ベルギーの密かな愉しみ

しばらくの間 お休みします。

アール・デコに酔いしれて(東京都庭園美術館)&雑記 ‐コロナとともに⑥-

コロナ前に行った最後の美術展は東京都美術館ハマスホイ展。

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1月21日のことで、そのあと我が家は外出自粛生活に入った。
写真にチケットが2枚見えるが、右が今回、左が前回2008年のもの、この構図で写真を撮ろうと夫が言い出し、持ってきたのだった。だが不幸にもピンボケ💦

4か月半ぶりに美術館へ。東京都庭園美術館(=旧朝香宮。港区白金台5-21-9)

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ご覧のとおり、人はいない。私のほか、2~3人くらいの来場者がいて、スタッフはゆうにその10倍くらいいた(笑)。急いで言っておくが、展覧会自体はたいしたものじゃなく期待もしていなかった。私の目的は邸宅を隅々まで見ることだった。

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以前にも何度も行ったことがあるが(*註)、邸宅の各部屋を使って企画展示をした場合、作品はすべて撮影禁止となるので室内もカメラは不可となる。そればかりか展示作品に日光が当たらないようカーテンはぴっちり閉められ、歩くコースにも制限がつく。

しかし今回のように、新館に展示スペースを設けると、邸宅内は自由に回れ、好きなだけ留まっていいので最高の気分だ。

朝香宮邸(1933年昭和8年竣工。2015年、国の重要文化財に指定された)はアール・デコ全盛期のフランスの影響を大きく受けている。朝香宮ご夫妻がこの様式に惚れ込んでいて、フランス人のアンリ・ラパンに設計を依頼したほか、日本の優れた職人技も随所に取りこみ、建物まるごと芸術作品と言ってよいだろう。

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戦後1947~1954年まで吉田外相・首相公邸として。1955年~1974年までは白金迎賓館として赤坂迎賓館開設までのあいだ使用された。1983年東京都庭園美術館として出発。

私は1988年に韓国人学生たちを連れて見学に行っている。

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アールデコや旧朝香宮邸そのものについてはHP等をあたっていただくとして、じっくり見る時間が与えられた今回は、装飾デザインに注目してみた。アールヌーボーに続くこの時代は、工業の発展により、新しい素材(合成樹脂や鉄筋や強化ガラスなど)が生まれた。用と美の両立を目指す新しい美の表現は、幾何学模様もスピード感が感じられる。飛行機、蒸気機関車、自動車の時代だ。

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暖房器具の装飾鋳物がどれもこれもステキ。(這いつくばって写真を撮っても周りに人はいないから安心!)

フランスから取り寄せた希少な大理石もあるが、多くは岐阜県大垣市で創業した矢橋大理石店から来たものだという。

タイルもまさに美術工芸品だった。京都や瀬戸から来たもので、釉薬の種類が100以上という説明があった。その豪華なタイルが円や直線を描いて床面を飾っている。

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アンリ・ラパンがデザインした白磁香水塔

なんとも不思議なものだ。図面には噴水器という記述があり、水が流れる仕組みであったそうだ。(庭園美術館の説明による)

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これは新館アプローチのガラスの壁、表情豊かでいい。毎回写真を撮っている。

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というわけで簡単に紹介した。写真もほんの一部でしかないから、みなさん、チャンスがあったら訪ねてみてくださいね。JR目黒駅から10分くらい。

 それから数日後、夫が嬉しそうに「ブリュッセルの本屋からメルマガが来たよ」と言った。「営業を再開したって。あと新刊も紹介してる」

「ふうん、どんな本?」

これだよ、と見せてくれてまあビックリ。なんという偶然だろう。旧朝香宮邸へ行ったばかりでこれに出会うとは!

庭園美術館のサイト(ワークショップの過去記事)で読んだばかりだった、このアンパン男爵邸 (Villa Empain)について。

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Villa Empain | Boghossian Foundation | Maison CFC

(本の表紙の写真:「エドガー・ブラントとアルフレッド・フランソワによる鉄製の扉。アール・デコらしい幾何学モチーフ」と庭園美術館の解説)

「世界にはたくさんのアール・デコ建築の傑作がありますが、その成り立ちや性格において、旧朝香宮邸として建てられた東京都庭園美術館に呼応するものを一つ挙げるとすれば、ブリュッセルにあるアンパン男爵邸(Villa Empain)かもしれません。旧朝香宮邸竣工の1年後、1934年にルイ・アンパン男爵の邸宅として建てられたこのアール・デコ様式の建物には…」で始まる文章、興味のある方はぜひお読みください。↓

www.teien-art-museum.ne.jp

 

雑記

1.世界は動き始めている。国境封鎖を解除するという意味で。

前回のブログを書いて週が明けて昨日の月曜、twitterを見ていたらこの写真が目にとまって思わず笑った。

https://www.lesoir.be/sites/default/files/dpistyles_v2/ena_16_9_extra_big/2020/06/15/node_307326/27590338/public/2020/06/15/B9723736201Z.1_20200615164813_000+GUSG5S4JF.2-0.jpg?itok=9U-Lorly1592233137

ザベンテムのブリュッセル空港も再オープンの記事。Les 22 vols de Brussels Airlines «complets presque partout» à l’aéroport de Zaventem - Le Soir

私が前回載せたタンタンの話と同じだった。(前回記事参照)

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そうか、ヨーロッパの人は自国ないし近隣の渡航可能な国で夏休みを過ごすのか。たとえば、オランダ、ベルギー、ドイツ、フランス、イタリア、ポルトガル、スイス、チェコといった…。羨ましいようなそうでもないような。なぜってコロナの心配があるから遠くへ行くのは不安だな、私の場合…

2.中村さんから教えてもらったんだけど、このコラボギフト凄い‼!

美術館コラボギフトの売り上げの一部は、東京国立近代美術館や各国立博物館に還元されるそうだ。↓こちら、見るだけでもぜひ!どれもこれも欲しくなっちゃう。

株式会社 三越伊勢丹ホールディングスのプレスリリース

 3.「解除しようが補償しろ!デモ」麻生&安倍邸の近くを通るコース。

twitterでしか追っていないが、若者たちがすごくいい。何度目かのデモで、京都などでも行われている。ムシロの旗なんて初めて見たな。

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渋谷のスクランブル交差点に「一揆」のムシロ旗がひるがえった。=31日、撮影:小杉碧海

「ブルーインパルス飛ばしたら腹が膨らむのか?」 失業者、学生が安倍邸にデモ

(写真:↑こちらよりお借りしました)

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4.よその猫ちゃんもそうなの?皆さんのお宅でも?

うちの子もメダカの水をわざわざ飲むので困っている。 

いただいたコメントお返事したかったのですが、次回ということで。ではまた~

 

 *註 庭園美術館で開催された企画展示の例。

cenecio.hatenablog.com

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