グラグラの不安な基礎の上に立つ日常
コロナの時代はまだ始まったばかりと言えるので、わからないこと、不確かなことが多い。でも「確からしい」ことは少しずつわかってきた。
国民が集団免疫を獲得できれば安心とか、ワクチンや薬が年内にも手に入るとか、または暑くなったらコロナは収まるなどが幻想だったことはわかっている。感染した人の体のダメージ(後遺症)がことのほか大きいこともわかった。
今後の第二波、三波、加えてインフルエンザの冬がきたら?と考えると不安はつのる一方だが、それより私が憂うのはわが国の(または東京都の)統計や数字が信用できないこと、そして方針が見えないことだ。
「日本は専門家委員会がお粗末だったね」と以前外国人に言われたけれど、実は悪いのは厚労省や政府だったこともわかってきた。専門家会議の人たちは梯子をはずされ、切り捨てられたようなものだ。あまりに酷い仕打ちだ。
前にも紹介した藤原辰史氏の言葉をもう一度:「どれほどの愚鈍さを身につければ、この政府のもとで危機を迎えた事実を、楽観的に受け止めることができるだろうか。」
東京は毎日結構な人数の感染者を計上している。つまり検査しているからで、これはよいことなのだが。だったらわれわれカカオ農民にもっと早い時期で検査してくれてもよかったよね。政府の対策は透明さに欠け、矛盾が多く、他国から見ても信用がないから、ヨーロッパにおける「スウェーデン状態」になっている日本。やれやれだ。
そんなときは心を休めるためにも観音様に会いに行こう。さあ琵琶湖のほとりへ。
おや、滋賀県じゃない、東京じゃないかって?
そう、上野の不忍池のそばまでいらしてくださっているのだ。ここに檜の観音堂(観音ハウス:http://www.nagahama-kannon-house.jp/)が開設されたのは2016年春のことである。地方のアンテナショップや工芸館的なものは東京には数多くあるが、地方自治体が単体で観音をテーマに、その独自な地域文化を発信するのは初めての、そして斬新な試みだった。
びわ湖北東地域は観音信仰が厚い土地で、住民たち自ら観音像を大切に守り育ててきた歴史があるという。点在する観音像を訪ねる周遊ツアーを、観光の中に組み入れたらすばらしい滋賀の旅ができるだろうし、私たちもいずれはのんびり旅行したいなと思っている。長浜には昔家族で一度行ったことがあるが、ちょっと足早の旅だった。
夫はといえば昔からコアな仏像ファンで、滋賀県はもちろん日本中のあちこちを歩いて回っている。辺鄙なところも臆せず行くから土地の人に珍しがられ、よく話しかけられたそうだ。学生の頃、木ノ本から高月へやってきたとき、声をかけられ、しばしお喋りした。そして「これから長浜を観光ですかね?」と聞かれた。夫はそのとき長浜のことを初めて知ったのだという。というのも観音様にあまりに入れあげていたため、町を観光するという当たり前の視点が抜け落ちていた、と笑いながら話してくれた。
(写真:観音ハウスから見る不忍の池)
なぜ上野の不忍池か、という点だが、江戸時代、寛永寺の開祖天海が不忍の池をびわ湖に見立て、中之島を築かせたという経緯があるそうだ。
そんなご縁でできた観音ハウスには、二か月に一度観音様を入れ替えでお迎えして展示。コンサートや講座などの催しもあり、あとで紹介するがスタンプを集めるとビックリするようなグッズももらえる。そのすべてが無料なのである。
この四年間で来場した人は六万人くらいという。京成上野駅の前(出口から30秒)というのもよい。
先日訪ねたのはこちらの木造聖観音菩薩立像(平安時代中期の作らしい)
毎回詳しい解説の紙をもらっているが、興味のある方はHPのこれまでにお越しいただいた観音さまNEWS/1813.htmlでご覧ください。
上の温和で地味な観音様に対し、超インパクトのあるこんな方もいらした。
