ベルギーの密かな愉しみ

しばらくの間 お休みします。

過激なヴィーガン団体が落とす影 &日本もベジタリアン対応へ(#未来世紀ジパング-2-) 

前回菜食主義の最前線 ベジタリアン争奪戦(#未来世紀ジパング-1-)のつづきです。

昔のことだが、ベジタリアンは仏教徒やインド人以外にもいるんだと知り、新鮮に驚いたものだ。するとけっこう周りにも増えてきて、おかしいな、どうしてだろうと思って人に聞いたら意外な答えが返ってきた。「アメリカ帰りはベジタリアンになる人が多いわね。仕事や留学であっちへ行くと感化されるの。トレンドみたいなもんよ。インテリの証みたいな?」

ふうん、そうなの。私はインテリじゃなくていいや。

ともあれ世界中に多くのベジタリアンがいることはわかった。5兆円市場というこの流れは止まらないだろう。大きなビジネスチャンスなのである。

「ベジタリアンなら野菜を食べていればいい。代用肉や魚、フェイクなチーズを求めるのはおかしい」と思う人がいるかもしれない。だがベジタリアン専門のレストランがない町もあるし、自分だけがベジタリアンで、友人や家族と食事に行きたい場合は困ってしまう。普通のメニューにはあなたの食べられるものはほどんどない。サラダとか、コーヒーくらいか。また結婚式の披露宴やパーティーに出席するときはどうだろう。屋外でバーベキューだってすることもある。

そこでベジタリアンメニューと食材が必要になるわけだ。番組にはオランダ・アムステルダムの本格和食レストランhttps://www.hosokawa.nl/のシェフも出てくる。どんなところかなと思い、お店のHPへ行ってみたら、こんなよだれの出そうな品々が並んでいた。

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なのにそこのすし職人は、サシの入ったフェイクな刺身(前回記事)を神妙な面持ちで試食していた。ヴィーガンメニューを作るのだという。卵焼きもかつおだしは使えないから、ひとつひとつ見直していくようだ。

番組は他にもドイツのベジタリアン幼稚園を紹介していた。親たちもみなベジタリアンだという。給食はもちろんベジメニュー。

 

269

そして最後に負の側面として、精肉店を襲撃するなどスキャンダルを巻きちらしている過激な活動家団体にも取材していた。肉屋のオーナーが、覆面の5人組に襲撃されガラスを割られたと話す。スマホで撮った写真には「種差別をやめろ」というスプレー書きの文言が見える。「種差別」とは人間以外の動物を差別し搾取することだ。

食肉処理場も放火された。広い敷地の8カ所も。脅迫状には「動物を殺すお前の家族も従業員もアウシュビッツで焼かれてしまえ」と書かれていたという。80人ほどいた従業員は去っていった。犯人はまだ捕まっていない。被害総額16億円相当ということだ。

肉屋襲撃や町なかでのショッキングなパフォーマンスの際に必ず見られる文字、それは269.

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(↑サイトのTOPページの写真https://www.269life-france.com/)

269 life-franceという急進的ヴィーガン団体のひとつである。パリ支部長エリック・リキエ(Éric Riquier)氏が顔を出してインタビューに答えた。「精肉店に権利などない。動物の命を考えろ。虐待をやめさせる。そのためなら手段を選ばない」

番組スタッフはこう尋ねた。「ぼくは肉も魚も食べるんですけど、ぼくの人格をすべて否定しますか」

リキエ氏「あんたの体は動物の墓場だ。自分のやっていることを自覚しろ」

まったく酷い話である。まともな人たちではない。普通のヴィーガンが可哀想になる。肉を食べるか食べないかは自由に選択していいのだ。そして自分と違う生き方や選択も尊重されるべき。一方的に押し付けられる筋合いはないし、第一暴力や脅迫は立派な犯罪だ。

 

さて、前回と今回ここまで「未来世紀ジパング」の番組内容を振りかえってきたが、ここで終わりにする。下は番組収録のあとドイツに里帰りしたマライさんが、大豆素材のソーセージをスーパーで見つけ、写真を撮ってくれている。 

 

和解は無理そう?

朝はたいていテレビでフランス2(NHKBS)を見ているのだが、この種の暴力の報道には辟易し、朝からすご~くいやな気分になる。店の前に血のりをまいたり、動物の死骸に似せた人形を乗せたテーブルで食事をするパフォーマンスなど。通りかかった家族連れが驚き、顔をしかめる。肉屋・肉食を動物虐待や残虐行為と結びつけ、ことさらに強調してショックを与え、肉食をやめさせようとしているわけだ。小さな子どもはトラウマになるかもしれない。

こちらAFPの昨年秋の記事。

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http://www.afpbb.com/articles/-/3191492

過激派ヴィーガンの嫌がらせ被害に苦しむ、全国1万8000店加盟の「フランス食肉専門店・食肉ハムソーセージ専門店・総菜店連盟」が昨年6月、緊急事態だと表明、政府に保護を要請した。しかし「家畜飼養や食肉処理で生計を立てている人々と、動物の大量殺害を止めさせようと活動している人々の間で、衝突が発生するリスクは高まりつつあるようだ」と記事は締めくくられ、悲観的である。

こうした過激派がいるのはフランスに限らない。スウェーデン在住の方もこう書いている。

 さらに驚いたことに「攻撃を加えていた動物愛護団体が、企業の資金援助を受けていたことがわかった。判明した企業は、Ica、Axfoodといった食品関連会社」などとツイートは続いている。

 

オリンピックを控え 日本では?

さて話を戻し、日本もベジタリアンが安心して食事のできる店、メニューを揃える必要があるだろう。 地域で店のマップを作り、無料で配布するほか、コンビニなどの食品や弁当にも表示があったらいい。

そこで参考になるのが、2年くらい前にテレビで見た岐阜県高山市にあるお店、平安楽さんだ。きっとみなさんもいろいろな報道でご存じかもしれない。

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外国人に人気の日本のレストラン ランキング 2016

世界最大の口コミサイト「トリップアドバイザー」が発表した、2016年のランキング堂々の一位である。お値段も千円以下の品が並ぶ庶民的なお店らしい。ベジタリアンと何の関係があるのと思うかもしれない。

実はこのお店、ベジタリアン、ビーガンに合わせた食事をその場で作ってくれるのだ。ハラール対応のメニューもあり、小麦粉がダメな人のために米粉のラーメンまで作る。英語表記のメニューだけでなく、女将さんが英語で料理の説明をしてくれたり、旅の相談にものってくれるという。

Matt Kさんの口コミ:「ベジタリアンもベジタリアンでない食事も両方すばらしい。日本ではなかなか見つけられないのだが、マッシュルームアレルギーのために調理してくれた。料理は美味しかったし、手ごろな価格だった。」外国人に人気の日本のレストラン ランキング 2016 |

口コミも英語・中国語・スペイン・仏・イタリアなどが多い。高評価の理由をひとことでまとめると、「徹頭徹尾 客の要望に応える」ではないだろうか。よく私たちが勘違いしやすい日本流のおもてなしは、ともすると押しつけがましく,相手が求めるものと隔たりのあることが多い。

今回このテレビ番組を見て、 菜食主義からおもてなしまで、多くを学び、考えるヒントをもらったと思う。

菜食主義のテーマは終わります。

 

前の記事

cenecio.hatenablog.com

 

 参考:去年のツイート

 

次の記事(コメントへのお返事)

cenecio.hatenablog.com

 

菜食主義の最前線 ベジタリアン争奪戦(#未来世紀ジパング-1-) 

菜食主義の文化(ベジタリアン / ヴィーガン)

先日、テレビ東京の「未来世紀ジパング」https://www.tv-tokyo.co.jp/zipangu/で、海外の菜食主義を特集していて、おもしろかったので簡単に書いておこう。めったにテレビは見ないのだが、マライ・メントラインさんが出るということで、800万人を超えるといわれているドイツのベジタリアン・ベジ事情を知りたいと思ったのだ。というのも私が習ったドイツ人の先生はほぼ全員ベジタリアン。一人はヴィーガンで日本人の妻も同じく。ヴィーガンというのは動物由来のもの、卵や牛乳、チーズなども口にしない人だ。ヴィーガンのなかには、日用品に皮革やダウン(羽毛)など動物由来の製品を使わない人も多い。私の先生は柔らかい革のジャンパーを着て毛糸の帽子をかぶっていた。もしかして合成皮革だった?もしかして羊毛でなく̠アクリルだった?今となればそうだったのかも、と思っている。

10年前と比べて、身近でも肉食をやめ、菜食生活に移った人はぐんと増えた。私自身は肉は鶏肉を中心に食べるが、量は減らそうと努めている。魚介類は大好き。でも世の動きは肌感覚でびんびん感じている。

ヨーロッパの街を歩けば、レストランなど外食産業で、ベジタリアン・ヴィーガンメニューは今や当たり前。しかもバラエティーに富んでいる。

ファーストフード店でも同じ。ケンタッキー・フライド・チキンやマクドナルド、あるいはドイツのソーセージ屋台やケバブ屋さんにだってその波は押し寄せている。メニューの写真は一見普通のハンバーガー肉、あるいはチキンなのだが、実はホンモノに似せたフェイク肉なのだった。

菜食ブームで肉離れが進んだが、それが何か?と言わんばかりに、豚肉のソーセージを作るドイツの会社では、気を落とすどころか肉の代用品を次々と開発している。

刺身は無理だろうって?全然問題ない。フェイクのサーモンやマグロには、ご丁寧にサシまで入っている。(どうやって入れるんだろうね、企業秘密だそうです)

https://www.derestaurantkrant.nl/library/page/1538378504.9298.jpg

Vegan Sashimi op de menukaart van Vegan Junk Food Bar

 

