ベルギーの密かな愉しみ

しばらくの間 お休みします。

猫と起業家精神 (ポーランド③)

荒れ野の七年八カ月

いや荒れ野はもっと前からだったかも。20年とか30年前からかも…。今は荒れ野に立ち、周りを見回し、また新たに歩み出せそうか確かめているところかな。

今年は日がたつのが早い。1月終わりからずっと悪政と悪性感染症にダブルで振り回されてきた。そしてもう9月。9月1日は毎年地域でけっこう大掛かりな防災訓練があり、私も朝早くから炊き出しや消火訓練をする住民の誘導などお手伝いに回るのだが、今年はコロナで全部が中止となった。

関東大震災のときの、朝鮮人虐殺のことは毎年忘れない。なんせ都知事がアレだから市民が自分たちで、あるいは自宅で追悼することになる。事件現場の地図が回ってきた。9月、東京の路上で | 差別反対東京アクション

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改めて虐殺現場の多さと悲惨と残忍さに、居たたまれない思いだ。

今日はそのことではなく、気分を変えて猫のことを書く。本当は8月8日の国際猫の日に何か書こうと思っていたが、8月という月は私の頭は「戦争」でいっぱいになり、どうしても余白がない。感情をそちらに取られてしまうと猫を誉めそやし、愛でることがたやすくできないのだ。遅ればせながら猫の日おめでとう!Happy #InternationalCatDay

こちらJenny (id:jflkg4u)さまも飼い猫猫ちゃーと遊んでいますね😉(中にお写真が)。

9月1日台風通過中~ - おひとりさまライフ 保護猫ちゃんと一緒

そうそう、先日nofrillsさまから教えてもらったBlack Cat Appreciation Day” (8月17日)黒猫を愛でる日もあるそうだ。

black cat appreciation dayは「黒猫の良さを認識する日(黒猫鑑賞デー)」。このappreciationは「感謝」ではありません。 - Hoarding Examples (英語例文等集積所)

毎日が「猫の日」でもいいな。「パステル三毛猫の日」とか「尾曲がり猫の日」(長崎には神社がある。長崎尾曲がり猫神社)とか…。そんな平和な世界を妄想してみる。

twitterに誰かが書いていた話。銭湯でよく出会うタイ人にあるとき、あなたは猫を持っているかと聞かれ、はいと答えると、それは良い、猫は小さな仏さまだから大切にしなさいと言われたと。小さな仏さま…タイ人らしい発想だ。

 でも猫愛はロシア人にはかなわない気がする。前からそう感じている。猫のサーカス団があるなんてロシアだけだろうし。

乳製品のパッケージに溢れる猫、猫、猫。バーコードも猫の形。ロシア人には負ける。

 

ベルギーの猫カフェ (2016年3月訪問)

あとにもさきにも猫カフェ訪問はこの一回限りだと思う。楽しくて濃いひと時を過ごした。昔書いたエントリをちょっと焼き直して再掲する。

コロナでベルギーがロックダウンになったとき、真っ先に心配したのはこの猫カフェだ。猫ちゃんたちどうしただろうと心配だった。

調べてみるとお店は今でもやっているが、名前と経営者が変わっていたLe New Chattouille

あの日、私が店に入るとすぐさまやってきたのはこのマティス君。(写真上の2枚)

「よく来たね、さっ、遊ぼ!」と私の気を引きたがる。おもちゃで遊んだりかくれんぼしたり。人懐こく美しい猫である。

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写真右下の女性、キッチンに立つ女性が経営者のモニカさん。モニカさんは猫に話しかけるときフランス語ではなかったので、あれ?と思い、聞き耳をたてているとポーランド語だとわかった。ポーランド移民だった。(あとで「起業家精神」のところに繋がります)。

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さすがベルギーだ、猫カフェ猫ビール❢De Poes オランダ語でメス猫という意味)。作っているのはかの有名なブリュージュ醸造Huisbrouwerij De Halve Maan。フルーツっぽい爽やか系…とおもいきや、あとで苦味も来ていい感じだった。

黒猫が私のビールを狙っている。「やめなさい!」と後ろからモニカさんの声がする。ほうら怒られた。漱石の猫じゃあるまいし。どうせ舌は届かないんだから。

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(右下:「ねこ歩き」という日本語が見える。岩合光昭さんの写真集。この日本の雑誌、誰かが置いていったのかな)

