ベルギーの密かな愉しみ

しばらくの間 お休みします。

コロナ時代の大学生、かわいそうだなと思っちゃう。(大学①)

コロナ禍の大学 

夏頃どなたかが書いていたことだが、大学がこんなにも混乱しているのは長い歴史の中でも学徒出陣のときくらいだろう。学生紛争の頃なんてまだ甘かったなと。

なんとか無事に入試は終わったものの、入学した学生さんは本当に気の毒だと思う。特に一年生だ、二年生以降はまだ良い。私が一年生なら心が折れていたかもね。一葉の写真でしか顔を知らない教員から、次々と配信されてくるオンライン授業をこなし、レポートを書く日々。クラスメートの誰一人だって顔を見たことがないわけだ。図書館や生協や学食がどこにあるかも知らない。我慢の日々で納得のいかないことだらけだろう。

18歳の一年間って他の人生の時期と比べても大きいと思う。人との触れ合いや何気ないお喋りって大事。出会いがあり発見があり、意見交換や社会活動などを通して成長し、ときに持て余すほどにムダな時間がたっぷりあって……ああ、そうだ、学生時代に付き物のムダ、寄り道、道草。それこそが本質なのにね。(←個人の意見です😆)

まあ、大学の側だって初めてのことだった。震災の経験はあっても伝染病は初めてだ。春はさすがに大混乱だったが、夏のあいだに、各大学・学部では秋に向けて喧々諤々議論があり、教員にも学生にもアンケートなどで広く意見を聞いたりしたのだ。結局オンラインと対面授業の組み合わせでやってみるというところに落ち着く。年度内はすべてオンラインという学部や学年もある。対面の場合はゼミとか実験とかうんと少人数クラスになる。

またオンラインといってもいろいろな形式があって大学が望む環境を学生側が持っていないことも多い。そもそもパソコンを持たない学生に貸与するかどうかでもひと悶着あった。

また大学教員は年齢が高いし、健康に不安のある人もおり、学生や大学の要望に応えられないことも…。「オンラインのみ」と希望を出し、通らない場合は辞めるという教員だっている。

様々な事情を加味して教室の割り当てをしてもすぐに問題に行き当たる。少人数の対面ゼミのあと、次の授業がオンラインの講義科目だったら?瞬間移動でもしない限り帰れない。構内のどこかでオンライン授業を受けるのか。ディスタンシングはどうなる。PCは借りられるのか持ち込むのか等々。まだいろいろな問題がある。

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(自転車で散歩中、朝8時カヤバ珈琲さんでジンジャーエールを頂く)

 

先日フランス2で見た大学の風景。ちょっとのぞいてみよう。

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授業は自宅でオンラインで受けることもできる。学生が選べるのがいい。

それにしてもいきなり階段教室とは驚き!

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休み時間はすっかり寛いでマスクを外してしまい、見回りの職員の人に注意されている。昼のランチが終わってお喋りタイムだった。

ところでマスクを見て何か気がついた人いるかな?フランスではマスクは使い捨てを推奨されているので、手作り布マスクなどはいけないんだって。でも着用を守っていることに私は驚いている。あのフランス人がねえ。

オランダでは誰もつけてないので続けてニュースを見ると変な気分。


東北大学のデジタル変革

そんななか、大きな展望を持って体制を整えてきた東北大学が抜きんでている。東日本大震災での経験を踏まえ、リアル(現実)とサイバー(仮想)の融合を進めてきたのだという。今年度は後期から講義動画の収録配信サービスを行う。ITが苦手な文系教員にも指導をし、これまで通りの講義を配信する。

4月には全事務職員1600人が遠隔勤務の仮想クライアントのライセンスを取得したという。押印も廃止し、電子決済なので、職員1600人が100%リモートワーク可能という驚くべき環境だ。また研究面でも、先端研究設備のオンライン共用化などを計画しているということだ。トップが優れているとこうも違うのか、とため息が出る。小中学校と同じくここでも格差が見える。詳しくはこちら:https://newswitch.jp/p/23734

 

大学には宝物がいっぱい!

kofunmeguri.hatenablog.com

先日ぶじんさまが國學院大学博物館訪問の記事を書いていた。大学はすごい財産を持っている。お宝だらけ、稀少なものがいっぱいある😍オークションでやっと競り落としたものもある。

大学付属の博物館がこのように展示してくれる時は一般人も見られるが、普通は倉庫の奥の奥にしまってある。でもあなたが関連の研究をしている、論文を用意しているというなら話は別。それどころか教授が個人で所有・所蔵しているものだって見せてもらえる。

そうして図書館である。最近は東京都内の幾つかの大学で相互利用できるシステムもできていてすごく便利になった。(昔もそうだったらよかったのに😗)

図書館こそお宝の集積所だ。故人の家族から寄贈された蔵書群や資料はもちろん、おもしろいことに近隣の大使(館)からも珍しい寄贈がある。大学図書館はまさにワンダーランド。大学生ってすごい特権なのだ。

あの歴史学者磯田道史氏(『武士の家計簿』など)の有名なエピソードを思い出す。

慶應大学の図書館にある歴史書を全部読もうと意気込むあまり、ろくに食事もとってなかったものだから気を失ってしまい、救急車で運ばれたことがあった。笑ってしまうけどいい話だな。

実はこの人最初京都府立大学に入学した。しかし大学院がないことや慶應の速水融先生(エマニュエル・トッド氏と親交が深かった)に惹かれ、再び大学を受け直してやってきた。来てみたら(1989年)先生がいらっしゃらない。なんと慶應大学経済学部長を退任し、京都の国際日本文化研究センター教授に就任していた。すれ違い?あちゃーっ!

ところが先生の研究室がまだ慶應大学の研究棟地下に残っていて、先生はよく通っていらっしゃるというのだ。歴史人口学という学問は、大きな研究室が必要で、膨大なデータを扱うのだが、できたばかりの京都のセンターはまだ環境が整っていなかったというわけだ。

磯田道史氏の凄いエピソードをもうひとつ。ずっと古文書のそばにいたくて、慶應大学の守衛清掃会社の社員になり、古文書室の古文書整理をやっていたという話。何とも魅力ある学者さんである。

ともあれ大学生はとてつもないステータス。なのにコロナでしばらくはまだ図書館使用は禁止、本当に残念だ。せめて早く図書館が使えるようになるといいね。

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TOKYO BIKE 谷中の自転車屋

ちょっと今日は書ききれなかったのでまた明日!

🌸映画好きのみなさんのためにこれをおくります。

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