キノコ、珈琲かす、リンゴの皮などを利用した製品

食べ物だけじゃない。あの番組を見た人はきっと私と同じように驚いたと思うが、日用の製品の素材、いや素材のアイディアがこんなにもあるのかと。

上の写真の茶色い靴は アマドゥ(Amadou)というキノコを使っている。日本ではツリガネダケ(ホクチタケ)と呼ばれている。(アマドゥ (キノコ) - Wikipedia

https://upload.wikimedia.org/wikipedia/commons/thumb/5/5f/Fomes_fomentarius.jpg/300px-Fomes_fomentarius.jpg

↑この固い外皮のしたに、柔らかくて伸縮する(私が番組で見た印象だと)ゴムとかフェルトのような素材が入っている。

https://upload.wikimedia.org/wikipedia/commons/thumb/e/ef/Kappe_aus_Zunderschwamm.jpg/220px-Kappe_aus_Zunderschwamm.jpg

(アマドゥから作られたルーマニア帽。写真:ウィキペディア)

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https://www.amadouleather.com/

アマドゥ・レザーと呼ばれ、これで作る靴や財布、スリッパはルーマニアの特産品だという。

他にも、珈琲のかすやトウモロコシなどが靴に使用されていることに目をぱちくりさせていると、今度はきれいな色の赤いバッグ、黄色いバッグがスタジオに登場。リンゴの皮を使っていると聞かされ、にわかには信じられない、ただただ驚くばかりだった。

こうして皮革の代用を懸命に探すのは、人間のエゴで動物を苦しめ、搾取してはならないという「倫理」から来ており、エシカルファッション (ETHICAL FASHION)という運動も広がっている。

先日もよんばばさんのブログで意見交換したのだが、皮革製品への愛着というものがある。長く使い込んだ革製品は、体の一部のようなかけがえのない存在である。少々値がはっても、手入れして長く使うのが基本だと思っているから、質のよい靴やバッグを選んでいるのだが…。羊毛に至っては、アクリルの毛糸は体に悪いから毛100%で良質のものを買うように、いつも母に言われていたものだ。そうすれば解いて編みなおすこともできる。

しかし、これからはしだいに価値観も変わっていくのだろうか。

 

ベジタリアン争奪戦へ 世界市場5兆円

菜食を選ぶ人には様々な理由がある。宗教や健康志向や動物愛護(食べるだけでなく、動物実験含め)の観点から。また環境問題への配慮から。よく挙げられる例のひとつに、牛など家畜のゲップに含まれるメタンガスが温暖化につながるから肉食(特に牛肉)を激しくターゲットにする人もいる。(現在はメタンガス排出を抑える餌があるそうだが)

参考: 

natgeo.nikkeibp.co.jp

 

世界でどのくらい菜食主義の人がいるのか。こちらのサイトの調査によれば

https://frembassy.jp/news-post/vegetarianmarket/

https://frembassy.jp/wordpress/wp-content/uploads/2018/04/veg1.png

インドは宗教的な理由から、欧米諸国は大雑把にいうと動物愛護・環境問題から、 という人が多い。台湾は「素食」という菜食文化が根付いている。日本は4.5%程度だとか。

代用フードはどうやって作るのだろう。さきほどの写真のフェイク・カマンベールチーズは、生カシューナッツを使っているそうだ。

材料として最もよく使われるのは大豆である。我が家でも生クリームを豆乳に代えることはよくする。ほかには、コンニャク、タピオカ、海藻等だそうである。

台湾素食には伝統的な技と工夫が詰まっているという。残念ながら私は台湾に行ったことがない。でも良く知る人たちは「ベジタリアンでない人にも十分に楽しめるおいしさだ」という。

 

ベジ寿司

日本の寿司はどうするだろう。ヴィーガンだと河童巻きくらいしか食べられないはずだ。

すると番組には、野菜で作る寿司をケータリングする日本の若者が登場。ケイタさん(@nakagawakeita中川啓太)は自身で考案したベジ寿司https://vegesushi.eu/をパリを中心に展開している。本も出しているので表紙を見てみよう。寿司のイメージはほとんどない。

https://d2l930y2yx77uc.cloudfront.net/production/uploads/images/8890530/picture_pc_26e0bb37785e535dc59fbcb9f29c5773.jpg

箱を使った押し寿司で、ケーキのように美しく華やかだ。味にうるさいパリのベジタリアンの間で人気上昇、というのはちょっと前から聞こえていた。

youtubeで2016年夏のイベントの様子を見られるので、ちょっと切り抜いてみた。

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https://www.youtube.com/watch?time_continue=106&v=82WxXUJ6AvA

寿司アート集団 ホクサイキッチンhoxai kitchen が、パリ・ブローニュの森にある日本家屋のイベントで、VEGESUSHIの披露をしたということである。

去年の11月には、恵比寿でキッチンカー。(作っているのがケイタさん)

http://hoxai.com/wp-content/uploads/2018/11/DSC05609-1.jpg

VEGESUSHIキッチンカー、1日目の様子。(11日もあるよ) – hoxaigraphics

「未来世紀ジパング」の番組では、ベジタリアンのお宅に行き、集まった招待客のためにベジ寿司を用意する過程を取材している。

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https://tver.jp/episode/54216163

古代米やビーツできれいなピンクに染めたすし飯に、さまざまな野菜をアレンジしている。一口食べたあとの客の反応、パッと顔が輝き、幸せそうに感想を述べるようすがベジ寿司のクォリティを物語っている。

客の一人がケイタさんにお願いがあるという。今度結婚するのだが、彼もベジタリアンなので披露宴で料理を作ってほしいとのこと。

それにしてもケイタさんは大学は彫刻科だったそう。引き出しの多いおもしろいかたで、京都にお住まいだそうである。

 

今日はここまで。

また次回にね~!

🌸おまけ 

所ジョージさんの番組からポイントもらった話 &巨大ロボットへの半端ない愛『鋼鉄ジーグ』 

ブログを始めて3年が過ぎた。 

前々回エントリ育児は男性の権利、育児は人間の仕事。ジェンダーやセクシズムについて考える-4-(コメントにお答えして)の続きになる。

当ブログは、ベルギー滞在中の連絡用に始めたから、当初は半年くらいでやめようと思っていた。だが、中断をはさみながらまだ続いている。

似た時期に始めたさぴこさん  さぴこ (id:sapic) は先日1000回を達成したそうだ。すなわち毎日欠かさず更新してらしたから。私から見たらもう超人というほかない。

私も3年が過ぎたのでおもしろかったことを幾つか書いてみよう。

 

1.所ジョージさんの番組から500ポイントもらった。

コメントやブックマークだけでなく、はてなさんを通じてEメールをもらう、そんなこともあるんですね。みなさんはもう経験済みなことかもしれないが。TBS「所さんお届けモノです!」のスタッフさんから、東京藝祭の写真を使わせてほしいと連絡があった。もちろんOK。お礼にと、はてなポイント500点を頂いたので早速スターに交換し、みなさんのブログ記事に付けて楽しんだ。TBSさんありがとう!

 

2.『この世界の片隅に』に続編があるかも…を教えてくれた人。

片渕監督の『この世界の片隅に』はもう多くのかたがご覧になったと思う。私がこの映画に興味を持ったのは、『この世界の片隅に』原作漫画の仏語翻訳が売られているのを見て、ああ、こんなよさそうな作品があるのに私はなんも知らないな、せめてこの漫画は読もう、と思ったことだ。

映画は封切り後すぐに行った。池袋の大きなホールに40~50人程度という入りにショックを受け、応援団になるぞ~と勝手に決意し、簡単な紹介記事を書いた。タンポポの綿毛の飛んだところ『この世界の片隅に』熱烈応援中 追記:アヌシー国際アニメ映画祭でも受賞 - 

片渕監督がすぐにツイートしてくれ、数カ月あとでもう一度ツイートしてくださった。エントリの中で、 片渕監督への不満をひとつ述べた。こうのさんの原作では大きな比重を占める遊郭のりん、すずの唯一の友人と言ってよい。また複雑な感情も抱いている。そんな重要な登場人物なのに、映画にはほとんど出てこないのだ。

すると LLさんという方からこんなコメントをいただいた。

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 片渕監督の考えを簡潔にまとめてくださっている。「完全版」あるいは「続編」のことも匂わせている。温かく、示唆に富むコメントだ。

そしてその後、LLさんのおっしゃった通りになるのだから驚いた。こちら『この世界の(さらにいくつもの)片隅に』は2019年中には公開されるという。昨年暮れの予定が延びているとのこと。

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この世界の(さらにいくつもの)片隅に【映画】

新しい場面を付け加え、「さらにいくつもの人生」そして「すずたちの心の奥底で揺れ動く複雑な想い」が描かれるという。楽しみだ。

 

3.過去12カ月で最も読まれた記事(*Googleアナリティクスの分析による)

去年は9月までブログはサボっていた。ずっと書いてないと重い腰はなかなか上がらないものだ。みなさんだってきっとそうだと思う。

やる気になったきっかけは9月8日の東京藝祭。毎年これについて、写真と共になにかしら書いているし、おすすめ記事に取り上げられたり、東京藝大のサイトにも載せてくださったこともあるので「じゃあ、今年も書こうか」という気になった。

さて、無料のサイトGoogleアナリティクスで、過去12カ月によく読まれた記事を調べてみた。

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このレポートは 2019/01/30 13:08:11 に作成されました

一番多かったのは、やはりクイーン映画大ヒットを反映して

1位 22774Queenフレディ・マーキュリーの日本愛やボディガード氏の話など フレディ-2-追記:クイーン阪神淡路被災地へメッセージ 

5位 9969。映画『ボヘミアン・ラプソディ』観た日は祝祭日。フレディ-1-

そして

2位 10972.小平奈緒選手 オランダ語インタビュー(平昌五輪)

私は小平奈緒さんのファン^^ 実は元は、別ブログ(倉庫のようなもの)に書いた、読者を想定していないメモ書きである。だが最初の1~2時間で数百のアクセスがあったため、メモを記事化した。その後こちらに移した。