たくさんの猫が出たり入ったりしている。どこからかというと床下の小部屋から。猫用のハシゴがあり、人間から離れ、ひとり静かにいたいときはそこへ逃げこむのだ。いいアイディアだ。

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保護猫のカフェなので気に入った猫をひきとることができる。もちろん審査はある。この日も一人の女性がキャリーケースを持って来店。猫たちはクンクンと調査中。もらわれるのは別の猫であるが。

客は私のほかベルギー人が5人、常連さん風だった。そしてひきとりに来た女性を中心に、まるでどこかの家のお茶の間にでもいるみたいにお喋りが始まった。こうしたところが実にベルギーらしい。いやヨーロッパでは普通によくあることだが、レストランやバス停などで見知らぬ人同士すぐに会話が始まる。そんなきっかけで家に招かれたり、人を紹介してもらったりもしたこともある。

この女性はいきさつを話してくれた。深刻な病気で入院しなければならなくなり、自分の飼い猫を泣く泣く手放した。退院してみると心にぽっかり穴が空いた感じ。猫がいなくては生きられない。それで保護センターに連絡をし、このカフェを紹介してもらった。女性がひきとる猫は、このカフェで最も扱いの難しい猫だそうで、そういう猫こそ早く温かい家庭が必要、との考えから決断したと言った。

他の人たちも猫との思い出、子ども時代の猫のことなどを語った。アパートで猫は飼えないが引っ越したら必ず保護猫をもらうつもりと誰かが言うと、みんな大きくうなづいたりして、そのいっときの、猫と共にいる幸せを分かち合った。

 

起業意識

ポーランド人女性がベルギーで最初の猫カフェを開いたこと、これは興味深い。以前ベルギー人と話していて、日本人もベルギー人も会社や組織に属することを好む傾向があり、起業家精神に乏しいという結論に落ち着いたことがある。国民性なのか。

例えば、中国人や韓国人を教えているとき、将来は何するのと聞くと、会社を創るとか自分の店(レストラン)を持つとか、医師・研究者になるなどと夢を語ってくれたものだ。バブル崩壊以前の80年代でも。小さな子どもに聞いても同じ。「ぼくはね、社長になるんだよ」と中国人の子どもは即答した。その点日本人は起業意識が明らかに低いと思うし、調査ランキングを見てもそうだ。(また日本政府は、企業しやすい国でありたいと、2013年「2020年までに先進国(OECD加盟35か国)で3位以内を目指す」という目標を掲げはしたが、笑止千万だった)。

ベルギーでも移民の人たちが起業してEU内のランキングの順位を押し上げていた。ムスリムの人たち、イタリア人やポルトガル人などと並び、ポーランド人もそうだった。

前に頂いたコメントで、ベルギーに短期しか滞在していないanneさんでさえ「ブリュッセルにはポーランド人がたくさんいた」ことに驚いていたし、また、shohojiさんが「ポーランド人はみんな明るい」と書いていたことは注目に値する。本当にどこにでもポーランド人はいた。すごく働き者でベルギー人が避ける仕事を引き受けていた。宅配の仕事や引っ越し(日本通運では多くのポーランド人を雇っていた)や工事現場など。まずはそこから始めて資金を貯めるのだ。もちろん能力が高くヴィジョンがあれば融資を受けてすぐに起業できるさまざまな制度も用意されている。

ポーランド人のエネルギーはどこから来るのか。異国での苦難を乗り切る力を与えてくれるものは何か。それは厚いカトリック信仰だと思っている。それに加えて、家族や友人、人と人との結びつきを大切にする国民性か。

たとえばブリュッセル中心部の教会(Église Notre-Dame de la Chapelle)の日曜日、ミサにポーランド人があちこちからやってくる。あまりに多く集まるため中に入りきらず、四部(時間をずらして四回)に分けて行われるのだと、教会の人が笑いながら話してくれた。信仰を持たない人が多い日本では想像しがたいことだろう。あるとき私はその光景に出くわし、驚いて写真を撮ったこともある。(今すぐに写真が出てこないので後日💦)

では今日はここまでです。また次回!

 

🌸ペレック紅葉の稲荷 (id:Nietoperek)さん、

今日は「ポーランドその3」になってしまいました(笑)。昨日(8月31日)は連帯が発足した記念日で、日本でもTVで紹介していましたよ。若いヴァウェンサやカチンスキ兄弟の映像を見ました。こんなふうに別れてしまうなんてね😐