千手千足観音立像(江戸時代、木造、漆箔、玉眼)。千の足とは!実は19本しかないけどね。一度見たら決して忘れない。また会いたい。そんな募る気持ちに応えて(=リクエストに応えて^^)二度いらっしゃった。
紹介を始めるとキリがないので興味のある方はHP/サイトを当たっていただきたい。
観音ハウス入り口。今はここで検温と消毒。
リピーターカードを出して毎回スタンプを集める。
スタンプは係りの方がとってもきれいに押してくれた。
メルマガ会員は絵はがきももらえる。
スタンプ4個でもらえるグッズ。ひとつを選ぶ。
特製手ぬぐい
キーホルダー。長浜市の有名なガラス工芸館特製。
ガラスのキーホルダーはもうすでに2個あり、2個とも人にプレゼントし、大変喜ばれた。写真が下手でよく見えないけど、ガラスがとっても美しい。
残念なことに観音ハウスも10月で終わる。「情報発信に一定の効果があった」(市の担当者)としてこの秋に幕を下ろすことに決めたそう。
興味のある人はその前にどうぞ。一応月曜が休み。コロナの時代なので開館日や時間は調べてからのほうがいいと思う。
最後に、こんな贅沢な体験をさせてくれた長浜市には心からお礼を言いたい。行政のみなさん、市民のみなさん、ありがとうございました。
息子は以前日本橋方面に勤めていた。「近くに滋賀県のアンテナショップここ滋賀 -ができたよ」といち早く教えてくれ、自分でもいろいろ買ってきた。
その後私も訪ねてみるとまずその場所にびっくりした。お江戸日本橋の角地、地下鉄日本橋駅出口すぐ横、JR東京駅から歩いても5分程度という立地だ。ここを情報発信基地にするという滋賀県の意気込みがすごい。
まず場所を見てみよう。
↑和紙の老舗はいばら。フレディー・マーキュリーが和紙を壁紙として貼りたいと言って、はいばらで100万円分爆買いしたエピソードがある。(過去記事参照)
はいばらの左が地下鉄出口、その横に「ここ滋賀」という文字が見える。
三階建てになっていて、地場産品を売るマーケットやレストラン、地酒バー(*)、情報案内のコンシエルジュなどが入っている。
*密な空間ということで現在休業中。
私のまずい写真では伝わらないのが残念だが、贅沢でスタイリッシュな建物である。
情報誌のニュースレターも毎回楽しみでコレクションしたくなる。表紙は、米原市で活躍されている切り絵作家の早川鉄兵さんというかたの作品だそうである。
3階まであがったことはまだないが、こんなテラスもあるそうだ。次回探検予定。
観音ハウスのことはいっぺん紹介したいと思っていました。秋に閉館ということで今日書くことにしました。特にururundoさん、aeさんにお伝えしたくて。
ではまた~!
追記:日経関西に詳しい記事。
琵琶湖畔の観音様がきょうも東京に単身赴任中です。滋賀県長浜市が東京・上野に開いた「観音ハウス」が盛況です。仏像1体を2カ月交代で派遣。都会の老若男女の祈りを無言で受け止めています。#関西タイムライン https://t.co/mLeBty3qHj
— 日経関西 (@nikkeikansai) 2020年2月13日
(記事より一部引用)
…東京芸大大学美術館の薩摩雅登教授(美術史学)は「琵琶湖を抱える温和で独特な風土の中に仏様が溶け込んでいる。大寺院に鎮座する仏像には感じられない魅力がある」と指摘する。
14年から地元の観光公社が現地発の「観音の里めぐりツアー」を企画している。村々の観音像は常に公開されているわけではなく、事前の調整が必要だからだ。日帰りを中心に6年間で174回開催。参加者はのべ3348人に上り、このうち4割以上が首都圏からの参加だった。
ひなびた里の観音信仰が都会の人々をひき付けるのはなぜか。東京出身で長浜市に移り住み、観音の里の魅力を発信して「観音ガール」と呼ばれる對馬(つしま)佳菜子さんは「宗教というより、家族の平穏な生活を願う素朴な祈りに共感できるから」と話す。・・・