3位 10430高輪ゲートウェイはイヤだ &グッチのダサ可愛セーターが衝撃。 

4位 10295マリアンヌの壊れた顔も象徴 &北海道の女子高生がフランスで主役だった話 黄色ベスト-1- - 

6位 8713リツドアン 堂安 律選手のことを中心に-1- 追記:10月18日(酒井宏樹&南野拓実選手) 

 7位は次で。

ロボット

4.かつての少年たち 巨大ロボットへの半端ない愛

過去12カ月ランキングの7位は8359PV。2016年9月に書いたフランスで視聴率100%だった日本アニメ・永井豪 追記:2017マジンガーZ&嶋星光壱 

 この記事はこれまでに合計4万くらいのPVがある。前回もちらと触れたが、漫画やアニメに興味のない私が、マミーさんの何気ないコメントに刺激され、一生懸命調べてマミーさんに報告するつもりで書いた記事である。永井豪原作のUFOロボ グレンダイザーが、欧州とアラブ諸国で絶大な人気を誇るという内容だ。2016~17年はすごいアクセスがあった。検索で入ってくる人のほか、まとめのサイト、どなたかのブログを通しても来る。「リンクさせてもらったが不都合なら言ってくれ」的なコメントも頂いたことがある。別にリンクフリーなので断らなくて大丈夫。

巨大ロボなんてま~ったく興味がなかった。自分がラップを歌っていたりスケボーをやったりする姿が想像できないと同じくらい、関係ない世界だと思っていた。

しかしあの記事を書いて以来、そして大きな反響を見てからは、いつも心の隅っこに置いて情報を拾ってきた。男性のみなさんが寄せる巨大ロボへの熱い想い。少年時代の憧憬?心のふるさとのようなもの?

去年わっと (id:watto) さんのエントリ巨大ロボットを操縦する方法あれこれまたは主人公に感情移入させる方法について - しいたげられたしいたけも楽しく読ませていただいた。みんな語りたいんだね。そんな共通の居場所があるってすばらしい。

そしてヨーロッパの、いまやおっさん年齢の人たちも同じ情熱を分け合っている。さきに挙げた永井豪の『UFOロボ グレンダイザー』がフランス人の心の友だとしたら、イタリア人は鋼鉄ジーグ鋼鉄ジーグ - Wikipedia、やはり永井豪のアニメ(1975年)だ。イタリアでは1979年にテレビ放映され、多くの少年たちがジークの洗礼を受け、虜になったという。

さらに、その鋼鉄ジーグ愛が嵩じて、映画を作ってしまったイタリア人もいる。実写版という意味ではない。イタリアとしては珍しいSFアクションものである。

”Lo chiamavano Jeeg Robot (2015)” 

邦題:『皆はこう呼んだ、鋼鉄ジーグ(2017年公開)

http://cinema.u-cs.jp/wp-content/uploads/2016/12/Jeeg_poster-725x1024.jpg

(すみません。見てもいないのに図々しく語ります)

鋼鉄ジーグファンのガブリエーレ・マイネッティ監督が、原作アニメに捧げたオマージュのような映画。イタリアのアカデミー賞にあたるダヴィッド・ディ・ドナテッロ賞など、7部門を受賞した。評価も高く興行的にも成功したという。

おもしろいことにイタリア版ポスターにも ”皆はこう呼んだ「鋼鉄ジーグ」”という日本語がそのまま書かれている。

www.youtube.com

映画は、荒廃したローマの街が舞台で、実際に劣悪な環境と言われる”Tor Bella Monaca”地区(よく旅行者に避けるよう注意勧告が出ている所)で撮影が行われた。泥棒だった孤独な男エンツォが偶然に超人的な力を得て、次第に正義に目覚めていくストーリーだが、鍵となるのが殺害された兄貴分の娘アレッシア。彼女はアニメ「鋼鉄ジーグ」の熱狂的ファンであり、パワーを得たエンツォを、アニメの主人公司馬 宙(しば ひろし)と同一視するようになる。・・・

マイネッティ監督はインタビューなどでこう話している。

日本のアニメを子供のころから見ていて、自分たちのものと感じていました。いま40歳の私たちの世代がスーパーヒーローとして思い浮かべるのは、バットマンスパイダーマンではなく、マジンガーZ、グレンダイザー、ジーグでした・・・(略)

グレンダイザーやマジンガーZは、人間が操作しているが、ジーグはメカの頭に操縦席があり、ジーグにパーツを投げてくれる女性がいる。女性に助けられてジーグになる。女性の果たす役割が重要であり、彼女がいなければヒーローになれなかった。・・・(略)

「女性に助けられてジーグになる。女性の果たす役割が重要…」実にイタリアらしい。

また主人公を演じる俳優クラウディオ・サンタマリア自身もジーグが好きで、超合金の人形を持っていたと話している。http://eigamagazine.work/archives/5042949.html

 

去年の秋、twitterのタイムラインに流れてきた画像に驚いた。ローマの集合住宅の壁に描かれた「鋼鉄ジーグ」。卯月 美和(うづき みわ)の悲し気な顔が強い印象を与える。イタリア人の美和への深い愛。この絵の主役は美和だ。

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ちょっと引いた、別の写真も見つけた。美和の目がどこまでも訴えかけてくる。

原作に忠実な色使いがいい。いったい誰が描いたんだろう。

https://www.repstatic.it/content/localirep/img/rep-roma/2018/11/16/150435071-f0b8d6ad-0ba0-44f2-a14e-340b2751d490.jpg

Roma, l'eroina Miwa sbarca a Tor Bella Monaca; terminato il murale di Flavio Solo - 1 di 1 - Roma - Repubblica.it

調べてみるとフラヴィオ・ソロ(Flavio Solo)https://www.facebook.com/h4solo/というストリートアートを主にやる画家の作品で、ソロ氏はかなり有名な人なんだとか。↓

https://ottobre2017.romics.it/sites/default/files/solo_0.jpg

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https://www.youtube.com/watch?v=XSQLydd0FN0

ほかにもyoutubeから拾ったが、こんな作品も↑。

ところでみなさん、不思議に思わないだろうか。ジーク人気、アニメオタクが多い、と言っても、どうして公共のものにアニメの絵が描かれているんだろう。許可などは?費用もかかるだろうに。

実はさきほどローマの危険な地域(Tor Bella Monaca地区)で映画を撮影…云々と書いたが、絵はこの地域の壁に描かれている。地域の再生やイメージの向上に役立てようと行政が考え、ストリートアートを推奨しているのだ。映画撮影がきっかけとなり、この地域が少しでも住みやすくなったらいいな。みんな、美和に見つめられに来ればいいのに。

今日は終わります。

またね~!

 

 🌸参考

鋼鉄ジーグ[opening】鋼鉄ジーグのうた & 鋼鉄ジーグ[ending] ひろしのテーマ 映像編集

www.youtube.com

②主題歌をイタリア語でカバーするバンド。

一見の価値あり!イタリア人が好きになる。

www.youtube.com

高橋留美子さんグランプリ受賞㊗&松本大洋氏のポスターが人気!追記:バットモービルも到着

今朝はこのニュースに大喜び!

高橋留美子さんが、アングレーム国際漫画祭でグランプリにノミネートされていたのだが、見事グランプリを受賞した。この漫画祭は欧州最大のもので今日24日から27日まで開催される。2015年の大友克洋氏に次いで最高の賞に輝いた。

アングレームの公式サイトからのお知らせは、顔写真じゃなくイラストなのが笑える。

https://pbs.twimg.com/media/DxnT7FDX4AErR0m.jpg:large

 

今朝の共同通信の記事 

高橋留美子さん仏でグランプリに アングレーム漫画祭 - 共同通信 | This Kiji

引用

【パリ共同】フランス南西部アングレームで開かれる欧州最大規模の漫画の祭典、第46回アングレーム国際漫画祭は23日、漫画の発展に大きく貢献した作家に授与する功労賞「グランプリ」に「うる星やつら」や「めぞん一刻」などの作品で知られる高橋留美子さん(61)が選ばれたと発表した。

 漫画祭の主催者は高橋さんの作風について「出るくいは打たれる(日本)社会で、アウトサイダーや変人を前面に押し出し、彼らにもチャンスがあることを示そうとこだわった」と指摘。多くの作品はコメディーと見せかけて、極めて進歩主義的だと評価した。

 

ノミネートは3人だった。こちら↓ ちょっとドキドキしてたけど今年はイケる気がしていた。だから本当に嬉しい!

f:id:cenecio:20190118104205p:plain 高橋さん応援の人の熱いツイート

ちょっと熱くなっているのは、私の考え過ぎかもしれないが、過去記事でも触れた「批判」が関係している。

マンガの仏語訳 反転した世界を楽しむ セーラームーン&紅の豚&らんま1/2 ロマン・ユゴー - 

文化侵略からオタク文化の受容まで-3- 日本アニメ育ちが吹き込む新風キューン(Ahmed Agne)追記:Trappesイスラム化 - 

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 (↑うちにある3冊。『らんま1/2』仏版は1994年発行)

すなわち「ノミネートはどうして男性ばかり?」という批判。欧州でも日本でも優れた女性作家はたくさんいるのに。日本は特に宝庫だと思う。

2年前はリヤド・サトゥフ(Riad Sattouf、 1978年生まれ、フランス)という漫画家が ”自分がノミネートされているようだが、自分の代わりに高橋留美子やほかの女性作家を入れてくれ”とFACEBOOKに書いて話題を呼んだ。

 

愛される高橋留美子作品

1990年代半ばに滞在していたフランスで、当時小学生だった子どもたちと一緒に、日本の漫画・アニメを「学習」した私である。自分の子ども時代は漫画やアニメがほぼ禁止だったので。

