ベルギーの密かな愉しみ

しばらくの間 お休みします。

浸透する日本アニメ-2- 懐古派から若い世代のファンまで (マジンガーZ ・セーラームーンほか) 

お天気でよかったな

こちら東京ではよいお天気が続きます。

お天気でよかったなと書いたのは、昨日銀座では戸外でこの世界の片隅にが上映されたからなんです。企画したのは#ねぶくろシネマ hashtag on Twitter寝袋シネマさん。大都会のど真ん中で戸外の映画上映というのは凄いですね。その東銀座の空き地にはいずれホテルが建つのだそうです。

車の行きかう音や人の話し声も聞こえる銀座の一角、そして11月の寒空の下、そんな特別な場所で映画を見た人たち、子どもたちにとってかけがえのない思い出になるでしょう。

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「この世界の片隅に」を銀座で野外上映、入場無料 - 映画ナタリー

 昔は、特に田舎などでは野外で映画を見た時代がありました。私もフランスでなら野外上映を見たことがあります。もっとも印象に残っているのは、1984年パリのポンピドゥーセンター前広場で、黒澤明『乱』を見たことです。あの熱気、今でも思い出します。

 

㊗1周年『この世界の片隅に』ロングランで上映中

その映画『この世界の片隅に』ですが、思えば遠くまで来たものです。数多い受賞と絶賛のなかで1周年を迎えられるとは、監督はじめ映画スタッフと原作者こうのさんにとって、また多くのファンにとってどんなにか感慨深いことでしょう。

私は最初に漫画を読んでおり、映画は封切り4日目に池袋へ見にいきました。お客さんは50人くらいだったでしょうか。娘に聞いてみると「ううん、40人くらいだった」というので、よし宣伝しなくちゃと思って1年前に記事を書きました。

片渕監督がご自身のTwitterで紹介してくださり、以来1万近いアクセスがありました。また映画関係者(?)の方からブログにコメントまで頂きました。

現在フランスでも上映中です。映画.comさんhttp://eiga.com/news/20171104/5/によると

大掛かりな披露試写をもうけて、鳴り物入りで公開した「君の名は。」とは明らかに規模も異なり、こちらがフランス全土で約120スクリーンの展開で、1カ月で25万人を超える動員を集めたのに引き換え「この世界~」は68館で、1カ月を超えた現状で動員約4万人。

それでもこの規模で2時間5分のアニメ作品としては大健闘…

ということです。大手新聞の批評を読んでも大変高い評価です。こうした映画は口コミでじわじわと広がっていくのだと思います。

翻訳されたこうの 史代さんの作品。

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KANA出版(ブリュッセルに本社があるフランス語の出版社)から、今のところ6冊出ています。

 

劇場版『マジンガーZ INFINITY』(Mazinger Z Infinity)

フランスでは、日本での公開より2か月も早く上映となりました。

私のブログではもうお馴染みのFallaix氏のツイート。ポスターを日仏並べてみています。

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また「グッズがもらえるのは どこそこの映画館の初回のみ」と親切に教えてくれています。

私はマジンガーZなどロボットアニメは見たことがないんですが、フランスとイタリアに「UFOロボ グレンダイザー」の熱狂的なファンがいるのは昔からよく知っています。ちょっと頭おかしいんじゃないの、と思うほど入れあげていました。フランスで視聴率100%だった日本アニメ・永井豪 追記:2017マジンガーZ&嶋星光壱 - 

先日『YOUは何しに日本へ?』(テレビ東京)という番組を見ていたら、イタリア人でマジンガーZ大好きな男性が出ていました。この人はなんでも特殊撮影を使った映画などを作る会社にお勤めとかで、視覚効果分野の専門家といっていいのかな、語らせれば滔々と熱き思いを語ります。そして日本へ来た目的はマジンガーZのフィギュアを購入することであり、中野の店でやっと手に入れると、子どもにもどったようなピカピカの笑顔で喜びを表していました。

かつてTVのロボットアニメに夢中だったフランスの少年たちは今はもう50代です。あの頃を懐かしみつつ、新作を見に行くのだろうなと思っていましたが、実際は子連れも多く、また若い世代のファンも増えているようです。

映画封切り前から、つまり10月の「ローマ国際映画祭」の招待作品に選ばれたあたりから大変な話題になっており、私は永井豪さんがどれほど人気があるかを改めて知らされました。興味のあるかたこちら、詳しいです。↓

『劇場版 マジンガーZ /INFINITY』ローマ国際映画祭でワールドプレミア | 映画情報どっとこむ

 

また今日はわっと (id:watto) さまがロボットアニメに関連した楽しい記事をかいてらっしゃいます。こちら↓ ぜひ!

www.watto.nagoya

 

男には頼らない女子戦隊

女性が懐古するアニメはたくさんあるんですが、やはりドロテクラブ世代(Club Doで日本アニメに触れたフランス人1980年代生まれの人)ではセーラームーンでしょう。現在30代の人たちが中心だと思います。働いているから今ならグッズやコンサートのチケットも買える。

f:id:cenecio:20171126162121p:plainパリ地下鉄通路

というわけで、昨日の「セーラームーンシンフォニー・コンサート(sailormoonSymphony)が盛り上がったらしいので、ちょっと書いておきます。

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石田 燿子(いしだ ようこ)が来て、セーラームーンオリジナル曲を2曲歌ってくれるよ」とFallaix氏はつぶやいています。2つの曲とはムーンライト伝説(ごめんね素直じゃなくて♪)と乙女のポリシー/好きと言って」です。

フランスでは日本のいわゆる原曲は使わず、子どもむけに作った、幾分幼稚な感じの歌を、当時人気の歌手に歌わせていたのです。


Sailor Moon : le générique de Bernard Minet (Clip officiel)

これはこれで私もすっかり覚えて気にいっているし、フランス人は懐メロとして全員で合唱します。しかし当時でも、絶対オリジナル曲がいいと思うファンはちゃんと入手していたようです。

コンサートですが、今朝Twitterでフランス人の反応を見たら、すごくよかったという人と、「効果音が入ってなくて残念」という意見に割れていました。またコンサートを録音していた違反者もいたらしい(笑)。

 私がフランスの翻訳版で感心するのは、現在は知らないんですが、造本が丁寧で印刷が美しいことです。日本よりはるかに勝ります。

セーラームーン第一話、表紙をめくったところ。

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見開きにもカラーの絵を入れています。BD(フランス・ベルギーのマンガ)ほどではないですが、表紙も厚くて、本は大切に読むものだということを教えてくれます。

さてセーラームーンの人気の秘密は、絵が可愛いことや変身ポーズ・決め台詞がカッコいいこと、コミカルだが社会問題も扱いつつ、ストーリーもよくできている…などありますが、なんといってもヒロインが自立しているというところではないでしょうか。それまでの戦隊ものは女子は脇役でお飾り程度。セーラームーンでは逆に出てくる男性のほうが花を添える感じで、あくまでセーラー戦士たちは互いに助け合いながら自分たちで敵を倒します。

以前フィギュアスケート関連の有名ブロガー(北米の人)さんの記事を気にいって読んでいましたが、その人がクリスマス休みにぜひしたいこと、というのを幾つか挙げていたんです。その中に「暖炉の前に座ってセーラームーン全巻を一気読みすること」というのがありました。普段のまじめな分析記事とマンガとのギャップに驚きました。

でもセーラームーンと一緒だった、楽しくて幸せな少女時代にもういっぺん戻ってみたかったんでしょうね。

今日はここまで。また続きを書きます。

 

🌸 浸透するシリーズ -2-

cenecio.hatenablog.com