちろんブリュッセル市の許可を得て制作しています。
こちらも制作風景。ボリビアだそうです。(チーム制作の作品も混じっています)
最後の写真なんか、もうため息が洩れますね。
今回はブリュッセル在住のアーティストを紹介しましたが、世界中には様々なタイプのアーティストがいて好みも分かれます。また神出鬼没なバンクシーなど話題に事欠きません。以前扱いました。
エル・ボチョが来た
でも日本では壁絵は馴染みがないですよね。そう思っていたら、5月の連休のころ確かjerichさまが壁絵の写真を挙げていたなと思い出し、さきほど日付けを聞いてきました。許可を頂いているので紹介します。
こちら
jerichさま、感謝いたします。写真素材との出会いってありますね。それを皆に見せてくださってありがとうございます。
いろいろな角度で撮れるわけですが、下から見上げるようにして撮っていて、左側の女性の唇や瞳の存在感が増していますね。
この作者はEl Bocho(エル・ボチョ)El Bocho | Urban Art / Street Art / Tape Art | Berlinというベルリン在住のストリートアーティストです。個展で東京にいらしたのです。石川さゆりさんのジャケットも手掛けています。
写真を見たらカッコいいドイツ人だった。でも顔は隠したいのでしょうね。独特なラインとオレンジ・黄色・ベージュ、たった三色でこんなにも豊かで迫力満点の世界が広がる。エル・ボチョカラー(と呼んでいいかな)がとても気に入っています。
🌸追記:あの壁面の上には「シェアースピリット」(SHARE SPIRIT)というブティックが入っているビルがあります。美しい建物です。(東京都渋谷区鉢山町14−10)http://www.sharespirit.jp/
🌸追記:2018年
旅をするアーティスト ウルグアイの二人組
追記:ベルギーのオステンデでやっている壁絵フェスティバルwww.demorgen.be
ひとつ取り上げてみました。