ナビゲーターは、TVのドロテクラブフランスの子どもたちを日本アニメオタクにした番組 「ドロテ・クラブ」Club Dorothée -2- - 

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らんま1/2』の人気はすごかった。前の記事にも書いたのだが、高橋留美子の作品は日本文化への導き手となり、多くの若いフランス人に日本への興味を募らせることになった。

作品には、古い日本家屋に住むクセのある変な人たちがたくさん登場する。日本の家具や食事や学校生活、独特なルーティーンなどは珍しく刺激的だったろう。しかしギャグや笑い、ドタバタなどはむしろ普遍的だし、ストーリーは予想もつかない展開を見せるので読みだしたらやめられない。

高橋留美子というよき先生から多くを学び、「予習」をばっちり済ませた若いフランス人は、日本へ来て困ることはあまりなかったと言っていた。それどころか

「朝、長ぼうきで外を掃除しないんですか」とか

「学校の”下駄箱”、見たいです。ラブレター入れたことありますか」などと質問を浴びせられ、受け入れ先の家庭はさぞかし困っただろうなあ。

 

ベルギー仏語紙

「マンガ家ルミコ・タカハシは グランプリを受賞した史上二人目の女性作家(*)

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一人目は2000年の受賞者フロランス・セスタックFlorence Cestac - Wikipedia

《参考》フランス リベラシオン紙 良い記事

next.liberation.fr

楽しいツイート。愛に溢れている。

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https://twitter.com/_comixtrip/status/1088147910620078083

高橋作品の連載(日本)とフランスでの出版年がわかるリスト。

BIBLIOGRAPHIE :

1978 - 1987 : Urusei Yatsura (うる星やつら) (34 tomes)
Dernière parution française : Glénat 2005-2008

1980 - 1986 : Maison Ikkoku (めぞん一刻) (15 tomes)
Dernière parution française : Tonkam/Delcourt 2007-2009

1984 - 1994 : Mermaid Forest (人魚の森) (3 tomes)
Dernière parution française Glénat : 1998

1987 - 1996 : Ranma 1/2 (らんま1/2) (38 tomes)
Dernière parution française Glénat : 2017-en cours

1987 – 2007 : One-Pound Gospel (1ポンドの福音) (4 tomes)
Pas de parution française

1994 : La tragédie de P (Pの悲劇) (1 tome)
Dernière parution française Tonkam : 2004

1996 – 2008 : Inu-Yasha (犬夜叉) (56 tomes)
Dernière parution française : Kana 2002-2014

1999 : Le chien de mon patron (専務の犬) (1 tome)
Dernière parution française : Tonkam 2004

2005 : Un bouquet de fleurs rouges (赤い花束) (1 tome)
Dernière parution française : Tonkam 2007

2009 – 2017 : Rinne (境界のRINNE) (40 tomes)
Dernière parution française : Kazé 2010-en cours

Recueil d’histoires courtes :
Rumic World 1 or W, Delcourt 2016 (1 tome)

www.bdangouleme.com

 

松本大洋さんのポスター

私は『Sunny』しか読んだことがなく、『ピンポン』は映画しか知らないのだが、とにかくポスターがすばらしいと思っている。今年、アングレーム国際漫画フェスティバルは三種類(三人の作家さん)のポスターを用意した。松本さんのはこちら。

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これはカタログの表紙用。

https://pbs.twimg.com/media/DqcHzVqXQAAhU5z.jpg:large

 

パリの地下鉄プラットフォーム。 

今日はここまで。取り急ぎまとめました。みなさんも何か思い出があったら書いてくださいね。また次回!

🌸追記:アングレームバットモービルが到着した。誰でもここで写真を撮れるらしい。我が家は夫と息子が、1995年のパリの自動車ショーへ、わざわざこれを見にいっている。

松本さんも到着!

育児は男性の権利、育児は人間の仕事。ジェンダーやセクシズムについて考える-4-(コメントにお答えして)

いつもみなさんから貴重な意見・コメントをいただいて感謝している。

私ははてなでブログを書いているのだが、分析サイトの数字を信じれば、当ベルギーブログの訪問者は95%以上がはてな以外の人である。つまり単なる検索で入ってくる人のほか、おすすめ記事や他ブログに掲載されたもの、スマートニュースや まとめサイトからというのが圧倒的に多いらしい。

さらに前にもお話したが、映画『この世界の片隅に』(記事3本)をツイートしてくださった片渕須直監督、『ダンケルク』の記事2本も映画関係者のツイッターで訪問者が増え、それぞれ1万弱くらいだったと思う。ツイッターの威力は凄い。

ブログについての考察もいつか書いてみようと思っているが、ともあれコメントを下さるみなさま(のほとんど)は「はてな」の人たちである。この一点で私たちはお互いに繋がっている。

コメントの恩恵は計り知れない。もうどんなに感謝していることか。得る情報ばかりか新しい視点とか思いがけないアプローチなどを授けられるのだから。いや、みなさんにはわかるまい。大袈裟だと思われるかもしれないが、いただいたコメントをきっかけに書いた記事はいくつもあるのだ。そのうちの一つなんて、元々自分にはまるで興味のないことだったのに一生懸命調べて書いたら4万アクセスを超えるオバケ記事になったものまである。(マミーさんのおかげなんですけどね^^その話はいずれ。)

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(写真:2016年1月アントウェルペン 日曜の仮設スケートリンク。お父さんたちでいっぱい) 

 話は戻り「ジェンダーやセクシズムについて考える」である。「まだやるの?」と呆れると思うけれど私はこのテーマであと5本くらいのエントリは難なく書ける。が、今日はみなさまのコメントから考えてみたい。

 

男性トイレにもオムツ替え台がある時代 ジェンダーやセクシズムについて考える-1-

ribbentrop189 「自分の子ども育ててイクメンって何ですか。当たり前のことじゃないですか。気持ち悪い言葉イクメンて(byハライチ岩井勇気)」マジ歌で歌う前に言ってたんだけど、これに激しく共感したんだよねー 

ribbentrop189さんのこの3行は深い。岩井勇気さんって知らなかったんだけど、そんなカッコいい発言をする人なの?教えてくれてありがとうございます。若い人のてらいのないスタンスに、明るい未来を覗いたような感じがする。

srng その辺の田舎の道の駅の男性トイレにオムツ台普通にあったなあ(そもそも道の駅は田舎に多い)。感覚的には半数、なくても多目的トイレはほぼ完備でそっちにはあるんじゃないかな。道の駅スタンプラリー民並感 

BUNTEN 最近街中で子連れのお父さん(お母さんは伴っていない)を見かけることが増えた気がしている。社会

田舎の道の駅には普通にある!多目的トイレはほぼ完備!子連れのお父さんは増えている⁉…わあ、それを聞くとますます嬉しくなる。環境が整っていけば育児する男性たちも不便や疎外感が減る。私たちはますます応援していけばいい。

yonnbaba そうそう、男性の育児参加は「手伝い」じゃなくて、男性の「権利」。私は自分の子育て中から、なぜ男性は、こんなに楽しく大切なことに関わる時間が欲しいと主張しないのか不思議だった。 

mamichansan 育児は「権利」。でも日本では育児を「義務」と捉える人が多い…と最近「ミステリと言う勿れ」という漫画で語られてました。漫画だけどすごい説得力でした。オススメ。 

育児は権利。 これにつきる。あとは環境だな、育休含む種々のケア、支援である。

ここでガツンと打ちのめされるような、人類史上もっとも進歩的と言われているスウェーデンの事情を覗いてみよう。「クーリエジャポン」に英国人ジャーナリストが寄せた記事。https://courrier.jp/news/archives/62207/

このイギリス人男性は、7年前に6カ月間専業主夫として第一子の子育てをしたのだが、それは周りから見下されて心を打ち砕かれる惨めな体験だったと語る。そこでスウェーデンに視察に向かうのである。

今や9割の男性が育休をとるスウェーデンでも、かつては専業主夫で子どもの世話をしていると、Tv番組などで女々しい男などとばかにされたり、変人扱いされていた時期もあったそうだ。それが「9カ月の育休をとった」というと「たったの9カ月?」と言われるほどの先進国家になるまでに、約40年の月日と巨額な公的資金が必要だったという。

政府の顧問を務めるプランティン教授が言う。

「これはスウェーデン経済の生き残りをかけたものでした。スウェーデンは小国です。国が旧来型の経済から情報経済へと移行するなか、優秀な働き手が仕事を続けられるようにすることが合理的でした。優秀な働き手には女性が多いですからね」

記事によると、スウェーデンでは、父親も母親も同性のカップルでも、家庭の事情に合わせて子育てができるように両親合わせて480日取得できるという。

母親だけがとれる育休が90日、父親だけがとれるのが90日、残りは分け合うことができる。480日のうち390日分に対して、給与の約80%相当額が支払われる仕組み。ただし上限は約43万円。さらに驚くのは、無職の人もこの育休制度を利用できるということだ。

 

これに対し、イギリスでは父親の育休は2週間だけ、給付されるのは週に約2万円と嘆いていた。その嘆きはよくわかる。日本だって同じ。だから一方的に父親に「子育てをしろ」というのは無理な話である。社会が変わり、支援策がないことには。そして変革はすぐに起こらず、意識も少しずつ時間をかけて変わっていくのだろう。若い人たちには大いに期待している。育児は権利。

https://courrier.jp/media/2017/12/21011832/GettyImages-481863917.jpg

Photo: Christian Science Monitor / Getty Images

 

お子さんをセクシストにしないための絵本選び ジェンダーやセクシズムについて考える-2- 

watto しかし日本の「子どもの日」が、女の子のお祝いの桃の節句ではなく男の子のお祝いの端午の節句に設定されていることに関しても、炎上の余地ありそうだなぁ。間を取って4月4日にすればいいというのが昔からの持論。

watto さんの「4月4日」案はおもしろい。それは一度も考えたことがなかったな。というより、こうした視点がそもそも私にはなかった。他の方のコメントにもあったが、「雛祭りを失くせ」という議論でないことは再度お断りしておく。外国にお住いの人たちの話だ。

