そろりそろりのコロナのある暮らし。
先日はそろりそろりと美術館に行ってきたのだが、その話はまたいつか。前回の続きを書かなくちゃ。毎回息切れがして尻切れトンボになってしまう💦
コンゴとベルギー王の話の続き。
id:shohojiさまもすぐに関連の記事6月9日 コロナ危機@ブリュッセル 反レイシズム・デモのこと を投稿、2005年11月放映のARTE番組(ベルギー領コンゴにおけるレオポルド2世の支配について、研究者などのインタビューや当時の写真、資料、および再現映像も含めたまとまったドキュメンタリ)をyoutubeから探し出して貼ってくださった。ありがとうございました。
レオポルド2世の残虐なコンゴ支配に関して、ネット上でも話題になっていた。二つほど選んで貼っておこう。
コンゴの男性。5歳の娘の、切断された手足を見つめている。
— KAMEI Nobutaka (@jinrui_nikki) 2020年6月10日
当時の植民地支配者であったベルギー国王レオポルド2世に差し出すべき、天然ゴムの採取量が不足していたがゆえの懲罰であった。
今、アントワープで、その国王の銅像が撤去されている。その撤去に対して、苦情を述べる人たちもいるのだが… https://t.co/g6QrSVUJYU
Congo, 1955 (Belgian colony at the time)
— Ahmad Ojra أحمد عجرة (@Ahmadojra) 2020年6月9日
this was only 65 years ago. These kids are probably still alive, they remember this! This happened within a lifetime of people who likely are still alive today. The child in the cage could be someone’s grandparent today.#BlakeLivesMatter pic.twitter.com/Cq2mr659dQ
id:shohojiさまはこの王様の別の側面も紹介している。
「(略)この王様、死刑反対論者で、この人の在位中死刑執行は行われなかったはず。
給料を日を決めて支払う仕組み、日曜はお休み、子どもを夜間労働させることを禁止、などなど、いわゆる「良い制度」を導入したのもこの方。」
人間はいろいろな面があるから難しいですね。
レオポルド2世の銅像で既に破損されたものは撤去した。修理しても元の場所には戻さず博物館などに移すらしい。
レオポルド2世の像は国内各地に残る。人権活動家などは植民地時代の圧政を正当化するものだとして撤去を求めてきた。米国に端を発した今回の運動を受け、ベルギー国内では新たに元国王像を撤去するオンライン署名が始まり、9日までに6万4000人以上が署名した。(毎日新聞10日付)
ところで先ほどのドキュメンタリが2005年と教えていただき、私には大きく頷ける点が幾つもある。私の最初のベルギー滞在(2007~08)のとき、タンタンのコンゴ探検が訴えられていた。社会の空気が熱く、ちょっとヒステリックだなと思ったのだ。ドキュメンタリを多くのベルギー人が見たのならそれは理解できる。
(写真:BD(本)と当時発行のタンタン切手。各国語に翻訳されたBDの表紙が楽しい。日本語の「ビーカー教授事件」も見える。すべて家に送った封書から回収して額に入れた)
このコンゴ探検は1931年発行、エルジェの二作目だ。その時代のアフリカへの視線を再現したものになっている。さっきちらとのぞいてみたら、確かに今でいう「人種差別」的でコンゴ人の扱いは酷く描写は侮蔑的、また動物虐待も甚だしくて、ユーモアのつもりなんだろうが背筋が寒くなり到底笑えない。ああ、こんな本だったのかと改めて感じいらざるを得なかった。
