「ラーメンは自由のシンボルだ」
オランダの全国紙でコラムニストが代わりばんこに寄稿するコーナーがある。映画監督のFow Pyng Hu 氏(姓はHu胡?漢字表記がわからないので)が毎回主に日本のことを書いていると聞いたので「どれどれ」と興味しんしんで読んでみた。Ramen staat symbool voor vrijheid en daarom moeten de pannen weer op het vuur | Trouw
1970年生まれの中国系オランダ人Hu氏は、エッセイの中でコロナ禍の日常を情緒豊かに綴り、最後にAji Tamago(ラーメンの上に乗っている半熟の味付け煮卵)のレシピを載せていた。
「ラーメンは自由のシンボル」というのはエッセイの中にあった言葉。つまりラーメンの作り方に制約がないこと、伝統や流派もない、誰でも自由な発想で好きな材料の組み合わせで作れること。これがラーメンの神髄であると言っている。
記事の中にもHu氏の写真はあるがネットから勝手に引っ張ってきたこちら。
(映画祭のポスターとか表紙らしい。オランダの若き映画監督たちの紹介)
ミーハーな気持ちで読み始めたが、この人、ただ者じゃなかった。デザイナーから出発し、映画の勉強にニューヨーク留学。映画制作のかたわら和食、特にラーメンに興味を持つ。数年間日本に住み、料理・食材について研究、さらに日本文化への理解も深めていった。好奇心旺盛、行動力、研究熱心、さらに両親が中国料理店を経営していたという素地もあって、アムステルダムにラーメン店を開くのは躊躇なかったようだ。するとこれが評判を呼び、現在は3店舗に増えている。うどん店もオープンした。→サイトはこちら:「フーフーラーメン」Fou Fow Ramen
店内の写真を見るとインテリアのセンスに驚く。デザイナーだったし!
出自である中国の要素と和とモダン。気軽にふらっと入れるカジュアルさ。アムスに次回行ったら必ず訪問しようと思っている。
料理の品々は上の「フーフーラーメン」でご覧いただきたい。美しい写真がたくさんある。3枚ばかりお借りした。
笑みがこぼれるほどのビジュアルだ。Hu氏はスープにこだわりぬいているそうだ。うーん、おいしそう。おなかがすいてきた。
あじたまごの作り方
そのラーメンに乗っているあじたまご、一度も作ったことはないけれど、Hu氏のレシピ通りに作ってみよう。
準備するもの:大きめの卵4個、醤油大さじ2、みりん大さじ2、水大さじ6。
四個の卵がかぶるくらいの水を入れた鍋を火にかける。沸騰したら火を止め卵を入れる。強火で6分半茹でる。黄身が真ん中に来るように最初の4分は卵を転がす。茹でた卵は急冷。殻のあちこちをスプーンで軽くたたき、ひびを入れると剥きやすい。剥いた卵は先ほどの調味料に漬けるが、開口部がぴっちり閉まるビニール袋を利用するのが便利。空気を抜きながら閉めたら最低でも冷蔵庫で一日置く。3日は保存できる。切るときはナイフではなくぴんと張った糸で真ん中から切る。(以上が大体の翻訳です)
初めてのあじたまご完成!だけど縦に二つに切るのが難しかった。糸は製本用のを使ったが切り口が美しくない。やはり針金のほうがいいんだろうね。
普通のエッグカッターでも切ってみた。黄身が流れないのはよかったと思っている。
「別腹」という名前のラーメン屋さん
名前だけで笑っちゃう。どこまで突っ走るんだ、アムステルダム。
(サイトから写真をお借りした)コメントは控えたいと思う(笑)。
ラーメン激戦区のパリに現われたのは築地だった
アムステルダムやブリュッセルはまだのどかである。パリ・オペラ座界隈は昔から日本人街で食べ物屋は競争が激しいが、今はラーメン激戦区と言われている。昨年大阪・堺の「龍旗信」が上陸ということで仏紙でも話題になっていた。
しかしまさかパリに築地、横丁、屋台が現れるなんて!もう私たちの想像をはるかに超えてフランス人はどこまでも突き進む。しかもパリの中心部にすでに2店舗あるという。
サイト:こだわりラーメンkodawari-ramen.com/
メニューはすごく多い。ラーメンに関しては、鯛の清湯、鯛の白湯、鰯の正油そば、鯛の冷やしそば、オマール海老のまぜそば等…。
鯛のギョウザ「こだわり風餃子」もぜひ試してほしいとのこと。
ちょっと見にはテーマパークみたいに感じる。いえいえ、オーナーのムニエ氏(Jean-Baptiste Meusnier)は真剣と情熱とこだわりの人。パイロットの職を辞してラーメンの道に入ったというのだから。いったい何がどうしてそんなに彼を突き動かしたのだろう。
と思ったらきっかけは実に単純だった。日本旅行で渋谷でラーメンを食べ、一目ぼれしたというのだ。その後いろいろなタイプのラーメン、バラエティ豊かなスープや麺の種類や限りない具材のアイディアに驚き、すっかりラーメン文化に魅せられてこれを追求しようと決めたのである。食通のフランス人らしく、材料にはとことんこだわる。(店名も「KODAWARI」というくらいだ)。日本から最高品質のものを輸入もするが、豊かなフランス各地の大地や海からの恵みも最大限に活用しているそうだ。
いやあ、フランス恐るべし!以前ガラパゴス化するフランスのすし事情について書いたことがある。ラーメンもどこまで進化するか楽しみだな。
ラーメンについてはここまで。
ニューヨークのたいやき
話変わり、日本のものが他国に渡るとおもしろい変化を遂げる例はいくらでもある。私はニューヨークのたいやきに興味しんしん。あちらに在住の人が写真を送ってくれて存在を知った。こちら→Taiyaki NYC (@TaiyakiNYC)
https://twitter.com/TaiyakiNYC/status/1117203529175842816
https://twitter.com/TaiyakiNYC/status/1100147251748450308
台風のことが気がかりですね。
ではまた 次回!
*追記:さっき貼り忘れた「こだわりラーメン」動画
これが今話題のパリのラーメン屋「こだわりラーメン」の2号店!日本人もびっくりの再現ぷり!フランスの有名な舞台美術さんが担当したらしい。味も鯛のダシ、オマール海老のダシ、鰯のダシと魚のみで選べるのが2号店。 pic.twitter.com/q6iPimDTfY
— mitsuandersoonvenish (@mitsuandersoon) 2019年7月29日