で、watto さん、台湾は4月4日だそうだ。シンガポール10月1日、タイ1月の第2土曜など。どこの国にもそれぞれ「子どもの日」があって休日だったりそうでなかったり。また国連の「世界子どもの日」(6月1日)に合わせている国もある。その国の祝い方でよいのだ。

まあ、日本の桃の節句はなくならないと思う。でも50年後は、と言われればそれはわからない。

ただ個人的には、ひな祭りの食べ物にはかなりドキリとする意味や伝説(中国由来や日本昔話)があって、聞いたあとでショックが長く残ったのも確かである。貞節と美徳の象徴ハマグリとか、甘酒の前身である桃香とか…。マジで~!というレベルなのでここには書かない。

ネズミの婿選びがなぜセクシズムと関係あるのかという問いだが、フランスのリストを作った人たちは結婚において、現在のフランスにも残る家制度や格式、階級社会(もしかして政略結婚も含む?)などを絡めているかもしれないと思っている。10年ちょっと前のフランスでの話だが、自分の娘を嫁にやるのは、5歳年上で大卒以上で、収入がこれこれで、家柄は同じくらいの相手が最低条件、と言ったお父さんを知っている。私は腰をぬかすほど驚いたものだ。

そもそもこの昔話だって別の意味もある。つまりネズミはネズミと結婚する。身分相応がよろしい。それが幸せへの道だという教訓である。

 

男らしさとは? マッチョ社会を揺さぶる男性用カミソリのCM ジェンダーやセクシズムについて考える-3-

bg4kids 「立場が人を育てる」などいいますが、頭の悪い役割につけられると、本当にその役割のようになってしまうのが怖いところ。「生物学的に向いていない」とされることも、多くは社会で決められたロールのせいなのかも。 

「社会で決められたロール」まさにおっしゃるとおり。力仕事ならともかく、生物学的に不向きなんてことはないのに。

去年大きく日本社会を揺さぶった医大の入試差別はこれである。たとえば中国や欧州の国々では、統計が示す通り、女性医師・医学生の数は男性よりも多い。7割近くを女性が占める国だっていくつもある。

日本でも公正な入試や採用をしていれば、優秀な女性がもっと活躍しているはずなのだ。結婚・出産したら働き続けることができない仕組みを作っているのは社会なのだ。

 

ここは長くなりそうなので一旦終わりにしますね。それからコメントは少ししか取り上げられなかったこと、どうかお許しください。

みなさん、いつもありがとうございます。

また続きます。

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(写真:ピンタレスト画像)

男らしさとは? マッチョ社会を揺さぶる男性用カミソリのCM ジェンダーやセクシズムについて考える-3-

ジレットGillette)のCM

ジレットのカミソリの新しいCMが先週から大きな話題だ。CMといっても商品の宣伝をするわけではない。制作側の意図は明白、MeTooTIME'S UP運動を背景に「男らしさって?」と、一石を投じるミニムービーである。

最近は大統領やその支持者のせいで、過剰な男性優位のイメージ、マッチョ社会の側面が押し出されているアメリカ。そんな中で、ジレットさん、そうきましたか!と感心した。今日は「男らしさ」「マチズモ」について考えてみたいと思う。

ビデオは短いのでぜひご覧ください。“We Believe: The Best Men Can Be | Gillette (Short Film)”

 

前半はこれまでの伝統的な(?)社会が描かれる。セクハラまがいの行為をTV番組で見てゲラゲラ笑う男たち。男児が取っ組み合いのけんかをしてもイジメをしても、止めるどころか、強くタフな男を称賛する風潮のもと公認されている。

いや、そんなのおかしい。昔ながらの「男らしさ」を疑問視する男たちが正しい行いをしようと立ち上がる。何よりもいいのは最後のシーン、そうした振る舞いを小さな子どもたちがちゃんとじっと見ているところ。ここで見ている子どもたちは明日の男性たちなのだ。↓この眼差しで。(ビデオはツイッター内でご覧ください)

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動画は2千万回以上も再生され、熱い支持と賛同を得る一方、CMを見て憤慨しジレットはもう買わないというボイコットも起きているという。メーカー側もそうした反応は予測しており、こうした意見交換を大切にし、両者の声を受け止め、今後も取り組んでいきたいとコメントしている。

しかし否定的な意見のほうが多いということで、それもアメリカらしいなと思う。マッチョな文化はすぐには変わらない。小さいころから常に強さを求められ、富と力を追い求め、競争に晒されてきた。そうした土壌で育った人は自分の生き方を否定される、または攻撃されているような気がするんだろう。逆にマッチョなアメリカで「生きづらさ」を感じながら暮らしている男性だって多いはずだ。揺さぶりをかけてくれたジレットに拍手を送りたい。

すぐさまアイスランド外務省が反応したのもおもしろい。1月15日のツイート。

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なにしろアイスランドは、ジェンダーギャップ指数ランキングで常にトップに君臨する国だ。去年の驚きのニュースは、「2022年までに現在14〜18%の開きがあるアイスランド男女間賃金格差を解消」するため、「従業員の性別、民族、性的指向、国籍を問わず、平等な賃金を支払っていることを雇用主が証明するよう義務付ける」という法案を発表したことだ。凄すぎてため息しかもれない。

 

有害な男らしさ “Toxic Masculinity”

去年フロリダの高校で銃乱射事件が起き、それについての記事を読んで腑に落ちたことがある。「有害な男らしさ」「男らしさの毒」と訳すのかな。定訳があったら教えてほしい。(部分を引用してみると)

一般的に男性は小さいときから親や周囲に「泣くな」「男らしく」と言われ「男は強く、タフであれ」と教えられる。その考え方が根底にあるため、たとえば運動よりも勉強が好きな小学生男子は「女々しい、弱々しい」といじめられ、ハリウッド映画ではマッチョな男優が銃を持って悪を蹴散らし、美人や欲しいものを手に入れる。

従って昔ながらの概念「男らしさ」は、大げさに言えば「男は多少乱暴でも強くなることが重要で、それは社会で許容される」となり得る。この思考こそ大きな間違いで現代の暴力社会を引き起こす根源ではないか、というのがToxic Masculinityの意味するところ・・・(略)

フロリダ州高校銃乱射事件に関連する Toxic Masculinityを表現した広告が話題 | 宣伝会議デジタル版

こうした育ち方をした男性は、不満や行き詰まりを解消するのに、銃などの暴力に訴える傾向が強い。女性は問題にぶつかっても、銃で無差別に攻撃することは稀だ、と記事は続く。

 

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ジェンダーロールを強いる言葉の数々

性差を殊更に強調し相手を貶める言葉、日本語はそうした言葉の宝庫だろう。罵倒語と同じインパクトを持っている。たとえば男性に対して「女々しい」とか「女の腐ったような」とか。本当に失礼だな。

女性に対しては「女らしくない」「女のくせに」「女だてらに」「男まさりの」「色気のない」「男も顔負け」など…。書き出すとキリがないし、腹が立つので止める(笑)。

去年の池内さおりさんのツイート。凄く同感なのでブクマして取っておいたもの。もうおっしゃる通りです。

エマ・ワトソンの発言にも驚いた。そう、頭の悪いふりはやめようね。

私たちはこうして男女ともに何かしら「役割」を刷り込まれて育つ。たぶん小学低学年くらいまでは自由に感情豊かに思っていることをしゃべっているだろう。だが次第に周りが要求する像に合わせていく。

「男らしさ」も「女らしさ」も私は別にかまわないと思う。だけど多様化の時代だけに、多彩な「~らしさ」があってもよく、高圧的な否定や押し付けはイヤだな。つまるところ、ジェンダーからずれるが、思いやりや想像力(相手の側に身を置いてみる)が基本で、時には譲る、または歩み寄る姿勢も大切だと思う。

 

 女の仕事はやりたくない 

10年以上前、ベルギーの移民学校に通っていたときの話を再び…。あそこは50か国以上の出身国の人が寄り集まっているので、毎日が刺激的で学ぶことが多かった。

各学期の終わりに教室内でお茶会をするのだが、持ち寄った食べ物を並べたりジュースを注いだり、ケーキを切り分けたり給湯室へお湯をとりにいったり…とたくさんの仕事がある。なのにコンゴ出身の青年(プロのDJだった)は自分はやらないと言って座っている。「男の仕事じゃないから。自分の国じゃ女がやることだ」と。

女性たちは「何言ってんの?ここはベルギーよ!」と大変な剣幕だ。

ペルー出身の男性が言う。「ぼくの国でも同じだけど、ベルギーに住んでいるんだからここの文化に合わせるべきだ。今どきマッチョってカッコ悪いぞ」

アルジェリア出身の男性も加勢して「ぼくだってベルギーに来てから変わった。君はベルギー人と結婚してるのによくそんなこと言うね」

コンゴ人の彼はそれでも絶対にやらないと言う。先生が「じゃ、そのわけを話してちょうだい」と割って入った。コンゴ青年が言うには、家事など女性の仕事をしたら惨めな気持ち、屈辱的な気分になるのだと。男はどっしり座っているものだと、子どものときからそんな風に育ってきたから…云々。

屈辱的な気分か、なるほどねえ。でも男尊女卑の文化をこのように堂々と説明するところはすごいと思った。少しはわかった気がする。賢い青年だし、それにまだ20代、少しずつ変わっていくだろう。子どもが生まれたら妻と協力してやっていかなければならないし。もしかしたら今頃は、下の二人みたいにカッコいいパパになっているかもしれない。

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https://www.independent.co.uk/life-style/international-mens-day-2018-masculinity-mental-health-prince-harry-daniel-craig-dwayne-johnson-a8641256.html

これは英インデペンデント紙の国際男性デー International Men's Dayの特集である。

左:ザ・ロック(ドウェイン・ダグラス・ジョンソン)と右:007のダニエル・クレイグの育児パパぶりを持ってくるところがすばらしい。ダニエル・クレイグはすれ違っても気づかないレベル。

今日は終わります。

また次回!