しかしこの本の発行停止を求めたコンゴ出身の男性に対し、ブリュッセルの法廷は訴えを却下。2012年のことである。作者エルジェは人種的偏見を煽ろうとしてこの本を描いた証拠はない、とのこと。弁護士によれば、あの時代の考え方は過ちだとして当時書かれた作品を差し止めろと言うなら、マーク・トウェイン、シムノン、アガサ・クリスティ、ディケンズなどの作品群もひっかかってくる。残念ながらあの時代は人種差別や偏見はあったのだと。そのことを学ぼう。
本の冒頭に「読者へのお断り」を入れ、時代背景を説明することで落ち着いたようだ。
しかしアメリカの図書館で閲覧を制限しているところがあり、また子ども向け図書から外している図書館もあると聞いた。 今後の展開はどうなるかわからない。
そういえば人種差別表現があるとして、映画「風と共に去りぬ」が配信停止になったね。
ところで2007年のベルギー滞在に上の腕時計を持っていった。1990年代に夫がフランスに仕事で行ったとき、娘と私に一つずつ買ってきてくれたものだ。赤いお魚が秒針でくるくる回る。(そのせいで電池をひどく食うのが困りもの…)
私は当時ブリュッセルの移民学校でオランダ語を習っていた。あるときクラスの若いフランス人女性(セネガル出身)が私の時計に目をやって「タンタンのコンゴ探検の話、知っていますよね。エルジェはレイシストです」と言ったのだ。いきなりのことで何と返答してよいかわからなかった。その場はそれで終わり、彼女はうちと同じマトンゲ地区に住んでいたので、たまに登下校時に会い、授業やアルバイトのことなどをお喋りしながら歩いたものだ。
今あの学校にいたたくさんの黒人のクラスメートの顔を一人一人思い出している。
黒人の仮装をして練り歩く『黒人の夜』
前回、オランダのシンタクラース祭に同伴する従者の黒人(白人が顔を黒塗りする)の問題に触れた。今オランダではますます真剣に議論がなされている。今年はどうかなと興味しんしん。
こんなことを言うと咎められるかもしれないが、オランダのはまだ可愛らしいなと思う。と言うのももっと激しいダンケルクのカーニバルがあるからだ。「黒人の夜」を初めて知ったときは「そんなこと許されるの?!」と危機感を抱いたほどだ。21世紀のこの時代にいくら伝統とはいえ…。
«Nuit des Noirs» : les antiracistes s'en prennent au carnaval de Dunkerque
ダンケルクは17~18世紀に奴隷貿易の港町だった。町の重要な行事にカーニバルがあり、観光客も数万人規模だという。カーニバルには多彩なプログラムがあるのだが、その中に、市民が仮装して町を練り歩く『黒人の夜』というものがある。写真の通り、顔を黒塗りにして部厚い唇をかき、羽根などたくさんつけてアフリカの部族のような恰好で…。(規模がわかります→https://www.youtube.com/)
当然黒人の団体は、黒人が奴隷として売買されていた時代を思い起こさせ、人間性を踏みにじり、人種差別だから止めてほしいと主張している。市長や一部の市民は、これは伝統であり人種差別ではない。「笑う自由、一緒に楽しむ自由」はあっていいじゃないかと反論。
今年はコロナのため行われなかったようだが、来年はどうするだろう。さっき見たらカーニバル2021のサイトは既に用意されていた。注目しよう。
🌸コメントに感謝。いつもいっぱい学ばせてもらっている。
一方日本では、植民地支配の歴史に対するフェイクがばらまかれ、過酷な植民地支配の責任者だった人の写真が焼かれる表現が集中攻撃の対象になるのだった。
「アメリカ」を全否定するが、英国、スペイン他欧州が大好きで旅をする友達がいる。私は友達にこれらの国のかつての蛮行はアメリカと変わらないと言った。去年米国でのThe 1619 projectはアメリカの正義の一面を感じる。2020/06/09
🌸嬉しかったこと。今年初のアゲハ蝶がかえった!
うちの花。毎日が楽しみ。
いま、朝顔もグロリオーサも桔梗もすくすく伸びている。この喜びは言葉では言い表せない。昨日今日のたっぷりの雨も嬉しい恵み❢
ではまた次回!
追記:メモ