🌸前の記事

cenecio.hatenablog.com

お子さんをセクシストにしないための絵本選び ジェンダーやセクシズムについて考える-2-

ねずみの嫁入り

みなさん、ご存知?

ひとことで言うと「ねずみの婿選び」のお話。ああそれ、子どもの頃読んだわ、という人なら、2017年の東京大学文科の国語第三問(漢文)は、問題を読まなくても全問楽勝だったろう。

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入試後の解答例を見ると

《出典》劉元卿『賢奕編』

と書いてある。こんなの知らないなと思うかもしれないが、ちょっと問題文を読んでみればわかる。なあんだ、「ねずみの嫁入り」みたいな話だと。このタイプの話(累積譚)は、日本や中国だけでなくアジアの国々、そしてヨーロッパにも存在する。だが、今日は東大入試の話題じゃなくて、前回に続き「ジェンダーやセクシズムについて考える」のテーマである。ちょっと簡単に「ねずみの嫁入り」の筋をチェックしておこう。

上の絵本はフランス版で”La plus mignonne des petites souris”『一番きれいな小ネズミの娘』(フラマリオン社、1953年)。1953年だけあってレトロな雰囲気がいい。

( 表紙の左側、日焼けして色が飛んでいる^^)

 

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 (最初のページ。右が娘ネズミ。ダンスも編み物も上手な美しいお嬢さん。 )

年頃の娘にいい婿を、それも最強の婿を見つけてやりたいと願う父ネズミが婿探しの旅に出る。太陽に自分の娘をめとってくれないかと頼むと、太陽は自分をさえぎるの方が強いと言う。のところへ行くと、いやの方が強い。そのは言うのだ。いや、違う。自分がいくら吹き付けてもびくともしないの方が強いと。しかしはこう言う。自分を齧るネズミの方が強い。・・・というわけでネズミのお嬢ちゃんは、そこにいたネズミの若者と結婚するのであった。

フランスでは「」が「」になっていた。

先の漢文(明の時代らしい)では、書店のオーナーが飼い猫の名前を客のツッコミに応じて変えていくというもの。元は虎猫という名前だった。だんだん変わっていって、「猫」→「猫」→そして一番強いネズミ、すなわち「猫」と落ち着く。

 

あなたのお子さんをセクシストにしないための絵本選び

海外在住の方に教えてもらった興味深いリストがある。「あなたの子どもをセクシスト(性差別者)にしないために避けたい絵本(児童書)」というリスト(フランス語)。https://www.senscritique.com/liste/Conditionnement_sexiste_des_le_plus_jeune_age/1273322で、リストの4冊目がこれだった。

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え~、ショックだなあ。絵が可愛くてすっごく気に入っているし、うちの子どもたちも当時ハムスターを飼っていたこともあってこの本が好きだったのに。昔話なんだからそんな目くじら立てることないでしょ、と私は思う。

しかしジェンダーの平等や反セクシズムについて、海外ではかなりまじめに論議されているようだ。だから、いつか素敵な王子が現れて幸せな結婚をするだの、美貌と知恵でカッコいい男を引き寄せる、なんてシチュエーションは今やありえない。つまり昔話や童話、ディズニーアニメの中に登場するヒロインのような類型は忌避され、時に攻撃される。

固定化したジェンダー概念を植え付けないように子どものときから注意して教育すべきだ。仮に、その類のお話を読んだり見たりする場合にも親のフォローが大切だという考えが主流だ。

男女を殊更に分けない、性別による役割分担(家事や職業)を固定しないというのは基本中の基本である。両親が協力し合って家事や学校などの送り迎えをやっている。そうした文化圏から旅行で来日した子どもは、テレビをちょっと見ただけでもビックリするらしい。

いわく 

おうちにはお母さんと子どもしかいない。家事は全部お母さんがやっている。お父さんたちは仕事帰りにいつも居酒屋で呑んでいる。

おっしゃる通り。よく観察しているな、子どもは正直だなと笑うしかなかった。

去年、海外在住のかたが言っていた。外国人の夫がもう「雛祭り」をやめたいと言う。女の子を特別扱いするのはおかしい。ジェンダー平等の視点から「子どもの日」を祝えばじゅうぶんなのではないか。ここは日本ではないんだし。

それまでは雛祭りを祝っていたという。日本の実家から雛人形のセットが送られてきていたからだ。どんな子供に育てたいかは親が話し合って決めることである。そこに、暮らしている社会の考え方、時代の潮流というものが反映される。小学校からジェンダー平等に配慮した教育や取り組みが行われているヨーロッパの国々では当然のことだろう。

一方でそのお宅では、皆で着物を着たり、お雑煮を食べたり、日本語のかるたで遊んだりもするそうだ。片方の親の持つ文化も尊重しつつバランスをとって暮らしているという。

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(写真:ピンタレスト。可愛いね)

 

エンターテイメントを楽しみたいだけ・・・。 

先日、SPYBOYさまが映画『アリー/スター誕生』のレビューを書いていて、楽しみながら読んだ。

spyboy.hatenablog.com

(一部引用させていただきました)

貧しい女の子が王子様のような男と知り合い、歌手や映画スターとして一躍 スターダムにのし上がるが、それとは反対に男は落ちぶれていく。

 今こういう映画が作られることは『女性を取り巻く差別はジュディ・ガーランド、いやバーブラの時代からすら、変わっていないことを告発している(嘆息)』という考え方もある・・・

この映画のことではなく、時々批評の中に「セクシズムを助長する」とか「フェミニズムからの批判」といった文言を見ることがある。主張はよくわかるが、ちょっとイラっとする。そういった視点の欠如を責められているように感じるからだ。

『スター誕生』などはこれで5回目のリメイクだそうだ。それぞれ音楽映画として素直に楽しめばいいじゃないかと思う。私はバーブラ・ストライサンドのファンなんで、映画もバーブラも今でも大好き。A Star Is Born (1976 film) - Wikipedia

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Remembering when 'A Star Is Born' with Barbra Streisand filmed in Arizona

映画のLPレコードも持っている。バーブラパンタロンスーツを着て歌い、すごくカッコよくて、今から見るとよっぽどフェミニズムだったなと思う。時代だな。

レディ・ガガもきっとすばらしいだろう。ストーリーは固定されて変わらないんだから演技や細部、歌が楽しめる。近いうちに必ず見にいこう。

 

王子様との結婚は もはやお伽話ではない。

フェミニズムの行き過ぎはどうも…などとぶつくさ言っているこの私でも、2019年の今現在、この映画のポスターを改めて見るとしばし考えざるをえない。

女性のコスプレが「プレゼントの箱」って!大丈夫なのか、フェミニズム的に?セクシズムの観点からは?

http://img-cdn.jg.jugem.jp/8f8/18457/20090504_661697.jpg

これはたった10年前のオランダのラブコメディ映画Alles is Liefde (film) - Wikipedia。そのあとベルギーがリメイクした。ストーリーは同じで、両国とも人気俳優が勢ぞろいで大ヒットし、私は2008年にオランダの方を見た。

デパート勤めの主人公、庶民の娘(オランダを代表する女優カリス・ファン・ハウテン - Wikipedia『ブラックブック』や『ワルキューレ』など。『ネコのミヌース』は以前マミーさんmamichansanがブログに取り上げていた)は、すてきな王子様が現れるのを夢見ている。そしてホンモノの王子と出会うというストーリー。ちょっとことわっておくと、オランダに限らずヨーロッパの王室は王子が何人もいる。将来王位を継ぐ長男でなければ、けっこう普通の(奔放な)生活を送っている。

え、そんなつまんなそうな映画を見にいったの?とみなさん思うかもしれないが、大ヒットの理由はちゃんとあるのだ。舞台は「シンタクラースの日」シンタクラース - Wikipediaこれはオランダ人とベルギー・フランダース人が一年で最も楽しみにしている、クリスマスよりも大事なビッグイベントの日だ。その一日のあいだに、複数のカップルの愛の物話(同性のカップル含む)が並行して進み、テンポの良い楽しいラブコメディにしあがっているのだ。

まあ、よく考えてみれば現代の欧州王室はすごく開かれているから、王子との結婚はお伽話でもなんでもなくて、現実的な話だった。オランダやベルギーだけでなく、スペインだってイギリスだって王子たちは外国人の普通の市民だった女性と結婚している。

現在のオランダ国王ウィレム=アレクサンダーは、オリンピック会場で知り合ったアルゼンチン人の女性マクシマ・ソレギエタと結婚した。2002年のことだ。

話はそれるが、その頃のオランダ人の質問は今でもよく覚えている。

「今オランダで有名な外国人は二人いるんだけど、誰でしょう?」

私はわからなかったので「外国人?誰だろう?」と降参した。

マクシマシンジ・オノだよ」

ああ、しまった!と思った。二人とも話題の人だから知っているもなにも、私は小野伸二のファンなのに。そうそう、小野は浦和レッズからオランダのフェイエノールトに移って1年目。ボランチに定着して公式戦42試合に出場し、大活躍した。

皇太子ウィレム=アレクサンダーとマクシマさんが結婚したその2002年は、フェイエノールトドルトムントとのUEFAカップ勝戦を3-2で制し優勝した。

この年フェイエノールトの中盤には、ロビン・ファン・ペルシヨン・ダール・トマソンデンマーク。ギアさまsinsintuusinが詳しい)がいて、実に華やかだった。

小野伸二オランダ語もすごく上手だった。あれは才能なんだと思う。また、高校生くらいですでに老成した雰囲気をかもしていて、不思議な人だったなあ。懐かしい。

 

今日はここまでです。

🌸「 ジェンダーやセクシズムについて考える」の-3- に続く。

cenecio.hatenablog.com

男性トイレにもオムツ替え台がある時代 ジェンダーやセクシズムについて考える-1-

前回記事「嫁」についてつらつらと考えた正月休み。 - ベルギーの密かな愉しみには15名の方からコメントをいただきました。本当にありがとうございました。これからもジェンダーやセクシズム(女性差別)などについて考えてみたいと思っています。(不定期かもしれません)

 

どうやったら変わる?日本社会

みなさんのコメントから「田舎はそんなものだ」という認識が多いことがわかり、改めて驚いた。それでも平成も終わろうとする今、私たちはSNSを使えば必要な情報も素早く手に入るし、意見交換やアドバイスなども簡単にできる。みすみす不幸を耐え忍ぶことはないのだ。周りに助けを求めればいいんだもの。

(*お断り。抜粋して引用させていただきました)

id:URURUNDO  さま

「嫁は道具だ、子供を産め等と未だに思っている夫や夫の家族なら、そんなの蹴飛ばして離婚するか、もしくは自分で改革するか、勇気と気甲斐性を持って欲しい。」

 id:SPYBOY さま

「女性の方も『低能な男はお断り』という気概(笑)がなければ 中々世の中は変わらないのではないか…略…そんな気風がまだまだ色濃く残っているとしたら、日本なんか、人類全体のためにさっさと滅びてしまった方がよいですね。ま、家事をやらないバカ男たちのせいで、現実にそうなりかけてる…」(太字は私)

 大きくうなづいた。女性も昔と比べ高い教育を受けている。世界のスタンダードから、日本がどれほど遅れているかだって知っている。女性たちにはもう少し賢く強く生きてほしいと思うが、やはり肝心なのはこれ、SPYBOYさまがおっしゃるように、男性側の意識も変わらないとダメなのだ。もしこの「家事をやらないバカ男たち」が、家事や育児に積極的に参加するようになったら、日本社会はもの凄い勢いで変わると思う。実際、1970年代から旅行や留学、長期滞在などで見てきたヨーロッパは凄まじいほどの変化を遂げた。

日本だって変わってきている、というかもしれない。しかし朝日新聞に定期連載のコーナーを持つ、スウェーデン人女性のオーサさんは言う。

「日本は自分の国と比べて50年、いや70年くらい遅れている」。

これは男女共同参画などうたっても、旧態依然として女性差別(蔑視)が残り、女性の社会進出が進まず、育児や家事、介護などに男性の協力がほとんど得られないこと、給与格差や職場での地位が低い、または制限があることなどについて言っている。

 

イタリアのはなし
昔学生だった頃、イタリア南部のお宅にひと夏お邪魔していたことがある。ステイ先のご夫妻は、イタリア人の夫が大使館文化部勤務、夫人はベルギー人でフランス語教師だった。ご夫妻とともに何度か親戚宅に招かれ、そのたびに大人数で囲む食卓にはおいしい料理が並んだ。

しかし気になって仕方がなかったこと、それは家庭の主婦が終始立っていて会話にも参加しないことだった。女中ではないにもかかわらず、だ。もくもくと給仕をし、皿をさげていた。私は不思議に思い、小さな声で「ねえ、どうしてあの人座らないの?」と聞いてみると「しっ、この地方はそういう習慣なんだからいいのよ。そっち見ないでね」とやんわり言われてしまった。

そして一気に2012年に飛んでイタリア・ピサの空港。男性トイレにも赤ちゃんのオムツ替えのスペースがある。

これはオランダ人の女性が写真におさめツイートしたものだ。

 

育児パパに優しい社会

そうそう、オムツ台といえば思い出すことがある。2007年にベルギーの移民学校で1年オランダ語を習っていたことは以前書いた。外国語学習は言語を通してその国の社会を学ぶことだが、カルチャーショックは少なからず受けた。

例えば初級後期レベルのテキスト(”Taal Totaal”, 2001年発行)の8課は「父親の育児参加」がテーマだった。オランダ政府が「男性のみなさん、もっと育児参加を!」というキャンペーンをうった。それに対し市民が意見や要望を電話などで述べるという設定である。(*実際にあったキャンペーンです)

ある父親:

「息子の世話はいつも進んで協力してます。だけどね、ぼくに言わせると、社会は育児する父親に優しくないですよ。だって、男性用トイレにオムツ台ないでしょ。会社の託児室だって母親向けに作られているし。赤ちゃん用グッズのCMなんか、お母さんしか出てこないじゃないですか。育児書も母親向けに書かれているのが大半で、たま~にとってつけたように父親のことに触れるだけだし…。ぼくは疎外感を感じているんです。」

この基本にあるのは、父親も母親と同じ権利を!という考えだ。

https://images4.persgroep.net/rcs/unV4se4Z4feoZFrB28DV_ySKq_I/diocontent/134311433/_fitwidth/694/?appId=21791a8992982cd8da851550a453bd7f&quality=0.9

(Cookies op bd.nl | bd.nl写真:オランダ/ ティルブルフ )

 

2019年元旦から ニューヨークでもオムツ替え台を設置。

男性トイレにオムツ替え台の設置が義務化 ニューヨーク州で2019年から、公共トイレを対象に | ハフポスト

公共の男性用トイレにオムツ替え台が義務付けられた。つまり映画館やレストランや店などに、少なくとも台をひとつ設置する。そこは男女とも利用できる。

ニューヨーク州のクオモ知事は、2018年4月にこのように言っている。

すべてのニューヨーカーにとって必要とされるケアを提供できるようにする」

「 すべての」が意味するところは、さきほど上に書いた「父親も母親と同じ権利を!」からさらに発展して、男性同士のカップルへの配慮も含んでいる。子育てする男性カップルの当然の権利である。彼らはこれまでオムツを取り換えるとき、台がないため膝の上で悪戦苦闘していたのだ。

 

賑やかなアメリカ議会 新会期の始まり

子どもや赤ちゃんでにぎわう議場、史上最も多様な米議会開幕 写真11枚 国際ニュース:AFPBB News

微笑ましい写真がいっぱい!

1月3日に開会したアメリカ議会。民主党共和党の議員たちが集まり、就任宣誓をした。434人の議員のうちの多くが子どもや孫を連れてきたので、まるで保育園のようだ。日本では考えられない光景である。

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米首都ワシントンの連邦議会議事堂の下院議場で、議事進行用の小づちで遊ぶ男の子(2019年1月3日撮影)。(c)Brendan Smialowski / AFP

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今日はここまで。また続けますね。

コメント欄は一旦閉じさせていただきます。

ではまた~! 

 

🌸 おまけ:デンマークコペンハーゲンの街角。

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🌸楽しい雪だるま

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「嫁」についてつらつらと考えた正月休み。

嫁はつらいよ。

正月休みに読んだ記事で考えさせられたものの一つ、それは「嫁」というテーマ。きっかけはこの東洋経済さんの記事「田舎の長男」との結婚に絶望した彼女の告白 | 離婚のリアル | 東洋経済オンライン | 経済ニュースの新基準で、 twitterだけでも30万回以上リツイートされ、反応や意見交換も大変に活発で私も多くを学んだ。

ちょっと簡単に記事内容をまとめてみよう。(全文はぜひ↑記事のほうで)

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(写真:ピンタレスト画像)

バツイチの百合子さん。ひょんなことから兼業農家の長男と知り合い、都会の男性にない「押しの強さ」に惹かれ、とんとん拍子に婚約まで進んだ。実家を訪ねるといきなり、二世帯住宅に建て替えるだの、「早く男の子を生んでもらって、私たちの面倒を見てもらわないと」だのと言われる。村の長老には「結婚式は村のしきたりに沿った式にしてもらう」とも。

百合子さんはまず村の近くにアパートを借りて仕事を探すことに。しかし村人は外部から来た人を受け入れないため地元の企業には断られてしまう。

土日は地元の消防訓練があって、それは「村の男のしきたり」だという。公民館で朝5時から消防の訓練をしたら、夕方まで飲み食いし、村の女たちはそこに飲み物や食事を差し入れるのだ。もちろん他の行事でも強制参加。冠婚葬祭では仕事を休んで男たちをもてなさねばならない。

息の詰まるような日々、あるとき一人で高速バスに乗って大阪へ買い物に出かけたら大目玉を食らってしまった。もう限界だと感じ、相手にそう告げると、留守電に毎日何十件も「ふざけんじゃねーよ! ぶっころすぞ!」と電話が入るようになった。恐怖を感じた百合子さんは、弁護士に相談し、東京へ逃げ出して婚約破棄した。

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みなさんはどんな感想をお持ちだろうか。

私はこれまでにも、そうした田舎の長男の悲哀とそれを巡る問題を聞いたり読んだりしてきている。しかしそれはずいぶん前のこと、まだ若かった頃の話だ。まさか2019年の年の初めにこのような記事を読むとは夢にも思わなかった。え、まだこんな風なの?!と正直驚いた。

農家の長男はつらい。次男三男は早くに結婚して子どもが3人くらいいたりするのに、自分だけは独身のままで40~50代になり、親と同居。もちろん必死の思いで婚活もした。しかし結婚しても嫁に逃げられたり、嫁が鬱になるなど体を壊してしまう。

だが家父長制が残る土地で、長男に嫁いだ嫁はもっとつらい。理不尽ないびりや村人の監視に晒される日常。会食などでも皆と一緒に卓を囲むことはなく、たいていは台所に立ちっぱなしで女中さながら。夜遅くに一人で食事をするたび惨めな気持ちになる。(次男三男の嫁は何もしなくてよいのも不思議)

伝統的なムラ社会の因習が連綿と受け継がれ、新しい価値観を受け入れる余地はない。それどころか、自分たちもさんざん苦労したんだから、とうっぷん晴らしのようなパワハラ、いわゆる「抑圧の移譲」(丸山真男)が家庭内で行使される。

それでも嫁の言うことに耳を傾けてくれる長男であれば希望も持てるが、小さい頃から大切に育てられるせいか、自己中心的で大きな子どもといった感じの人もいる。嫁をかばって親や村人に意見する気はなく、むしろしきたりに従うべき、それが当たり前だと思っている。

もちろんこうした話は「長男」「田舎」に限ったことではない。男尊女卑、女性蔑視の風潮は21世紀になっても日本社会のあちらこちらに残る。昨年の大臣・議員・官僚の発言やセクハラ問題をいちいち持ち出すまでもないだろう。

話をあまり広げたくないのでまた嫁テーマにもどるが、こんなツイートもあった。

>結婚相手は長男ではないが、自分の家は母子家庭。義理の父母は親戚から「そんな家の娘を嫁にしてやるとは偉い」と褒められると、「育ちが悪いから躾け直してやらねば」と返していたという。

MeToo運動が世界を大きく揺るがした2018年。日本人の意識も少しずつ変わってきているし、今後はますます改善されていくだろうと私はけっこう楽観的に見ている。

(*あくまで、私が聞いた話をもとにしているだけで、「すべての~」という話でないことは重ね重ねお断りしておきます。農大出身で農村に入って地域を盛り上げている女性たちの話を聞くと、明るい未来を感じます)

 

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記事への反応がおもしろい。 嫁って何だろう。

記事を読んだ読者の反応がさまざまだった…といっても分類すると3通り、いや4通りかな。(4つ目は総括的。男性の感想に多い)

①この話は信じられない。そんな世界が本当にあるのか。作り話、または盛り過ぎた話だろう。

②実家の田舎にいたころはそんな風だった。でもそれは昔のことだと思っていたが、今もあるんだと驚いた。

③現在自分はその只中にいて実感している。あるいは離婚してもうそこには住んでいないが、田舎ではまさにそんな生活だった。長男のところに嫁ぐならその前によく考えて。(少なくとも都会で育った人は)

④過疎化、衰退する集落にはやはり理由があるのだ。閉鎖的で排他的な地域は生き延びられないだろう。特に嫁の扱い、個人の人権などなく、家や村、コミュニティの所有物であるかのような扱いが変わらないならば。

また印象的なツイートとして、「嫁」をウェブの辞書でひいてみたら驚いた、というものもあった。

嫁(よめ)とは - コトバンク

息子の妻。家父長制下にあった日本では,いわゆるシャモジワタシを受けて主婦となるまでの期間の妻をさす呼称であった。当時の嫁が,一家の主婦となるまでには,長い試練の生活を強いられるのが普通で,新潟県佐渡の「添うて7年子のある仲だ,嫁にしゃくしを渡しゃんせ」という民謡などにも,その間の事情はうかがわれる。しかし,家父長制の崩壊した新憲法下の今日では,嫁と主婦との間に,かつてのようなへだたりはなくなってきている。

ブリタニカ国際大百科事典 小項目事典の解説より引用(*太字は私)

嫁とは何か。私も改めて習った。

シャモジを渡すこと。なるほど、シャモジは主婦権の象徴であるから、これを渡された嫁は、その後台所の一切を任されるということか。料理の味付けから食品の管理に至るまで。

これをもう少し調べてみると柳田国男に行き当った。木綿以前の事 - 岩波書店

https://www.iwanami.co.jp//images/book/246097.jpg

(抜粋して引用)

16・・・普通は鍋敷があってここで惣菜を煮た。盛るのは当然に主婦の権限で、家を譲った母さえも手は出さぬ。娘が多ければ少し引下ってそのまわりに坐り、嫁は勿論その中に交っている。或る家では姑のちょっと席を立っているうちに、嫁が杓子を握ったという咎により離縁をされたという一つ話もある。

・・・とにかくに嫁に世帯を引継ぐことを、今でも東日本では「杓子をわたす」、または「へらを渡す」とも謂っている。

・・・この杓子渡しという語は、形容であろうと最初は思っていたところが、事実その通りの事をしているという話を、近頃になって岩手県の友人から聴いた。いよいよ母親が年を取って、家の管理を嫁に引継ごうという日には、新しい鍋の蓋(ふた)の上に新しい杓子を一本載せ、それを両手に持って嫁に手渡しするのが方式だったという。

信州の北アルプス地方でも、まだこの事を記憶している老人があった。

(*太字は私)

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今読むと実に新鮮である。

「新しい鍋の蓋(ふた)の上に新しい杓子を一本載せ、それを両手に持って嫁に手渡しする」

という主婦権を譲る儀式。昔は皆で役割を分担して協力しなければ田舎の生活は成り立たなかっただろう。嫁から一家の主婦へ格上げ(?)されることは誇らしいことだったと思う。

 

最後に昔話を二つ紹介しておこう。

・『金のしゃもじ』

『金のしゃもじ』 - 小澤俊夫 昔話へのご招待 (Toshio Ozawa -invitation to the folktale-) | FM FUKUOKA

・『宝しゃもじ』まんが日本昔ばなし〜データベース〜 - 宝しゃもじ

嫁の話はここまで。

 

🌸1分で楽しめるヘアメイクの変遷。

とってもおもしろいのでお薦めします。

1910年から2010年まで、日本女性の髪型とメイクの移り変わりを1分ちょっとでまとめています。各国版があるんですが、日本とドイツのを貼っておきます。

www.youtube.com

 

www.youtube.com

 

都内を疾走する外国人マリオ &18年間マリオカートで当番を決める父と母 ほか

マリオカートのある風景

東京都内のあちこちで出会うマリオたち。乗っているのは私が見たところほとんどが外国人風だ。おっと、マリオと言っちゃいけないんだった。「マリカー」という名前なのだ。MariCARhttps://akihabara.maricar.com/をめぐっては、裁判もあって任天堂が勝訴した。こちらの記事→任天堂、「マリカー」めぐる訴訟で勝訴 「公道カート」会社に賠償支払い命令 - ITmedia NEWS

 東京は元旦から5日までピカピカの晴天で、都内を自転車で走るとき、何度もマリカーのハイテンションな人たちに遭遇した。こちらは

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スカイツリーに向かう言問橋(ことといばし)で撮った写真。逆光で残念だが。みなさん、冬の休暇と陽光を満喫している。

都内でよく見かけるといっても、すぐにカメラで撮影できる態勢ではないため写真を撮るチャンスはなかなかない。

でもこちら、京橋の東京スクエアガーデンのそばで、遠くに一団を見つけたので待機して撮ったことがある。

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このころは毎日のように京橋の国立フィルムセンターに映画を見に通っていた。必ず同じ時間に出会うのだ。コースはいくつかあって選ぶらしい。渋谷スクランブル交差点を通るのもあるけど、あそこは交通量が激しいからよそ見できないだろうな。

マリカーのみなさんは決まってこんな風に手を振ってくる。ご機嫌そうでしょ?信号待ちの時は互いに写真を撮りあったりして楽しそう。

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コスプレの衣装代も料金に含まれているそうだ。

シートベルトやヘルメットはいらないの?と気になるところだが、公道カートは「原動機付き自転車」に区分されているから不要なんだって。詳細は上に貼ったサイトでどうぞ。

こちらはベルギーサッカー代表メルテンスドリース・メルテンス - Wikipedia

https://www.lesoir.be/sites/default/files/dpistyles_v2/ena_16_9_extra_big/2018/07/31/node_170799/23061578/public/2018/07/31/B9716495306Z.1_20180731224213_000+GDMBPH5OB.1-0.png.jpg?itok=pKeBVGXf

Dries Mertens dans la peau d’un célèbre personnage de jeu vidéo (photo) - Le Soir

夏休みに東京へ来て、ずっとやってみたかったというカート体験を叶えた。それをFBに投稿したらベルギー仏語紙がさっそく取り上げた。ちなみにメルテンスの夏休みはバリ島と日本だったそうだ。

大阪にもこうした公道カートの利用はあると聞いたのだが、みなさんご存じ?

 

18年もマリオカートで勝負する両親の画像が微笑ましい

スカイツリーの近くでマリカー写真を撮って帰ってきたら、偶然こんな楽しい記事がTwitterに来ていた。マリオづいた一日で笑える。 

 

どちらが買い物に行く?今日の皿洗いは誰がやる?洗濯やゴミ出しは?…それをじゃんけんやゲームで決める夫婦やカップルもいるだろう。

こちらの夫婦は、食後のお茶の用意を誰がするかをマリオカートのゲームで決めている。毎日である。2001年から。18年間もの間。

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Crédits : Louis Hvejsel Bork

この写真を撮ったのは息子のルイさん、↑クレジットの名前の人。おもしろいのは写真右上のに自身の姿が写っていること。ヤン・ファン・アイクの「アルノルフィーニ夫妻像」(1434年)アルノルフィーニ夫妻像 - Wikipediaを思わせる。部屋の凸面鏡に映る人物の一人は、画家のファン・エイク自身だと考えられている。

ルイさん、まさかそれを狙った?考え過ぎか。

2014年にもゲームをする両親の写真を撮って発表しており、比べてみると興味深い。同じアングル、同じ窓、同じドア、同じ絨毯…。変わったものも少しある。でもほとんど変わっていない。一番変わらないものは両親の仲のよさかな。

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もともとこのマリオカートのゲームは、1999 年のクリスマスプレゼントとして、両親がルイさんに贈ってくれたものだという。ゲームに飽きてほったらかしておいたら、両親が二人で始めてはまったということだ。記事内にはもっと詳しいこと、つまりゲームについて触れているのだが、いかんせん私はゲームをいっさいやらないのでチンプンカンプン。

任天堂は、ルイさんに毎年写真を撮ってくれるようお願いしたらいいのに、と思っている。

ではまた~!